塚田こども医院

日誌(更新記録)2002年5月  月別の索引

2002.5.31(金)

◇今日で5月が終わり

明日から6月(当たりまえですが)。5月にインフルエンザが流行したのは、私にとっても初めての経験。そこにはしかの発生も加わり、ちょっと疲れ気味で6月を迎えようとしています。

今日からサッカーのワールド・カップが始まったようですね。みなさんはどうですか? 盛り上がっていますか? テレビや新聞ですごく人気があって、大変な祭典だと書いてあるのがどうも信じられないのですが・・ もともと私はスポーツが好きではなく、それに加えて「みんなが騒いでいると白ける」という「偏屈な」性格が災いして、こういったイベントがどうも好きになれません。

とくにサッカーはサポーターと呼ばれる人たちの応援のし方(騒ぎ方?)がどうも性に合いません(単に年齢のギャップだったりして)。ゴールでもしようものなら、異様な声で「ゴ〜〜〜〜〜〜ル」と叫ぶアナウンサーは、邪魔以外の何者でもありません(言ってくれなくても、見ていれば私にだって分かりますよ)。野球でも、日本のように鳴り物をならし、相手の非難・批判をして意気揚々としている応援ぶりには辟易としています。敵味方関係なく、良いプレーにはきちんと賞賛すべきですし、まずは静かに観戦してほしいですよ(そんな人は来ていないのかな?)。

ということで、しばらくは世間から浮いた生活をしていることになりそうです(そう言いながら、けっこうテレビを見てたりして・・)。

「デジタルこども通信」6月号

最新号ができました。どうぞご覧下さい。はしかの患者さんが出たことで、ワクチン接種についてついアツク語ってしまいました。

2002.5.30(木)

◇もうすぐ6月というのに・・

B型インフルエンザがまだ流行中。例年ならとっくに発生はなくなっているのに、いったいどうしたんでしょう。もっとも、県内の様子をみると、どうもここ上越が主で、その大部分は当院から。先週の県内の発生届け出数は105件、うち上越から73件で、さらにその中で当院からは73件・・つまり上越の全てが当院からの届け出になります。

それって何だか不自然ですよね。いったいどうしたのかと思われています。でも、インフルエンザの診断は全て検査によって確かめていますし、症状もいかにもインフルエンザらしいという子どもたちがほとんどです。やっぱりインフルエンザがまだ流行しているとしか考えられないのですが・・

そんなこんなでもうすぐ6月になろうとしているのに、まだ冬場の感染症とつき合っています。溶連菌感染症もまだそうとう多いですが、これも通常は春先までのもの。嘔吐下痢症(ウイルス性胃腸炎)もそうです。一方で夏かぜの代表であるヘルパンギーナが少しずつ出てきています。そんな様子を見ると、もうすぐ夏なのかとも思うのですが、どうも今年は単純には進んでいないようですね。(そういえば、夏かぜの一つである手足口病が昨年は真夏にはやらず、秋から冬に少しずつでていました。それもヘンだな、と思っていたものです。)

子どもたちの感染症は季節によって流行するものが多く、待合室での様子をみていると、病気の子どもたちから季節を感じ取ることができます。でも今年はそうではありませんね。冬のものと夏のものが混在。カオス・・混沌とした状態が続いています。どこかの国の経済危機のようなもので、なかなか底を打ったり、V字型の回復をしてきてくれません。問題の先送りをしているそのツケが回ってきているわけですが、まさか、インフルエンザ対策の「先送り」をしていて、いまそのツケに悩まされている・・なんてことではないでしょうね。

2002.5.29(水)

◇一人歩きする妖怪

昨日、ポリオ予防接種のあとの指示についてとりあげました。今日は予防接種全体について。

予防接種は子どもたちの体調の良い時に受けてもらっています。まあ、常識的なことですね。例えば熱があれば行いません(予防接種法にも「禁忌」としています)。では、熱とは何か、何度以上をさすか、どんな測り方をすれば良いか・・などと少しつっこむと、小児科医でも頭を抱えてしまうほどです。年齢による差もありますし、個人差もあります。測る時間帯による違い、食事の直後か、眠くなっているか、などによっても測定値が変わってきます。そもそも人間の体温は連続的なものですから、どこかで線を引くという「不連続」の考えは相容れません。という感じで、議論を始めたらキリがなく、とても予防接種をスムーズにできなくなります。

