思春期前の女の子の乳腺腫大

昨年の秋、9歳の娘の左胸にしこりができました。(128センチ、9歳ちょうど)直径は1センチ弱くらいで、2ヶ月くらいで、跡形なく消えました。そして、最近になり、右胸に同じようなしこりができました。今度は、2週間くらいで1.5センチほどの大きさになり、まえより明らかに大きいしこりでした(今132センチ)。はじめに痛がってから、3週間になりますが、痛みは消え、大きさも小さくなりつつ感じます。そして、何もなくなっていた左胸は、今回全く反応しませんでした。よく思春期のほ本に、一方が先に発達し、反対が遅れて発達。とかいてありますが、逆転しています。(後略)(兵庫県・Yさん)

結論からお話をしますが、お子さんの場合は普通の発達であり、ご心配のような性早熟症などではないと思います。

まず乳腺の発育ですが、本格的な発育の前に多少の乳腺の腫大はよくおきることです。
小学校低学年くらいの子がよく診察に来られます。
小指頭大〜拇指頭大くらいの、硬くて痛みを伴うものです。
通常は片側だけにおき、数ヶ月以内には消えていきます。
その後もまた同じような変化を起こすことがあります(同じ方であることも、反対側であることもあります)。
また、この乳腺腫大は女子に多いのですが、男子にもときどき見られます。
まだ本格的な女性ホルモンの分泌が始まる前にも、ある程度の女性ホルモンと同様の作用を起こすホルモンが次第に分泌されているのでしょう。

こういった変化を繰り返しながら、ある時点から本格的な二次性徴としての乳房の変化が始まります。
今の日本人女子の乳房変化のおきる年齢は、10.0±1.4歳です。
お子さんがもし二次性徴としての乳房変化がおきているとしても、標準的なものということになります。
(おそらくはまだでしょうが)

ちなみに、陰毛の発生は11.7±1.6歳、初経の発来は12.3±1.3歳となっています。
思春期が到来すると身長の伸びは早晩止まってくることはご指摘のとおりです。
日本人の平均では、初経発来後は約6センチ身長が伸びるそうです。

思春期早発症では、高身長のほか、二次性徴が全て早く到来します。
お子さんにはそれらしい変化はないようですので、ご心配されることはないでしょう。
現在の身長も平均的のようですし、最終身長も平均に近くなると予想していていいのではないでしょうか。

以上のお話は診察をしていませんので、必ずしも正しいものではないかもしれません。
できれば小児科医を受診され、気にされている点をよく診てもらって下さい。

2002.6.18

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塚田こども医院Q&A2002年 6月