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「子どもと予防接種」

目  次


補 足 (2006.1)
■平成18年度より麻疹・風疹の混合ワクチンが導入され、1歳(1期)、小学校入学前1年間(2期)の2回接種することになります。当初2年間は2期は1期を接種した人だけが対象です。

補 足 (2005.6)
■平成15年度より小学校1年と中学校1年のツベルクリン反応とBCGは廃止されました。17年度よりツベルクリン反応をせず、直接BCGを接種します。また対象年齢も生後6か月未満になりました。
■日本脳炎のワクチンに副作用の心配があるとのことで、日本脳炎予防接種が一時中止されました。新しいワクチンができ次第再開になるとのことですが、数年先になる見通しです。


1. 予防接種が変わった

 平成7年度(1995年度)より、市町村でおこなわれている予防接種の方法が大きく変わりました。これは、予防接種法という法律が46年ぶりに大幅に改正されたことによります。(同時に結核予防法も改正されました。)

 この間、ワクチンの中味をはじめとした医療の水準が大きく変化し、衛生状態も向上して、流行する病気の様子もずいぶん変わりました。社会の状況や国民のニーズも変わり、また、万一の健康被害がでたときの対応も、以前とは全く異なってきています。

 今回の予防接種の方法の改正は、非常に画期的な内容をもっていますが、それは、よりよい予防接種の方法を考えたなかから生まれてきたのです。


 予防接種はもう必要ない?

 死にいたるような、重い流行する病気の少なくなった現在、もう予防接種はいらなくなったのでしょうか。

 確かに、今の日本は、衛生状態が改善し、子どもたちの体格や栄養状態もみちがえるほどよくなっていますが、それだけで、流行する病気が少なくなってきたわけではありません。

 やはり、予防接種をきちんとしたためになくなってきた病気が多いのです。日本では全くみかけないポリオ(小児まひ)も、東南アジアやアフリカでは、まだまだ大きな流行をおこしています。もし、日本でポリオの予防接種を中止したなら、たちまちのうちに流行してきそうです。あるいは、東南アジアなどへ出かけたときに、かかってしまうかもしれません。

 麻疹(はしか)は、もしかかると、大変重症な病気です。何年かに1回、ちいさな流行をくりかえしていますが、このときにかかるのは、まだ予防接種をしていない0歳や1歳の小さな子どもたちと、予防接種を受け忘れていた大きな子どもたちです。きちんと受けてあれば、かからなくてすんだのにと思うことがよくあります。

 現在でも、予防接種は、目にみえないところで多いに役にたっているのです。

 その一方で、予防接種には、頻度は少ないのですが、思いがけない副作用がおきることがあります。本来病気を予防するための予防接種で、逆に健康を損なうことは、できるだけさけなければならないことです。これまでのように、多くの子どもたちに、一度に、一律に、集団で接種をすることは、何かと問題をおこしがちでしたので、この点も今回、大幅に改正されました。


 社会防衛から個人防衛へ
 法律のできた当時は、流行する病気から社会を守るという「社会防衛」(または「集団防衛」)の立場が強調されていました。

 しかし、現在の日本では、一人ひとりの子どもや国民を、どうやって感染症から防ぐかという「個人防衛」の立場が大切にされるようになってきました。そして、一人ずつ、きちんと予防接種をし、それをつみかさねることが、結果として社会全体を守ることになります。

 たとえば、何か別の病気をもっている子どもに予防接種をしようとするとき、「集団防衛」の立場では、一定の数の人達が免疫(抵抗力)をもっていれば、あまり病気は流行しないのですから、無理はせずにやめておこうということになります。

 しかし、もともと体の弱い子どもが感染症にかかると、重い症状になるかもしれないし、元の病気がさらに悪くなってしまうかもしれません。そうすると、そんな子どもには、病気にかからせないように、むしろ予防接種をしてあげたいと思います。これが、「個人防衛」の立場です。(もちろん、このときも、副作用がでないよう、十分注意をはらう必要がありますが。)
 