そこで、厚生省(現在の厚生労働省)は「会場で体温を測定し、37.5度以上を発熱とみなす」と「ガイドライン」を作りました。乳幼児にとっては、一応常識的な線でしょう。でも、それはあくまでも参考所見であって、最終的には診察にあたる医師が「発熱」なのか、それとも「体温が高めだが、平熱」なのかを決めることになります。

しかし、集団接種の場合などは、診察まで回らずに受付で「門前払い」されてしまう場合が少なくないようです。市町村の担当者が「発熱」かどうかを判断しているわけで、いったい何のために医者が出務しているのか分かりません。

行政としては何かの基準が必要だというのも分かります。それにそって行うことで一定の「公平さ」が保たれるのも分かります。でも私たちが行っている医療や保健では、そういった一律の機械的基準だけでは判断できないことがよくおきます。私たちはそれを当然のことと思っています。原則はこうだけれど、でも個別に判断しなくてはいけないということが日常的なこと。ケース・バイ・ケースのオンパレードです。

一度「37.5度以上は熱」と決めてしまうと、それが一人歩きしていくんですね。お役人的な発想です。逆に「37.5度未満はOK」ということになっているのも問題。そこまでいかなくても、「微熱」があって予防接種を受けるに適さないことはあるかもしれません。このことは実際に昨年大問題になりました。昨年秋より、65歳以上の高齢者にたいするインフルエンザ予防接種が法律に基づいて始まりましたが、このガイドラインをそのまま使っているため、37.5度未満でも体調不良者がいて見直しが必要という意見が続出しました。当たり前ですよね。大人は37度くらいの微熱でも、もうつらいものです。(子ども用のガイドラインをそのまま高齢者につかう厚生労働省のお役人のセンスはいったいどうなんでしょうね)

今日のニュースでBCGの見直しがされると報道されていました。これまで乳幼児に行っていたBCGではツベルクリン反応を省略し、小学1年、中学1年で行っていたツベルクリン反応とBCGを廃止するというもの。ツ反応は結核菌に対する免疫があるか、あるいは結核そのものになっているかを調べる検査です。乳児では生まれてから間もないので、結核にかかっていることはまず考えられず、ツ反応の意味合いはほとんどありませんでした(幼弱乳幼児では結核が重症になりやすいので、BCGは意味があります)。小学生以上では、BCGが結核を予防する効果が少なく、欧米などではすでに廃止されています)。医学的にはもうそうとう前から常識なのですが、国もいったん決めたものはなかなか変えません。やっとという思いです。

日本のお役人たちは、形を守ることばかりに熱心で、中身を大切にしていないような気がしています。もっと身のある議論をし、心の通うシステムを作っていってほしいものです。

2002.5.28(火)

◇ポリオのあと指シャブリ禁止!?

先週でしたか、このHP内の「読者のページ(伝言板)」に面白いことが載っていました。指シャブリの話題から「ポリオ予防接種のあと、30分指シャブリを禁じられたので大泣きして大変だった」というものです。私はその理由が分からなかったので、「ぜひ担当の人に聞いてほしい」とお願いしたところ、とくに理由は見つかりませんでした(探偵の方、ありがとうございました)。

ポリオ予防接種は、現在は経口投与・・つまり飲むワクチンで、腸管に達したあとそこで増殖し、それをやっつけるときに免疫ができてくれます。飲むワクチンですから、飲み込んだ直後に吐き出してしまったら、腸管までワクチンが行かないかもしれないので、吐き出さないようにお願いしています。でも直後に吐き出したら、もう一度飲ませればいいだけ。どれくらいの時間がたてば胃から先に行くか良く分かりませんが(個人差もあるでしょうし)、念のため「30分以内に吐いた場合はもう一度飲ませる」という扱いになっています。

そこで指しゃぶりですが・・どうもこの「吐かないように」から来ている指導のようですね。指を口の中につっこんで吐き出す子がいてはいけないというのでしょう(自分で吐き出そうという赤ちゃんがいるなんて、とても想像できませんが・・)。それがさらに進化(?)して、「指シャブリをしないように」というご注意になったのではないかと思います。

