インフルエンザ診療の難しさ

福島でもインフルエンザが大流行しております。息子(もう少しで11ヶ月)も1月中旬にA型インフルエンザにかかりました。予防注射をしていたおかげと考えていますが、軽くすんだように思います(アマンタジンですんなり解熱しました)。ようやくすっかり元気になったと思っていたのですが、2月3日より再び発熱し(このとき上気道症状ありました)、翌日かなり高熱になったためかかりつけでインフルエンザの検査をしましたが陰性でした。抗生剤、抗ヒスタミン剤などをいただき内服していますが、2月7日になってもまったく下熱せず、39-40度の熱が続いています。発症時認めた上気道症状はほとんどなくなっています。私どもが住んでいる地区では、今、B型インフルエンザが流行しており学級閉鎖も出ています。また私が診療でB型インフルエンザの方をたくさん診察し、私自身も発熱しております。状況からB型インフルエンザかと思っているのですがいかがでしょう。検査で陰性だったので、この品不足の時に私がタミフルを処方するのも良心が痛みーーー、また投与のタイミングも逸したようにも思っております。対症療法をするより他ないのでしょうか。本当に自分の子供のこととなるとまったくの素人でお恥ずかしい限りですがよろしくお願いいたします。(福島・Mさん)

お返事が遅くなり、申し訳ありませんでした。
今はお子さんの具合はいかがでしょうか?

インフルエンザの診療をしていると困ることがありますね。
特に今回はタミフルなどの不足が、それに一層拍車をかけています。

タミフルなどの抗インフルエンザ薬が十分に使用できる環境であれば、インフルエンザの流行が確認できれば、あとは臨床診断のみで抗インフルエンザ薬を使用してかまわないはずです。
インフルエンザを疑った全ての患者さんに迅速検査をすることは、本人の負担(肉体的、時間的、経済的)、医療機関の負担(検査に要する労力と時間、検査キットの確保、診療時間の増加、医師の労力の増大)、保険財政の負担などがあまりに増大してしまう可能性があります。

また、迅速キットの限界もあり、発熱当日ではまた陽性にならず、それだけをもってインフルエンザではないと断定できません。
高熱が続くときは翌日も来てもらっていますが、2日目に検査をしたら陽性だった子も少なくありません。
もし臨床診断だけで診療していたら、この子たちには発熱の当日から抗インフルエンザ薬を投薬できたわけで、迅速キットの「限界」というよりも、「弊害」かとも思っています。

インフルエンザの流行が大きければ、地域全体に一挙に広がり、医療機関を受診する患者さんは激増するでしょう。
そういったときに、いろんな意味で診療をシンプルにしない限り、インフルエンザの流行に対応できません。
インフルエンザ診療は、基本的には「危機管理」と考えなければいけないと思っています。

お子さんの場合、臨床的にインフルエンザと考えられるならばためらわずタミフルを処方して良かったのではないかと思います。
もっとも、今年のように薬の品薄が続くと、それも容易にはできないわけで、国全体の危機管理ができていない罪は重いと思います。

もっとも、数年前までは対象療法しかなかったわけですので、絶対抗インフルエンザ薬を使用しないといけないわけでもないでしょう。
でも、ひとたび私たちが「武器」として使うことができるようになったものを、簡単には手放せませんし、それが使えないということは、すごいストレスですね。

お答えの時期も遅くなり、中身も分かり切ったことしかお話できませんが、ご容赦下さい。

2003.2.9

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塚田こども医院Q&A2003年2月