アレルギー検査と治療方針

(5歳)昨年10月に咳が止まらなくなり、血液検査でもIgE305と言うことで喘息と診断されテオドールとテープ1週間処方され、落ち着きました。その後は落ち着いていたのですが、先週久々に朝方咳き込みヒュウヒュウし、受診しテオドール服用にてすぐ落ち着きました。その時再度血液検査をしたところ、前回クラス3だったカモガヤ・ブタクサ・ハルガヤがクラス5(50〜70UA)になり、そのほかハウスダストもダニも杉もクラス3〜4まであがっておりました。先生は「喘息は軽度なのであまり心配はいらないが、花粉に対するこの数値のほうが心配だ」といわれました。事実、春先から鼻水がひどく、ザジテンを飲んでいないと鼻水が止まりません。ハウスダストは減らす努力はできても、花粉を減らすのは難しいです・・・。(外で遊ぶなとも言えず、マスクも嫌がります)先生にも5歳でこの数値はかなりひどいですねーといわれ途方にくれています。春先から秋口までのすべての花粉に対してなので、ずっとザジテンを飲むように指導されました。安全性が確立されているとはいえやはりこれからも毎年長期間のみ続けるのかと思うと不安です。先生には、これからひどくなると思うので減感作療法してくれるところを探したら、とも言われました。ただこれだけ沢山のアレルゲンに反応しているので、治療してくれるところはなかなかないかも・・ともいわれました。これからの見通しがつかず不安がつのります。そこで質問なのですが、この子の数値・症状は程度としてそんなにひどいほうなのでしょうか?そして、これからの治療は、減感作療法をしてくれるところを探したほうが良いのか、今のままザジテンを飲ませ続ける治療がいいのか・・どうかアドバイスお願いいたします。(Sさん)

IgE抗体検査はアレルギーの診断に役立つことは確かですが、その値の高低をもって“アレルギー体質”の強弱や疾患の重症・軽症を判断できるものではありません。
あくまでも参考所見としてとどめておくべきで、基本は臨床症状や、抗原となる物質との接触や摂取による症状発現の程度などだと思います。
年齢的には、乳幼児は総IgE値は低く、年齢とともに高くなります(乳児ではおおむね20以下が正常、成人では250以下程度が正常)。
また特異的IgEが陽性になるとしたら、乳児は食事に対して、幼児はダニ(またはハウスダスト)に対して、学童以上で花粉に対しての順です。

お子さんの検査値についての判断は、臨床症状を加味してなされるべきであり、それだけで診断や治療方針、あるいは今後の見通しが分かるわけではありません。

花粉症の症状が出ているようですので、その程度が強く、日常生活に差し支えるときは抗アレルギー薬の内服や点鼻などをするといいです。
しかし、残念ながらそれを続けても花粉症という体質はあまり変わりません。
症状を抑える薬と思って使っていただければ良いかと思います。
安全性については、もともと長期に使用する薬ですので、通常の使い方で問題になることはないはずです。
医師の診察を受けながら服用を続けるわけですので、何か心配なことが生じれば、その時点でご相談いただければ良いかと思います。

「減感作療法」はアレルギー疾患に対する治療の一つですが、現在、小児の患者さんに対して積極的に行っている先生は、少数ではないかと思います。
有効な方もおられるようですが、あまりお勧めはしていません(私自身は現在は行っていません)。

なお、検査値を「ひどい」と表現(評価)されているようですが、言葉の問題かもしれませんが、患者さんや親御さんのお気持ちを傷つけるこのような言葉は、医療に関わる者としては不適切ではないかと思います。
悪意はないものと思いますが、医療に関わることがらについては、もっと適切な言葉使いをしていただけることを望みたいと思います。

2004.7.10

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塚田こども医院Q&A2004年