でもよけいなお世話ですよね。先に紹介した赤ちゃんのように、いつも指シャブリをしている子は、それを禁じられたらヒスを出して大泣き→嘔吐ということも十分に考えれます。「指シャブリの勧め」をしてもらった方がずっと吐かずに落ち着いていられるでしょうね。

今日は外来でこんな話を聞きました。やはりポリオ予防接種のあと、「30分間飲食禁止」の指示があったのだが、赤ちゃんが泣いていたので30分過ぎなかったがミルクを飲ませてしまった。今熱などで具合が悪いのはそのためかもしれないと思うと心配で・・ その赤ちゃんは風邪をひいたいるだけで、予防接種とは何の関係もありません。その話をするとお母さんは安心していました。なんと罪作りな指導をする行政でしょうか。どこから「飲食禁止」などというカゲキな話が飛びだしてくるのか、耳を疑いました。きっとこれも「吐かないように」から来ているのでしょう。でも、誤解もはなはだしいです!

母子保健の指導をしていると、こういった間違った指導が決して少なくありません。あるいは「不適切な指導」。先の例のように、誤解に基づいたものもあるでしょうし、時代が変わって考え方が変わっているのにまだ古い指導をそのまましているということもあるかもしれません。子どもの個人差、親御さんの考え方・生き方などの違いをわきまえず、一律に、あるいは間違ってされている指導もあるでしょう。私も含めて、母子保健の指導に関わる人たちは、絶えず勉強し、自分の(自分たちの)指導を見直す努力が必要です。

でも、なかなかうまくいかないでしょう。それは「指導」についての基本的な捉え方が間違っているからです。上から下へ、あたかも見下すような指導というのは、たとえ内容が良くても「指導」として受け入れられません。これまでは「お上の決めたことだから」「そう決まっているから」「みんながそうしているから」といった常套句でごり押しできました。でも、今は違います(違って欲しいです)。「どうしてどうなのか」理由や根拠をきちんと示し、納得してもらいながら物事を進めていかなくてはいけません。理解され、同意されて初めて「指導」の内容が生かされてきます。

もう一度ポリオ予防接種のところに戻ってみます。一番伝えてほしいことは、「30分以内に吐いてしまうと効かないかもしれないので、注意してほしい。その間に吐いたのならもう一度飲んでもらう」ということ。それを伝えておけば、あとは親御さんが自分の子どもについてどうすればいいか、考えるでしょう。具体的な指導が必要だとしても、「どうして指シャブリや飲食が問題になるのか」を説明しておくことで、実際の問題を回避できます。

「こうしなさい」「あれがダメ」という形だけの指導がまだ生き続けているのは、日本人と日本の社会がまだ大人になっていないから。どうしてそうなのか、そのたびごとに考えるのは、ちょっと大変です。でも自分の頭で考えながら、一つひとつ丁寧に物事を進めていく努力はやはり必要だと思っています。

2002.5.27(月)

◇朝日新聞の「転向」

先週来お伝えしているように、はしか(麻疹)の二次発生を心配しながら外来をしています。接触者から風邪症状のあるお子さんが2名でていますが、普通の風邪のようではしかではないだろうと推測しています。でも、ここ数日気の抜けない日が続きます。

先週の金曜(24日)の朝日新聞をご覧になった方は、もしかしたらびっくりされたのではないかと思います。そこには、アメリカでははしか予防接種を徹底したために年間の患者数が数十人まで減った一方で、日本では数十人のはしかによる死亡が出ていること、そしてアメリカでのはしか患者のかなりは日本から持ち込まれ、日本が「はしか輸出国」とされていること・・そんな記事が出ていました。これは、私のHPに来られる方にとっては「常識」でしょうが、実は朝日新聞にとっては「非常識」だったのです。

何年か前、インフルエンザ予防接種を積極的に進めていこうと方針が厚生省から出されたとき、毛利子来氏らが猛反対しました。毛利氏の主張が日本では以前からマスコミで取り上げられることが多く、朝日新聞の中にも信者(?)がいるのではないかと思うほどでした。インフルエンザ予防接種をもっと推進すべきだという私の投書が朝日新聞に取り上げられることになった直後、別のセクションが毛利氏の「インフルエンザ予防接種反対!」という意見を大きく掲載しました。そのあおりをくって、私の投書はボツ。それはおかしいよと編集局とやりとりする中で、(この時、全国の小児科医からブーイングがおこり、中には直接朝日のデスクに電話で抗議された方もおられます)私の投書を毛利氏の論説に対する意見として書き直した上で掲載されました(書き直したのは向こうがしましたが)。