 義務接種から勧奨接種へ
 「社会防衛」の立場からは、多くの子どもたちが接種を受けてくれなければ困るので、「義務」と規定され、当初は罰則もきめられていました(途中の改正で、罰則はなくなりましたが)。

 今回の改正では、これが「勧奨接種」に変わりました。これは、国が国民にたいして、「受けるよう努めなければならない」という努力規定で、強制力をもって行なおうとするものではありません。(受けることをおすすめしますという意味で、「勧奨接種」とよばれています。)


 集団接種から個別接種へ
 これまでの予防接種では、一つの会場に多くの子どもたちを集め、時には1回で百人以上に接種をするということがよく行なわれていました。

 しかし、これですと、「効率」はいいものの、一人ひとりの子どもの健康状態を確かめたり、保護者の方に予防接種について、納得がいくようにお話ししたりすることが、十分にはできませんでした。子どもたちが列をなしているところに、次々と注射をしていくという姿は、医療や文化の発達した今の日本の社会には、どうも似つかわしくありません。

 今回の改正では、かかりつけの医師のもとで、健康状態や当日の体調をよくみてもらいながら、個別に接種することが原則であるとされました。

 これまでも、麻疹の予防接種は、ほかのものより発熱しやすいので、個別接種が原則だとされていたのですが、市町村や医師の体制が整わず、集団のままでおこなわれていたところも多かったのですが、今回の改正では、できるかぎり多くの予防接種を個別で行なうよう、求めています。

 また集団では、日程があらかじめ決められているため、体調が悪くても、無理をして接種を受けさせることもありましたが、個別では、受ける日は、保護者の判断で決められます。その子の普段の様子を良く知っているかかりつけの医師であれば、より安心です。万一、副作用がでてしまった時にも、接種した医師と連絡をとりやすく、的確に対処してもらえるはずだからです(集団接種では、どの医師が責任をもつか、あいまいですし、接種が終われば、医師は会場からいなくなってしまうのですから、それも心配なことです。)



2. 新しい予防接種の受け方

 今回の改正では、実に多くのことが変わったため、予防接種をどう受ければいいのか、よく分からないという声も耳にします。ここでは、新しくなった予防接種の受け方をお話しします。


 予防接種の種類

 法律で決めている予防接種は、次の8つの病気に対してです。
  --麻疹(はしか)、風疹、百日咳、ジフテリア、破傷風、ポリオ、日本脳炎、結核--

 これまで行なわれていたインフルエンザは、対象からはなくなりました(ワクチンはこれまで通り作られ、希望する方に任意接種をすることができます)。

 このほかに、おたふくかぜ、水痘、 型肝炎などに対するワクチンもありますが、いずれも任意接種です。


 接種を受ける年齢
 法律のなかで、受けることのできる年齢が決められていますが、このほかに、できるだけこの間に受けたほうがいいという「標準の年齢」ももうけられています。

 接種の年齢の範囲は、おおむね、生後3か月(または12か月)からはじまり、90か月(7歳半)までとしてあります。以前よりかなり広くとってあるわけですが、いろんな事情で小さいころに受けられなかった子どもでも、あとで受けられるようにしようという配慮からです。


 風疹ワクチンは幼児に
 風疹の予防接種は、これまでと受け方がまったく異なります。

 これまでは、中学生の女子だけにおこなっていましたが、今回からは、1歳から2歳の幼児期に(標準年齢)、男女ともに受けてもらうことになりました。これにより、風疹の流行そのものをなくそうと考えたわけです。

 ただし、当面の対策として、小学校1年での接種(平成11年度まで)、中学校での接種(男女とも、平成15年度まで)がおこなわれ、現在中学生までのすべての子どもたちは、どこかで接種を受けられることになっています。


 予診と診察

 予防接種は、体のなかにワクチンという「異物」をいれるわけですから、一人ひとりの子どもの健康状態をよくチェックし、問題がないかどうか、きちんとみておかなければいけません。

