2回かかるおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)もある?

おたふく(流行性耳下腺炎)は2度は罹らないそうですが、7歳の長男が2度目のおたふくに罹りました。2度とも尿検査で「アミラーゼ」が検出され、掛かり付けの先生は、稀に2度罹る子供がいるとおっしゃておられます。もともと耳下線が弱いのか「反復性耳下腺炎」という耳の下がおたふくのようにはれることがたびたびあったので、今回のことで、疑問と不安でいっぱいです。予防法とか、対処法とかないのでしょうか。(三重県・Nさん)

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は、やはり原則として1回限りの病気だと思います。
よほどの例外的なことがおきない限りそうです。
おたふくをおこすウイルスは今のところ1種類しか知られていないので、軽くても1度かかれば、次回の感染を予防するだけの十分な免疫ができますので、もう一度かかることはないと考えていいはずです。

アミラーゼは、唾液腺(耳下腺など)や膵臓から分泌される酵素です。
それが上昇しているということは、唾液腺、または膵臓の異常があると示唆されます。
アミラーゼのタイプをさらに詳しく調べれば、唾液腺と膵臓のどちらに異常があるか、しることができます。
しかし、仮に唾液腺の異常だとしても、それが何によっておきているかは分かりません。

ご質問の中にある「おたふく」も他の原因による「急性耳下腺炎」も、ともに血液中のアミラーゼが上昇し、さらにそれが尿中に検出されるという点では同じです。
私の知る限りでは、両者を区別することはできません。

両者を確実に区別する方法は、血液中におたふくウイルスに対する抗体がどのようにできているかを、その時に調べる方法があります。
しかし、これはお金も手間もかかりますので、普通はしていません。

臨床的には、まず流行があるかどうか、あるいは周囲でおたふくの子がいるかどうかが重要な手がかりになります(おたふくは流行し、急性耳下腺炎は通常は流行せず、単発です)。
腫れ方が、おたふくでは全体に一様に腫れ、急性耳下腺炎ではゴツゴツとしていることが多いです(これは長年小児科医をしている私の感触)。
両側が腫れていればまずおたふく(でも、おたふくの1/3は片側だけなので、片側だからといって急性耳下腺炎とは言えません)。
経過を見ると、おたふくでは腫れがとれるまでほぼ1週間かかりますが、急性耳下腺炎では通常は2〜3日です(これが一番分かりやい事でしょう)。

急性耳下腺炎を繰り返すこともよくあり、「反復性耳下腺炎」と呼んでいます。
幼児期に多く、小学校入学後は次第に見かけなくなります。
予防としては、唾液の分泌を良くするためにチューイングガムを噛むことというのが、以前読んだアメリカの小児科教科書に書いてあったような気がします(その効果はよく分かりませんが)。
もしかかったら、痛み止めなど(ときに抗生物質も)を使っていきます。

おたふくについての抗体検査を受け、すでに免疫があれば、今後耳下腺の腫脹がおきてもおたふくではありません。
ご心配であれば、検査を受けることをお勧めします。

2002.7.15

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塚田こども医院Q&A2002年 7月