髄膜炎のあとの感染力

3週間前、私(30歳 男性)の頭痛がひどくて病院に伺ったところ、無菌性の髄膜炎と診断 されすぐに入院し、つい先日退院してまいりました。ウイルスの同定はできませんでしたが、入院時1800程あった髄液中の細胞数は、退院3日前には90まで下がったようです。しかしまだ正常値の範囲内ではないということでもう1週間自宅療養しています。家には1ヶ月半になる赤ちゃんがおり、うつりはしないかと心配なのですが、大丈夫でしょうか。現在私の自覚症状は全くありません(東京都・Aさん)

お父さんが無菌性髄膜炎になられたとのこと。
大変でしたね。

ご質問の件ですが、結論としては今はもう感染性もないはずで、赤ちゃんと普通に接触していて問題はありません。

「無菌性髄膜炎」というのは、何かのウイルスが中枢神経を覆う髄膜の中に入り込み、そこで「大暴れ」をしている状態です。
直接髄膜の中に入り込みことは、外傷などがない限りありません。
通常は、ウイルスが喉や腸の粘膜から血液に入り込み(これを「ウイルス血症」といいます)、その後にウイルスが髄膜の中に入ってしまったものです。
通常は髄膜炎を起こしたときには、もうウイルスはほかにはあまり残っていません。
そして髄膜炎が治ってきていますので、現在はウイルスはすでに体の中に残っていないと考えていいのではないかと思います。

なお、髄膜炎の程度を知る検査が「髄液細胞数」ですが、15/3以下が正常です。
当初1800/3あったものが90/3に改善しているので、数字としてはもう少しですが、実際にはこの程度まで良くなっていると、ほぼ治癒としても間違いないのではないかと思っています(もちろん他の症状や検査所見が全て正常だとして)。
実は、「髄液穿刺」という検査をすると(けっこう大変だったと思いますが)、それ自体が髄膜を刺激して、細胞数が増えてきてしまいます。
その意味で、完全な正常になかなか戻らないこともよく経験します。

では、もう少しで「社会復帰」ということですね。
お仕事をしばらく休まれたので、当分は大変でしょうが、ゆっくりと元のペースに戻していって下さい。

2001.11.21

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塚田こども医院Q&A2001年11月