この時に感じがことですが、朝日新聞の中には、マスコミ受けする毛利氏の意見なら、無批判に掲載するんだな、ということです。日本の予防接種の歴史の中で、彼らの果たした役割を完全に否定するつもりはありません。義務として、お上が決めたことだから子どもたちが強制的に受けなければならないという以前の制度は、確かにおかしいものでした。でも、ワクチンや予防接種そのものの効果や価値を全く否定しきってしまう論調は、単純で分かりやすいのではありますが、でも科学的・医学的ではなく、子どもたちの幸せを願っての議論とは相容れないものです。マスコミは「政府に対する批判」→「予防接種無用論」が主流となり、子どもに注射をするとは何事か、といった言い方をずっとしてきました。

そんな「時代背景」をもっていますので、先の朝日新聞の記事は、私にとってはビックリするものがありました。やっと根拠に基づいた議論ができ、子どもたちの幸せを願う気持ちを共有できたという思いがしています。

さあ、明日もはしかの患者さんがでないことを祈りながら、診療することにしましょう!

2002.5.24(金)

◇点滴の子のお母さん、ごめんなさい

先週末の東京での研修会出席のあと、はしか患者発生によるゴタゴタ、B型インフルエンザの流行と、今週は休むヒマなく、ちょっと疲れ気味の院長・・。こんな時は診療も余裕がなくなるので、患者さんとぶつかってしまうこともあります。今日も、お子さんが気管支炎で点滴をしようということになったとき、お母さんが「かわいそう」と言うので、つい「点滴をすることをかわいそうと言われるのなら心外です」と言ってしまいました。きっとそのお母さんは、あまり考えずに話してしまったのだと思うのですが・・ 

ゆったりとした外来で、私も落ち着いて相手をしてあげられるのなら、さらりと流せるのでしょうが、今は真冬並の忙しさ。心の平静さを失って診療をしています。TVにでてくるER(救命救急室)のよう(それとも「野戦病院」?)。でも、案の定、そう言ってしまった自分に腹がたち、胸中落ち着かなくなっていました。まだまだ未熟者です。

明日の午後は、近隣の町村の保育士さんたちの勉強会に呼ばれています。子どもたちの病気やけがのことを1時間半ほど話してきます。何を話してあげようかと、これもいつものように前日になって考えている私です。先日の「子どもの心」研修会での話もとても薬にたったので、そんな中からも頂戴しようかとも思っています。いわゆるパクリ。でも、あらかじめ話の内容を決めておくのはどうも苦手。その場で壇上に立ってから決めるのが得意で、いろいろと考えていってもその通り話したことがありません。まあ、行き当たりばったり、優柔不断は私のお家芸。明日もまたそうなりそうですよ。

2002.5.23(木)

◇素敵なコンサートでしたよ

昨夜は当地で行われた諏訪内晶子ヴァイオリン・コンサートに聴いてきました。彼女は最年少でチャイコフスキー国際コンクールで優勝したあと、ニューヨークを中心に世界的に活躍しているヴァイリニスト。その世界的な音楽を聴きに出かけました(美人で有名ですので、耳よりも目の保養という話も・・)。

技巧的にも世界トップレベルですが、最近はレパートリーも広がり、クラシックから現在音楽、そしてスラブ民族音楽など、なんでも弾いちゃいます。けっこう楽しいコンサートでした。プログラムの受け売りですが、曲の背景にあるものを理解し、彼女なりに表現するようになったのだそうです。優等生的な完璧な演奏だけでなく、幅が広くなったのだとか。(こんなことを言われるのは、余計なお世話ということでしょうか)

