鶏卵を摂取していない赤ちゃん

低月齢のころから湿疹などが出やすい体質で、一度7ヶ月のときにとてもひどくなってしまったことがありました。(中略)主人が少しアレルギー体質ということもあり、なんとなく怖くて1歳になるまで卵を与えずにきました。1歳を迎えて、さっそく固ゆでの黄身から少しずつあげています。しかし、先日お友達に「卵をあげないと栄養不足になるし、発育に影響する」と言われ、とても心配になってしましました。これまで、離乳食はよく食べてくれる方で、お豆腐、お魚などでたんぱく質は補ってきましたし、野菜などもいろいろ作れば食べてくれました。(中略)しかし、1歳まで卵をとらなかったことで、栄養不足になったり、 発育に影響が出たりするのでしょうか?(Sさん)

鶏卵は現在の日本ではとても多く使われる食材ですし、子どもの離乳食でも、アレルギーの問題がなければ当たり前のように使われています。
ですが、こういう状況になったのは、わずかここ数十年前です。
それまでの日本人の長い歴史の中では、鶏卵を日常的に摂取することはありませんでした。
ちなみに私は昭和32年生まれの47歳ですが、私くらいの世代では鶏卵はまだ高価な食材であり、それほど食卓には並んでいませんでした。

鶏卵の栄養素は、主には動物性タンパク質ですので、魚類でそれが摂れていれば栄養素の不足にはなりません。
またタンパク質としては植物性のものでも十分に代用できます。
鶏卵でなければとれない栄養素はありません。
離乳食の中で、このあたりを考慮しておられるようですので、何も問題はないです。

今日の日本では、アレルギーの問題がとても大きくなっています。
まだ消化吸収の働きが未熟な乳児にあたる「離乳食」のあり方も再検討すべきかもしれません。
あまり早くからがっちりと始めるのではなく、ゆっくりと少しずつ始めること、特に鶏卵や乳製品は中期以降にしておくこと、などが必要かと考えています。

現在、とくに鶏卵アレルギーを心配する症状はないようですので、十分に加熱した鶏卵(固ゆでの卵)を少しずつ摂取し始めていってみて下さい。
その途中でトラブルがおきるようでしたら、かかりつけの小児科の先生にご相談になって下さい。

2004.9.8

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塚田こども医院Q&A2004年