塚田こども医院/ヘルス・レター 205

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)

<最終更新日:2007/06/12>


おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は、ときどき保育園などで流行します。

子どもがかかると、おたふくかぜそのものは軽くてすみますが、髄膜炎や難聴をおこすことがよくあります。中でも難聴は、もし起きてしまうと永久に聴力が失われます。数百人〜数千人に一人の割合でおきてしまうほど、頻度が多いです。

大人がかかると、症状も重く、とくに男の方では、睾丸炎(こうがんえん)などをおこしてしまいがちです。

予防のために、ワクチンが用意されていますが、任意接種で、希望者のみに行われています。安全性も高く、ぜひ多くの方に受けていただきたいワクチンです。(欧米ではすべての子どもたちがおたふくワクチンを受けています。)

おたふくかぜとは

耳の下にある耳下腺が腫れて、痛くなる病気です。唾液を作るところがおかされる病気で、耳下腺のほかに顎下腺なども腫れてきます。
だいたいは左右ともはれますが、片側だけの時もあります。

最初の数日、熱と痛みがあります。
腫れは1週間ほどでとれて、治ります。

治療

主に対症療法です。熱や痛みをおさえる薬を使います。
痛みが強いときには、冷湿布もよいでしょう。

家庭で気をつけること

食べ物:唾液がぐっとしばられるようなもの(すっぱい、辛い、味が濃いなど)、固いものは痛みがつゆ億なりますので、避けておきましょう。

入浴:熱がなく、痛みが軽いようならかまいません。

こんなときはもう一度受診を

頭痛が強く、何度も吐くとき(髄膜炎が疑われます)。

1週間以上たっても腫れが引かないとき。

熱が5日以上続くとき。

耳の下の腫れが赤くなったとき。

睾丸を痛がるとき。

聞こえが悪い、耳鳴りがする(難聴かも)。

保育園・学校

腫れがひけば、伝染力はなくなります。1週間ほどは、お休みです。

おたふくかぜの予防注射

おたふくかぜは保育園・幼稚園でもらうことが多いので、集団生活に入る前にワクチンを受けて予防しておかれるといいでしょう。市町村でおこなう予防接種ではなく、希望される方だけ受ける「任意接種」です(有料)。

接種を受けた子どもの2千人〜1万人に1人ほどに、髄膜炎様の症状が副作用としてでることがありますが、軽いもので、後遺症を残すことはありません。

※欧米でははしか(麻疹)、風疹、おたふくかぜの3種混合(MMR)ワクチンが一般的で、さらに小児期に2回接種し、確実に免疫をつけるようにしています。

参考髄膜炎

ウイルスや細菌(バイ菌)が、脳の周りの髄膜に入り込んでおきる感染症。
高熱のほか、脳圧が高くなるために、強い頭痛や繰り返す嘔吐(おうと)が見られます。

早くに診断し、治療しないと重大な結果になることもあり、怖い病気ですが、ウイルスによっておきるものは、比較的軽症で、後遺症なく治ることがよくあります。

原因の分かっている病原体では、おたふくかぜウイルスが一番多いと言われています。

参考難聴

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)ウイルスは神経に入り込みやすい性質をもっています。そのために髄膜炎をおこしやすいことが以前から指摘されています。

さらに、内耳の神経をおかすことで難聴になることも大きな問題です。その多くは片側だけですが、治療法がなく、永久に聴力を失うといわれています。その頻度も数百人の患者に1人程度ととても多く、日本では年間数千人のおたふく難聴が発生しています。

おたふくワクチンを接種しておくと、おたふくにかからなくなりますし、結果として難聴になる心配もありません。

日本でも欧米のように、一日も早くすべての子どもたちにワクチン接種をおこなってほしいと願っています。