このところ忙しくしていましたので、たまの夢のような2時間でした(その半分は本当に夢を見ていたという話もありますが・・)。

今日の診療の中で気になったこと:
(1)あるお母さんから「『2歳まではミルクで十分だ』と書いてある育児書があるが、そうしても良いか」と尋ねられました。体が小さくて心配されている方なのですが、それだからそんな「雑音」が聞こえてしまうのでしょうか。いったいどんな根拠で、0歳後半〜1歳の乳幼児に食事を与えないのがいいというのでしょうか? 医学的根拠もないどころか、どう見ても一般常識から大きくはずれます。そんなことが普通の本に書いてるんですね! ビックリしました。思わず「そんな考えは犯罪的ですよ」と口走ってしまいました。

(2)生後2か月の子が、股のところにブツブツがあるということで来院。診ると水ぼうそう(水痘)でした。保育園にも行っていないというので、誰かまわりで水ぼうそうの子はいなかったかと尋ねると、上の子がかかっていたとのこと。そこまでは当然なのですが、その先・・上の子は他を受診していたのですが、そこで医師より「生後半年まではお母さんからもらって免疫があるからうつらない」と言われたとか。実際には移行免疫はほとんどないので、生まれたすぐの赤ちゃんでも水ぼうそうにかかることはありうることです。そんな基本的なことをどうして分かっていないのかな? 隔離扱いではなく普通に診療を受けたので、他の小さな子にまたうつしてしまったかもしれません。「2週間後に赤ちゃんもかかるかもしれないよ」と教えていてくれれば良かったのにと思って、一人ブツブツと文句を言っていました。

2002.5.21(火)

◇「子どもの心」研修会から

昨日のはしか(麻疹)騒動が一段落し、今日は普通の外来・・といっても、季節はずれ(?)のB型インフルエンザの流行が続いていて、まだ外来はバタバタしています。例年ですと4月末にはインフルエンザの流行が終息するのに、今年はおかしいですね。お天気も梅雨入りのような雨続き。気持ちまでめげてしまいます。

この土日、東京での「子どもの心」研修会に参加してきたご報告をと思いながら、忙しさにかまけています。今回が2回目の参加なので、以前にお聞きしたこともありましたが、でも2年もたつと新鮮に感じるものですね(つまりすっかり忘れちゃったということかな?)。同じ内容もあったかもしれませんが、でもこの2年間で私の問題意識が変わってきているのか、なるほどと思えることがずいぶん増えてきたようです。7月にもまた後半の講義がありますが、今から楽しみです。

この研修会に出たからと言って何か特別に変わることはないかもしれませんが・・でも、子どもたちを毎日診療している小児科医としてのベースが少し出来てきたような気もします(遅まきながら)。その時々の子どもたちの心の様子を考えながら、子どもたちへ声をかけ、診察し、時には処置をするように心がけています(忙しくてつい粗雑になりがちなので、申し訳ないと思っていますが)。子どもたちにとっては、病医院に来て、医者や看護婦さんなどと声をかわしたり、診察を受けたりするのはとても大きな経験です。そんな中で、医者や看護婦さん、大人たち、あるいは医療というものに対して信頼し、少しずついろんなことを学んでいくのだと思います。子どもたちの発達の中で、私たちが担っている役割はとても大きなものだと意識するようになってきました。

また、研修会でお聞きしたことを、私なりに解釈し、お母さん方などにお伝えしてきましたし、今度も伝え続けていきたいと思っています(最も、そのままの受け売りもありますが)。今週には近隣の町村の保育士さん対象の講義がありますので、ちょうど良いネタを仕入れてこられたと喜んでいます(^0^)

研修会の中で心に残ったことがたくさんあるのですが、今日はその中の一つを紹介します。

「乳幼児の心の健康な育ちの条件」(庄司順一・青山学院大学教授)
1. 安心できる環境:親子の間で安定した愛着関係が絶対に必要。その上に豊かな対人関係、人間形成ができてくる。
2. 応答的な環境:子どもの行動に一定の反応が返ってくることも必要。子どもの様子に合わせたタイミングの良い働きかけ。刺激の量ではなく、質が重要。(テレビは応答的ではない)
3. 自己肯定感:子どもが、自分には生きていく価値、愛される価値がある、自分には何かできる、などと自分を肯定的に捉える感覚。日本人は、自分はダメで、生きていてもしょうがないと自己否定的に捉える傾向がとても強い。

そんな言葉も、またゆっくりと噛みしめてみたいと思います。

2002.5.20(月)

◇はしか(麻疹)患者が発生!

