加湿器の功罪

今息子は3ヶ月半なのですが1ヶ月のころから鼻水がいつも鼻のおくにたまるようになりまして、いつもふがふがいっています。1回近くの小児科に見てもらいました。薬をもらいその時に「冬は乾燥するから加湿器で湿度を上げて下さい」といわれ加湿器をほぼ24時間つけっぱなしにしています。(我が家は高気密高断熱計画換気なので冬は湿度が30%くらいになってしまうので)。まえにここのQ&Aを見ていたときに加湿器もいろいろ問題があるというのをよんだことがあります。どんな問題があるのでしょうか。いまは加湿器をつかうと湿度は50〜60%になりますが窓の結露もありサッシの木枠にカビもあります。こういうかびがよくないのですか?暖房は輻射熱のオイルヒーターで空気は汚れません。(新潟県・Sさん)

赤ちゃんの鼻水、鼻づまりなどの鼻炎症状はよく見かけます。
風邪でそうなっている場合もあるでしょうし、室内空気などの環境が引き起こしているような時もあると思います。
そういった病的なもの以外にも、赤ちゃんは鼻を通して呼吸しています(鼻呼吸)が、鼻の通り道がもともと小さいので、物理的に鼻が詰まりやすく、また鼻や喉の分泌物を飲み込んだりする力も弱いために、いつも鼻の奥がジュルジュルしていることもよく見かけます。
あまり程度が強くないようなら、そのままでいいのだと思います。

室内環境で「湿度」は、確かに大切な指標でしょう。
ですが、それだけで快適な室内環境になるわけではありませんので、あまりこだわらなくてもよいのではないかと思っています。
というのは、一つは「換気」こそが最も大切なことであるということと、もう一つは「加湿器使用に伴う問題」も無視できないと思っているからです。

換気については、ご質問のなかでも機械による計画換気が行われているようですので、ここでは詳しくは述べません。
最近、日本のメーカーも関心をもって製品を作っているようですので、導入が容易になってきています。
(私が医院を建てた10数年前には日本製で良いものがなく、スウェーデン製を輸入していました)

加湿器を使うと、どうしても結露を生じさせやすくなります。
窓ガラスの結露は目に見えますので、それを拭って取るのは比較的容易ですが、棚の後ろなどにも同様な結露が生じている可能性があります。
そうすると、カビやダニを繁殖させることになります。
また、加湿器の中の水や器械部分が適正に清掃されていなかったり、水が古くなっていると、中にカビ、細菌などが繁殖し、それを室内に撒き散らかしていることになります。
(以前は加熱によるものがありましたが、これは火傷事故の問題もありました)そういったマイナス面も考えると、あまり加湿器はお薦めする気持ちにはなれないでいるというわけです。

繰り返しますが、室内空気環境を適正なものにするために最も大切なのは「換気」です。
それがきちんと行われていれば、あえて加湿器を使わなくてもよいのではないかと思っています。

ちなみに、私の医院を自宅は、冬場では湿度は40%前後のことが多いです(ときには30%台前半のときもあります)。
しかし、機械換気を取り入れているため、湿度が低いために生じると思われる症状はとくに起きていないと思っていますし、加湿器は医院・自宅とも使用していません。

2002.1.20

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塚田こども医院Q&A2002年 1月