 予診票は、これまでの問診票とほとんど同じですが、接種する医師が目をとおして、問題がないか確かめます。そして、必ず聴診器をあてて診察をすることになりました。

 医師が大丈夫と判断したのち、それを保護者の方に伝え、保護者の同意を受けてから、実際の接種がおこなわれることになります。

 今までより、手順が増えていますが、できるだけ、予防接種による健康被害を防ぎ、保護者の方の理解をえたうえでおこなっていこうとすることの表われです。


 接種をさける人
 これまで「禁忌」として、いくつかのことが決まっていましたが、今回の改正では、それが2つに分けられ、整理されました。

 受けることのできない人(接種不適当者)
 (1)明らかに熱のある人
  37.5度以上の発熱している人には接種をしません。ただし、年齢差や個人差もあり、普段の体温をしっておくといいですね。また、さわいだりすると体温が上がりがちですので、静かにして計りましょう。

 (2)重篤な急性疾患にかかっているとき
 急性の病気で医師にかかっているときは、それがなおってから受けます。慢性の病気や、軽いものについては、主治医の意見をきいておきましょう。

 (3)アナフィラキシーのおそれのあるとき
 受けようとするワクチンの成分に対して、強いアレルギー(アナフィラキシー)が心配される場合は、より慎重でなければいけません。小児科の医師によく相談をしてください。

 注意が必要な人(接種要注意者)
 (1)慢性の病気をもっている人
 心臓病、腎臓病、血液の病気、ぜんそくなどをもっている子どもたちでも、注意をすれば接種を受けることができます。あらかじめ主治医の先生と相談をし、体調の良い時に受けましょう。

 (2)アレルギーの心配のあるとき
 何回も注射をするワクチンでは、前回の注射のあと、2日以内に発熱したことがあるときは、その次からはより注意をしながらおこないます。
 また、何かのアレルギーがある場合は、予診票に書き入れ、担当の医師と相談をしましょう。

 (3)けいれんをおこしたことがある人
 以前は1年以内にけいれんをおこしたことがあれば、一律に予防接種をことわっていました。今回の改正では、これが整理されています。

 明らかに「単純な(たちの良い)熱性けいれん」の場合には、特に問題はありません。(といっても、けいれんをおこした直後に予防接種をするわけにはいきません。きちんと診断がつくまで、3〜6か月ほどはまっていたほうがいいでしょう。)

 「複雑な(たちの悪い)熱性けいれん」や「てんかん」などの場合は、やはり主治医の先生とよく相談をしたうえで決めてください。

 (4)病気の回復期
 麻疹、おたふくかぜ、水痘などの、重くなりがちな感染症にかかった子どもは、なおってから1か月ほどたってから予防接種を受けます。

 普通のかぜや、突発性発疹、手足口病、下痢など、軽くてすむ感染症のばあいには、それがきちんとなおっていれば、予防接種を受けてかまいません。

 ※ 予防接種どうしの間隔ですが、生ワクチン(麻疹、風疹、ポリオ、BCGなど)のあとは4週間、不活化ワクチン(三種混合、日本脳炎など)のあとは1週間あければ、ほかの予防接種を受けられます。


 当日の注意
 予防接種を受けるのは、できるだけ体調の良いときが望ましいわけで、前日や当日朝の様子がおかしいようなら、無理をすることはありません。

 受けられそうなら、予診票にもれなく記入し、母子手帳ももっていきます。

 会場では、体温をはかり、平熱であることを確かめます。さきほども書いたように、医師の診察のあと、最終的に保護者が接種を受けるかどうか、決めることになっています。分からないことなどは、係の人や医師に聞いてみてください。

 接種を受けたあと、15分ほどは、そのまま休んでいてください。予防接種の副作用で最も重いアナフィラキシーとよばれるものは、この間にあらわれることがあります。

 当日の入浴は、わざと注射したところをこすったりしなければ、とくに差し支えありません。生活もいつもと同じでいいのですが、部活動など、激しいものはさけてください。


3. ワクチンと病気の話

 市町村で用意される予防接種のほかにも、任意の予防接種もあり、0才からはじまって保育園にあがるころまでに、いろんなワクチンを受けさせることになってきます。

 それぞれの予防接種が、何のために必要か、いつ受けたらいいか、どんなことに注意するべきか、そして、どのような副作用が心配されるかといったことを、できるだけ知っていてください。