先週後半(17、18日)に診療を受けたお子さんがはしかであることが昨夜判明しました。夜、出張から帰ってから接触したお子さんの割り出し、その中でワクチン未接種などで免疫を持たず、はしかになってしまう可能性のあるお子さんについて電話連絡するなど、深夜まで忙しくしていました。今朝は通常の外来の前に、そのお子さんたちへ、経過の説明や注意事項を話し、ワクチン接種をしました。長い長い一日になりました・・

はしか(麻疹)で怖いのは、まず症状がとても強く、死亡するお子さんが出てくるかもしれないということです。日本では毎年何万という単位でのはしか患者が発生し、数十人に死亡があります。先進国でこんな国は日本だけです! アメリカでは年間の患者発生が約100人まで少なくなりましたが、その半分は日本人が持ち込んでいるとして嫌われています(日本は「はしかの輸出国」という汚名をいただいています)。

なぜアメリカではしかが「根絶寸前」まで来ているかといえば、子どもたちへの予防接種の徹底です。では罰則を作っているのかというと、そうではありません。「学校免疫法」(School Immunization Law)によって、小学校に入るときに「はしか予防接種を受けたという医師の証明書」の提出を義務づけています。州によっては2回の接種を求めているところもあります。予防接種をきちんと受けてもらえれば、子どもたち、そして社会をはしかの脅威から守ることができるという、立派な実証試験でもあるわけです(逆に、日本のように接種が不充分であれば、流行は阻止できないことを証明しています)。

このようなことができるのは、アメリカが「契約社会」だからだ、と思っています。ちょっとした仕事でも「契約書」が出てきますよね。お互いの役割、権利や義務を書いておきます。何かトラブルが起きたときに、あるいは起きないようにするのが目的です。予防接種についても、それを受けてあることで「はしかに対する十分な免疫をもっている」→「はしか患者にはならない」、そして「はしかを他の人にうつすことはない」という証明を学校という社会に対しておこなっているわけです。

はしか予防接種を受けていないということは、患者という「被害者」になるかもしれないという本人のリスクの他に、他の方へ感染させる「加害者」にもなりうるというリスクを持っていることになります。このことが十分に理解されていないのが、今の日本の社会です。

実は今回のはしかになった患者さんは、はしかを含めて全ての予防接種を受けていません。保護者の方とお話をしましたが、「家庭での方針」というだけで、詳しいことはお話されませんでした。日本では一部の小児科医が「予防接種は全て害であり、不要」と説いています。「ワクチンを受けるよりも本物の病気になった方が良い」とも。困ったことです。そんな非科学的な考え方が、子どもたちの本当の幸せになるはずもないのですが・・ そんな「俗説」に惑わされている方が少なくないようです。

そんな「積極的な拒否」ではなく、ただなんとなく受けそびれてしまったという「消極的な未接種」もあるでしょう(こちらの方が多いかもしれません)。いずれにせよ、子どもたちをはしかにかからせてしまうのは、本人に対しても周囲の子どもたちに対しても、とても大変なことです。自分の子どもを守り、周りの子どもたちを守り、そして社会全体を守るためにも、予防接種はきちんと受けていただきたいと願っています。それは、大人が子どもにすべき責務ですし、大きなプレゼントです。

2002.5.17(金)

◇伝言板の整理方法を決定!

多くの読者の方に「伝言板」(掲示板)をご利用いただいております。いろんな方の「生の声」を聞くなかで、子育てをしているママたちの様子がよく分かります。私自身も勉強をしているとこともあり、楽しみにしています。

書き込みが多くなるにつれ、インデックスのページが重くなってきています。何とかしなくてはと思いながら、でも重い腰をなかなかあげられなかったのですが・・古いものから順に、別のページに移植することにしました。まず、昨年(2001年)10月分をまとめてみましたので、ご覧になって下さい。

以前、「ただ単に削除するしかない」旨のことを書いたのですが、その後、「せっかくのものがもったいない」というご意見もあり、やはり「大切にとっておく」ことにしました。この作業はやや手間がかかりますので、私の手の空いている時に少しずつ進めていきます。ということで、いつになったら「軽く」なるかは分かりません。期待しないでお待ち下さい。

