百日咳と喘息の違い

5才と当時3ヶ月の女の子のことで、症状は下の子の方が、2日遅いくらいで、ほぼ一緒で、前半の咳は、5才の子のほうがひどかったです。2月8日から、風邪のような咳が続き、特に夜は咳がひどく,寝むれないほどでした。その状態が、2週間続き21日の夜から、咳が変わりコン、コン、コン、数回咳をしヒューと息をすう様な咳に変わり、少しずつ快復しながら現在に至ってます。通院している病院では、喘息の様にいってますが、5才の子は、予防接種を一切受けてないので百日ぜきが,心配なのですが百日咳と喘息の違いを教えてください(上越市・Kさん)

百日咳は、その名前の通り100日ほど(約3か月)強い咳が続きます。
最初の数日〜1週間ほどは軽い感冒症状ですが、次第に咳が強くなっていきます。
熱、鼻水などは初期を除いてありません。
咳の仕方は特有なので、お話を聞くだけでかなり推測がつきます。
・一つひとつの咳が強く「コン! コン!」と出ます(スタッカート)。
・いくつかの咳がつながって出るのですが、咳をしている間は息を吸うことができず、咳が終わった最後に「ヒュー」と音を立てながら吸気します(レプリーゼ)。
・咳の最後に白い痰をゲボっと吐き出したり、嘔吐することもよくあります。
・咳発作は5分ほど続き、そのあと1〜3時間ほど止んではまた咳発作を繰り返します。
・咳発作は寝込んだすぐあとと、朝方に特に強い傾向があります。

以上が百日咳の咳発作のだいたいの様子です。
注意が必要なのは、とくに乳児がかかった場合で、無呼吸発作をおこし、無酸素性の脳障害をおこす可能性もあります。
母親からの移行免疫がほとんどないため、生後間もない赤ちゃんも感染を起こす可能性があります。
このため、現在は生後3か月になったら早めに予防接種(三種混合ワクチン)を受けるようにお願いしています。

お子さんの症状は、お話を聞く限りでは百日咳によるものも十分に疑われます。
予防接種を受けていないこと、お二人のお子さんがほぼ同時にかかられたことからも、感染症である百日咳の可能性を否定することはできないと思います。

早期に有効な抗生物質を使用するとある程度は軽くすませることができるのですが、初期の治療はいかがだったんでしょうか。
咳発作が本格的に強くなってからでは、咳止めなどの効果はあまり期待できません。
感染力は最初の2週間ほどが強く、あとは次第に弱くなっていきます。
百日咳は「学校伝染病」に指定され、「特有な咳が消失するまで」はお休みの扱いとされています。

なお、予防接種を受けておられなかったようですが、残念なことです。
ワクチン接種によりお子さんを感染症から守ることは、感染症が少なくなったと言われる今日でもとても大切なことです。
一部に「本物の病気にかかってもかまわない」とおっしゃる方もおられますが、多くの感染症を診療している小児科医からは、とても乱暴な意見のように思えます。
ワクチンの効果や副反応等に注意をしながら、一つひとつ丁寧に接種しているつもりです。
もし、予防接種全般を受けておられないのでしたら、今後の免疫の付け方について、主治医の先生とよくご相談されることをお勧めします。

2002.3.10

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塚田こども医院Q&A2002年 3月