予防接種の効果は大人になって持続するか

私は、3歳児(今春より幼稚園児)と1歳半の子供と数週間後に生まれてくる子供の母親です。幼稚園では、色々病気をもらってきがちですよね。詳しくは分かりませんが、水疱瘡とかおたふくとか・・仮に幼稚園でそういた病気をもらってきたとすると、子供みんなに感染しますよね。我が家は核家族のため、1人を病院に連れていくのに、子供3人連れていかなくてはなりませんし、立て続けに3人が具合を悪くしたのでは、看病疲れ・育児疲れで私が参ってしまうのではないかと思います。また、1歳半の言葉もまだ良く分からない子や、乳飲み子が、痛いとか痒いとか伝えるすべもなく、ただ泣くだけ、と言うのも可愛そうな気がするし・・。そこで任意予防接種を考えるのですが予防接種の免疫力は弱いので、小さい頃かからなかったとか、かかっても軽く済んだ場合、大人になってからかかってしまうことがあると聞きました。特におたふくは、男の子が大人になってからかかると、生殖機能がどうこうしてしまうとか・・心配です。任意の予防接種は、親の考え方一つと言うのは分かっているのですが、どうしたものか思案しています。(Kさん)

核家族で小さなお子さんを育てておられるとのこと、いろんなことで苦労されますね。

お話の中にあるように、ワクチンが用意されている病気については、それを積極的に受けることで予防していってほしいと思います。
(詳しくは「こども通信」2002年3月号に書いてあります)

> 予防接種の免疫力は弱いので、小さい頃かからなかったとか、かかっても軽く済んだ
> 場合、大人になってからかかってしまうことがあると聞きました。

確かにそうです。
以前であれば感染症の流行が多かったため、小児期に自然の感染を受けることによって免疫が強まる(ブースター効果)ことが期待できたのですが、昨今は流行が少なくなったために免疫力の増強が起きないこともよくあります。
このため、はしか(麻疹)などの予防接種については、成人するまでに2回接種するべきではないかという議論が起きています。
すでに欧米では2回法が主になっているようで、いずれ日本でもその方向に向かうと思います。

欧米でははしか、風疹、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の3種混合ワクチンが広く使われていますので、はしか以外についても2回法が主になっているということです。

本物の病気になることの不利益を考えれば、予防接種の利益は自ずと明らかです。かりに1回では十分ではないとしても、その後にかかる自然のおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の経過が重くなることはありません。
その点で、ワクチン接種を受けておくことで心配されることはないはずなのですが・・

こういったことでしょうか・・
おたふくのワクチンを受けておくと子どものころはかからないが、大人になってからかかるかもしれない・・
もし子どものうちにおたふくの流行があれば、きっとそこで自然の感染を受け、免疫力は高まることになります。
感染を受けなければ免疫力は強くならず、長い経過でその力は弱くなっていくかもしれませんが・・そんなケースでは、もしワクチン接種を受けていなければ、大人になってもまだ無防備な状態が続くわけですから、感染に対するリスクはもっと強いことになります。

そんなご心配なら無用です。
どうぞ、積極的に予防接種を受けていただきたいと思います。

2002.5.3

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塚田こども医院Q&A2002年 5月