 その上で、お子さんに予防接種を受けさせる(または、受けさせない)という判断をしてほしいと思います。

 ここでは、法定の予防接種について、簡単にお話をします。

麻 疹

 麻疹(はしか)は、麻疹ウイルスによっておきる、大変に重い感染症です。

 熱、咳、鼻水、目やに、発疹などが主な症状です。最初の3、4日は38度前後ですが、その後40度ほどの高熱になり、体じゅうに発疹がでます。大変に体力がおち、ぐったりするのが特徴です。

 気管支炎、肺炎、中耳炎をよくおこし、2〜3千人に1人に脳炎をおこすといわれています。死亡率は1万人に1人程度で、日本でも、年間に約50人ほどの子どもたちが、麻疹で命を落としています。

 予防接種の受け方
 満1歳をすぎたら、早めにうけましょう。接種を受ける標準の年齢は生後12か月から15か月とされています。それをすぎても、7歳半までは受けられますが、遅くても集団生活にはいる3歳ころまでには受けておいてください。

 個別接種が原則で、「弱毒生ワクチン」を1回注射します。

 ワクチンの効果と副作用
 1回の注射で95%以上の人に免疫ができます。(本物の麻疹にかかってできる免疫は一生つづきますが、予防接種によるものはそれより弱く、何年かたつと、免疫が下がってくることがあります。アメリカでは、2回接種しています。)

 接種してからちょうど1週間ほどして、約20%の人に、37.5度以上の発熱があります。中には高熱になることもありますが、1日ほどで平熱にもどります。

 発熱とともに、発疹のでることもありますが、ほかにうつしたりすることはありません。熱がさがれば、普通の生活でかまいません。

 熱のでやすいワクチンですので、熱性けいれんをおこしやすい子どもは、あらかじめ医師から解熱剤やけいれんを予防する薬をもらっておきましょう。
 
風 疹

 風疹は、保育園や幼稚園、小学校などでときどき流行する感染症ですが、子どもにとっては軽い病気です。体、顔、手足の順に発疹がでますが、あまり熱もなく、3、4日で治ります。

 普通は軽症なのですが、まれに、脳炎や、血小板減少性紫斑病という血液の病気をおこすこともあります。

 さらに、もし妊娠初期の女性がかかると、胎児の奇形をつくることが多く、それを予防するため、これまで、中学の女子にだけ予防接種をしてきました。

 しかし、風疹の流行そのものをなくすことが大切だと考えられるようになり、今回からは、幼児期に、男女ともに接種をすることになりました。

 予防接種の受け方
 接種を受ける標準の年齢は生後12か月から36か月(満3歳)までとされています。麻疹の予防接種を先にしたほうがよいですので、そのあと、4週間以上たってから受けてください。

 中学での接種は、女子だけだったものが男女ともになり、平成15年までつづけられます(今年、小学2年以上の学童は、中学生になってから接種を受けます)。また、平成11年度までは、小学1年でも接種がおこなわれます。

 これらは当面の処置で、いずれは幼児での接種だけになります。

 接種は、「生ワクチン」を1回注射します。免疫の力は、やや弱めですので、以前に風疹にかかったような記憶があっても、最近の確実なものでなければ、ワクチンを受けておいたほうがいいでしょう。

 ワクチンの効果と副作用
 95%以上の人に免疫ができます。

 妊娠する前に、免疫の力(抗体)を調べ、必要ならワクチンを受けておきましょう。(ワクチンは子どもも、大人も同じです。)

 子どもたちに接種すると、ほとんど副作用はありません。しかし、大人の方では、熱や関節痛をおこすことがありますが、数日以内になくなります。
 

三種混合

 百日咳
 百日咳は、大変にひどい咳が100日ほど(約3か月)続くことからその名前がつけられています。

 とくに夜に咳がひどく、真っ赤な顔をしながら咳こみ、吐いてしまうこともあります。とりわけ赤ちゃんがなると、咳というより、呼吸がとまってしまうことがあり、このために呼吸困難で亡くなることもあります。

