塚田こども医院/ヘルス・レター 223

気管支炎・肺炎


 呼吸器感染症の多くは風邪症候群(鼻咽頭炎)ですが、それで終わらず気管支炎や肺炎といった「下気道炎」をおこすこともあります。

 痰のからんだ咳が強くなったり、高熱になってきたら要注意です。お子さんの様子を見ながら、早めに受診をして下さい。

気管支炎・肺炎とは

 呼吸に関係する器官は口や鼻から気管までを「上気道」、それより下を「下気道」と呼んでいます。下気道は気管支から始まり、それがどんどん枝分かれして細い気管支枝になり、最後は肺胞になります。

 肺胞は、酸素を血液中に取り込み、体で作られて二酸化炭素を放出する「ガス交換」という大切な役割をしています。

 子どもは気管支がもともと細く、作りが弱いという特徴があります。そのため、ちょっとした感染症でも、痰がつまったりして呼吸がしづらくなってしまいます。

 気管支炎や肺炎の症状は、咳や痰、喘鳴(ゼーゼー)、発熱などです。概してウイルスによるものは症状が軽く、細菌によるものは程度が強くなる傾向があります。また痰の様子は、ウイルス性では透明に近く、さらっとしていますが、細菌のものでは黄色くて、ドロッとしてきます。

 RSウイルスは細気管支炎をおこし、乳幼児にとっては重症な感染症をおこします。喘息と同じように、空気の通り道を極端に狭くするために、喘鳴や呼吸困難をおこし、ときに呼吸のできない状態になることもあります。

 マイコプラズマはやや特別で、細菌の中ではウイルスに似た形をしています。発熱や痰はさほどないのですが、咳がとても強く、長びきやすい特徴があります(「一口メモ」参照)。

  

治療

 気管支炎や肺炎の治療は、ウイルス性の気管支炎・肺炎では痰を出しやすくするなどの対症療法が中心です。細菌によるものは抗生物質を使う必要もあります。ただし、症状だけからでは区別が付かないことも多く、症状が強い時には抗生物質を最初から使うこともよくあります。

 呼吸の状態が悪いときには、点滴、酸素投与などの治療が必要になり、入院治療になることもあります。

 昔にくらべれば栄養状態や生活環境が良くなったために、入院が必要な肺炎になることは少なくなってきました。しかし、子どもは容態が急に変わることも少なくありません。お子さんの様子を見ながら、早めに対処をして下さい。

注意してほしいこと

 呼吸が苦しくなると水分も取りにくくなってきて、脱水状態になることがあります。そうすると痰が固くなって出しにくくなるので、ますます呼吸状態が悪くなるといった悪循環に陥ります。食欲がなくても、水分は少しずつ、きちんと取るようにして下さい。

 呼吸状態が悪くなると(呼吸不全)、顔や唇の色が蒼白から紫色になってきます。呼吸数は多く、努力して呼吸をします。横になるのもつらく、話すことや食事もしなくなり、眠ることもできなくなります。こういった症状はとても危険なサインです。すぐに入院のできる病院で治療を受けて下さい。

(一口メモ)マイコプラズマ感染症

 マイコプラズマは細胞壁をもたないという点で細菌と異なり、形も小さいので、細菌とウイルスの中間にある病原体です(細菌の一種に含めている場合が多いですが)。

 気管支炎や肺炎といった呼吸器感染症をおこし、気管支粘膜を強く荒らす性質があります。咳がとても強くなり、それが長びくのが特徴です。

 治療は抗生物質を使いますが、細胞壁を持たないためにペニシリン系やセフェム系の抗生物質は効きません。マクロライド系が有効です(内服:アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシンなど。注射:クリンダマイシンなど)。

 以前はおよそ4年周期で流行があり、「オリンピック肺炎」と呼ばれたことがありますが、最近はいつでも発生しています。また年齢の大きな子どもがかかりやすいと言われていましたが、今では乳幼児でも珍しくなくなりました。