塚田こども医院/ヘルス・レター 541

低身長

お子さんの「大きい・小さい」は親御さんにはとても気になりますね。発達や発育に個人差はつきもので、大部分は普通の範囲です。

でも、やはり心配でしたら、身長の伸びを詳しく調べてみましょう。中には治療によって身長が伸びるお子さんがいるかもしれません。

低身長とは

ほかの子どもたちと比べて、とても身長が小さいことをいいます。基準は「同性・同年齢の平均より−2SD以下」(SDは標準偏差)とされていて、2.4%ほどの子がその範囲にはいります。この中に、治療が必要な病気のお子さんが含まれています。

また、小さい頃からの身長の記録を調べると、成長に問題があるかが分かります。ご心配な方は、ぜひご相談下さい。

低身長の主な原因

1. ホルモンの異常
 (成長ホルモンの不足、甲状腺ホルモンの不足など)
2. 染色体の異常
 (ターナー症候群など)
3. 骨・軟骨の異常
4. 主要臓器の異常
5. 心理社会的原因
6. 病気ではないもの
 (体質性、家族性、思春期遅発症など)
7. 栄養状態が極端に悪い

成長ホルモンの役割

成長ホルモンは、子どもの成長を促す大変に重要なホルモンであり、体の代謝にも大きな役割を持っています。

もしこのホルモンが十分に分泌されていないと、身長の伸びがとても小さくなってしまいます。こういった「成長ホルモン分泌不全性低身長症」のお子さんは、成長ホルモンを補うことで、正常な身長に近づけることができます。

この「成長ホルモン療法」を受けるためには、検査によって成長ホルモンの分泌が不十分であることを確かめる必要があります。(無料で治療が受けられる公費の制度があります。裏面参照)

主な検査

手のレントゲン
 骨の発達が正常かどうかを見ます(骨年齢)。ある程度の「最終身長の予測値」を知ることもできます。
ホルモンの検査
 甲状腺ホルモンなど、いくつかのチェックをします。
染色体の検査
血液一般の検査

成長ホルモンの検査

成長ホルモンは、脳の一部である脳下垂体で作られますが、夜間に分泌されるため、外来で単純に採血しても正常かどうか分かりません。そのため、分泌を促す薬を使って、その後の分泌されるかどうかを調べます(2〜3時間ほど)。(分泌刺激試験)

また、夜間の睡眠時に分泌されているかどうかを調べることもあります。

成長ホルモン療法

不足している成長ホルモンを、体の中に補う治療です。注射です。

小学校の入学前から始めることが多く、骨の成長が止まるまで続けます。

夜間に成長ホルモンが体の中に入っていた方がいいので、注射に慣れたら、自宅でほぼ毎日行ってもらっています。

以下の数字より身長が小さいときは低身長ですので、ご相談されることをおすすめします。(単位はcm)

  男子 女子
1歳0か月 69.7 67.7
2歳0か月 79.5 78.9
3歳0か月 86.0 84.3
4歳0か月 92.2 91.0
5歳0か月 97.8 97.8
6歳0か月 103.7 103.5
7歳0か月 109.4 108.8
8歳0か月 114.7 113.8
9歳0か月 119.7 118.7
10歳0か月 124.6 123.9
11歳0か月 129.0 130.3
12歳0か月 133.9 137.0

(2000年度標準身長表より)

公費による助成

子どもの慢性の病気の中には、公費によって治療が無料で受けられるものがあります。

「成長ホルモン分泌不全性低身長症」もその一つですが、医学的に治療が必要な方の全てをカバーしていません。以前はその「すき間」はなかったのですが、数年前に公費の基準が厳しくなりました。そのため、治療が必要なのに受けられなかったり、一定の身長で公費助成がうち切られて(男性156.4cm、女性145.4cm)、最後まで十分な治療ができない方もでてきました。

これは、国の財政不足のために行われた制度の「改悪」であり、早く元の制度に戻すことが患者さんたちの切実な願いになっています。(この「改悪」により削減された国庫補助は年17億円です。)