 ジフテリア
 ジフテリアは、数十年前までは、小児科で大変こわがられていた病気です。

 喉に強い炎症をおこすのですが、高熱、喉の痛み、犬の遠吠えのようなひどい咳こみとともに、息が吸えなくなる呼吸困難がおきることがあります。

 破傷風
 けがをした時に心配になるのが、この破傷風。やや深い土のなかにいて、傷口から感染します。(伝染する病気ではありません。)

 菌のだす毒素のため、口があかなくなったり、けいれんをおこしたりすることがあります。もしかかると、大変治療の難しい病気です。

 予防接種の方法
 これら3つの病気にたいするワクチンは、1つにまとめられてあって、三種混合ワクチンとよばれています。

 幼児期には4回接種します(1期)。初回は、3〜8週おきに(普通は4週)3回注射し、そのご1年〜1年半あけて1回追加の注射をします。標準では、初回は生後3〜12か月とされています。(とくに赤ちゃんが百日咳にかからないよう、早く免疫をつけようという考えで、接種時期が早めてあります。)

 2期として、小学6年でもう一度注射をしますが、百日咳はもう心配ないだろうということで、ジフテリアと破傷風の二種混合ワクチンが使われます。

 ワクチンの効果と副作用
 不活化ワクチンであるため、注射の回数がどうしても多くなってしまいますが、効果は確実です。

 決められた間隔で接種を受けるのが一番いいわけですが、何かのことで間隔があきすぎても、効果がなくなるわけではないので、最初からやり直すことはありません。

 また、もし百日咳にかかってしまっていたら、三種混合ワクチンを使う必要はなく、二種混合ワクチンで接種をします。このときは、1期の初回は2回で十分です。

 副作用でもっとも多いのは、注射の部位の赤みやはれで、回数がすすむほど、程度が強くなりがちです。ひどくはれたときは、医師からかゆみどめなどの薬をもらい、次の注射量を減らしてもらって下さい。

 過去に、百日咳菌全体を使って作ったワクチンのために、脳障害などの重篤な副作用がでたことがありました。現在のワクチンは、百日咳菌のうちの熱をだしたりする「毒素部分」はのぞかれたコンポーネント・ワクチンに改良され、大きな副作用はみられなくなっています。(コンポーネントは部品という意味。)

 丸1日以内に3〜4%に軽度の発熱がありますが、高熱になることはありません。

 
結 核

 結核は、最近はずいぶん少なくなった感染症だと思われていますが、それでも日本にはまだ20万人ほどの患者がいて、毎年4、5万人も新しく発病しています。決して、忘れていい病気ではありません。

 とくに赤ちゃんや小さな子どもでは、髄膜炎などのより重症な結核になりやすく、注意が必要です。

 BCGをすることで、結核菌への抵抗力をつけることができますが、ほかのワクチンの効果ほどではなく、ひどく排菌している(咳や痰のなかに大量の結核菌をだしている)患者が家族のなかにいたりすると、かかってしまうこともあります。結核の予防は、かかっている患者を、軽いうちに早くみつけ、早く治療することも、とても大切なことです。

 予防接種の方法
 生後6か月になる前に接種します(1回のみで、事前のツベルクリン反応はしません)。
 

 ワクチンの効果と副作用
 現在のBCGは、9本の針がかくしてあるスタンプのようなものを2か所におしつけておこないます。接種してから2、3週間で、18個の針のあとが赤くなり、黄色い膿をもつこともありますが、これは がよくきいている証拠です。3か月ほどで、赤みがとれて、かさかさした状態になります。

 もし、針のあとが全くわからないようなら、効果がなかったのかもしれません。ツベルクリン反応をやりなおして、免疫ができたかどうか、確かめる必要があります。

 副作用としては、接種した腕のわきの下のリンパ節がぐりぐりとはれてくることがありますが、小さいものはそのままでなくなります。2、3センチ以上の大きいものは、医師の診察を受けてください。


日本脳炎

 日本脳炎のウイルスは、最初は豚の血液の中で増えます。その血をすった蚊にさされて、感染します。

 豚での流行は6月から10月にかけておきます。国内では、西日本が中心ですが、北海道をのぞいた地域では、毎年のように流行が観察されています(新潟県でも、ほとんど毎年、80%以上の豚が感染しています)。

 症状は、高熱、激しい頭痛、嘔吐、意識障害、けいれんなどで、死亡率も高く、助かっても重い後遺症を残しやすいです。

 日本では、現在は年間数人がかかる程度になっていますが、東南アジアなどでは、まだまだこわがられている病気です。

 予防接種の受け方
 標準では、3歳になったら初めての接種を受けることになっています。最初の年は2回の注射が必要で、1〜4週間あけて受けます。そして、翌年(約1年後)、もう1回注射を受け、この3回で「基礎免疫」ができたと考えます。(第1期)

 この免疫は次第に弱まってくるので、追加の接種を受けます。この第2期は小学4年となっています。

 北海道は、豚から日本脳炎ウイルスが検出されないため、実施されませんが、ほかの地域では、流行に関係なく、毎年実施されます。

 ワクチンの効果と副作用
 生ワクチンではなく不活化ワクチンであるため、合計4回の接種が必要になっていますが、このスケジュールどおり受けておけば、確実な免疫がえられます。子どもの時に受けておけば、大人になってから受ける必要はないでしょう。流行している東南アジアなどに行くときも安心です。

 接種して2日以内に発熱することが1%以下でおこります。注射したところが赤くはれることが、ときにありますが、1週間ほどで良くなります。

 このワクチンの一番大きな問題は、もっとも痛い注射だということです(以前よりは、かなり改良されたのですが)。

【注】副作用の心配から、新しいワクチンができるまで日本脳炎の予防接種は一時中止されています(2005.5〜)
 

ポリオ

 ポリオは「小児まひ」とも呼ばれ、日本でも40年ほど前までは、流行をくりかえしていました。

 かぜのような症状のあと、急に手足などのまひをきたすものです。

 ポリオ・ワクチンの投与により、今の日本では、患者はでなくなっていますが、発展途上国ではまだ多くの子どもたちが命を落としたり、まひに苦しんでいます。

 予防接種の受け方
 標準では、生後3か月から18か月までに、6週間以上の間隔をおいて2回投与を受けます。

 「飲む生ワクチン」で、腸の中で増殖したあと、免疫ができます。

 下痢をしている時は、うまく効かないことがあるので、接種はしません。

 ポリオ・ワクチンは、3つの型を混合してあるワクチンですが、1回飲んだだけでは、1つか2つの型にしか免疫ができないことが多く、3つ全部に免疫をつけるために2回飲むことになっています。間隔は、6週間以上ならいくらあいていてもかまいません。

 ワクチンの効果と副反応
 日本で、ほぼ「絶滅」の状態をつくったように、非常によく効くワクチンですが、諸外国では、3回飲んで万全をきすところが多いようです。海外渡航時など、機会があればもう一度受けておいてもいいでしょう。

 副反応は、まずありません。 50万〜100万人に1人、まひがおきたという報告があります。


あとがき

 予防接種をめぐる状況は、現在、大きな転換期にたっています。社会防衛から個人防衛へ、集団接種から個人接種へ、義務接種から勧奨接種へ。

 これらの流れは、今、急に始まったものではありません。病気の様子が変わり、医療が変わり、社会が変わる中でおきてきたものです。これまで小児科医などが求めてきた方向にむかって、国から新しい方針がだされ、各市町村で実施されてきています。

 さらに新潟県では、ほかの市町村の病医院でも個別接種をおこなえるよう、「相互乗り入れ方式」で個別接種を推進しています。これは全国でも新潟県だけの取り組みで、注目を集めています。
 保護者の方は、自分の子どもを病気(感染症)からどう守っていくか、それなりに考え、ワクチンについて知ったうえで、予防接種を受けてください。

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