◇「こどもの心」研修会に出席

明日と明後日、東京で開かれる「こどもの心」研修会に院長が出席してきます。そのため、明日は臨時に休診にさせていただきます。ご了承下さい。

この研修会には2年ほど前に一度参加し、大変にためになりました(「こどもの心」相談医の資格もいただきました)。普段私たち小児科医は、どちらかというと子どもの「体」の問題を主に扱っています。風邪や下痢といった一般的な病気もそうですし、喘息やアトピー性皮膚炎といった慢性の病気もそうです。でも、やはり子どもたちの「心」を理解してあげる中で、よりよい診療ができるものと思います。そして、現在社会の特徴として、心の病気から避けて通れなくなって来ています。子どもの心をよりよく知り、見つめるために、今年もまた参加してきます(今回は前期、後期は7月に予定)。

いろんな方のお話をお聞きするのが今から楽しみです。そして、良い成果をもって帰り、診療の中に役立てたいと考えています。

2002.5.16(木)

◇医院は人形の館!?

当院のディスプレーで誇れるものが2つあります。一つは「ゆめいろ人形」で、近隣の小野裕子先生が作って下さるオリジナル人形です。専用の人形ケースの中にはテーマを決めて作製されたお人形たちが並んでいます。年に何回か作っていただいているのですが、時々私のアイデアでテーマが決まることもあります。今お願いしているのは「病児保育室の様子」で、病気で保育園に行けない(外で遊べない)子どもたちと、そんな子どもたちを優しく見守っている優しい保母さんをお人形にしてもらおうと思っています。私のリクエスト(思いつき?)に先生がどう応えてくれるか、今から楽しみです。

もう一つは、多くのディズニーのフィギアーたちです。高さ30センチほどのディズニーの仲間たちが、玄関から子どもたちを歓迎してくれています。待合室、廊下、診察室、処置室、保育室など、いろんなところに顔を見せて、さながらディズニー・ランドのようですよ。もっと小さな置物は、診察室の机やカウンター、受付のカウンター、第2診察室にショーケースの中などにも置いてあります。その数は・・数えたことがないのですが、きっと50点はあるでしょうね。

これらはほとんど私が買ってきたもの。以前、東京に出張ででかけたとき、たまたま渋谷でディズニー・ストアーを見つけ、そこで買ったのが最初。以来、病みつきになり、東京に出かけるたびに買いそろえてきました。最近は新潟市でもお店を見つけたので、そこにも「買い出し」に行くのを楽しみにしています。

どんなフィギアーがお店に並ぶかは、お店の人も入荷しないと分からないということなので、入り次第FAXしてもらうことになっています。ちょうど娘が新潟市内に住んでいるので、とりあえず見に行かせ、医院に合いそうなものなら押さえておいてもらい、私が出かけた時に購入してくると言う「システム」ができています。先週末にもグーフィーのフィギアーを買い求めてきたばかりですが、昨日のFAXでは「ジムニー・クリケット」が入ったとのこと。それって何? でも、何だか楽しそう。娘からのメールを楽しみに待っているところです。

ということで、医院は人形の館になってきています。ご興味のある方、「人形ワッチング」のツアーにいらして下さい! お待ちしております。

2002.5.15(水)

◇未熟児の命を育(はぐく)む

今日の午後は保健所でお仕事。未熟児の健康相談に行ってきました(2か月に1回)。未熟児・・今は低出生体重児と言いますが、2,500グラム以下の小さい赤ちゃん。ここに来るのは、そう自宅で過ごしていて、発育や発達のチェックを受けたり、心配事があったら保健婦や医師が相談にのるというものです。今はもう大きくなってきているので、「元・未熟児」とでも言うべきでしょう。

近年の医療技術の発達はすさまじくて、体重で1,000グラムぐらいはさほど後遺症を残さずに育てることができるようになってきました。500グラムぐらいになると、いろんなトラブルがでてきてしまいますが、それでも大きくなってテレビで取り上げられることもありますね。

こんな未熟児卒業生を見ていると、思い出されることがあります。実は私の3人の子どもたちは、みんな未熟児だったのです。中でも一番小さいのは1,900グラムぐらい(正確な数字を覚えていないのが、頼りないパパだと証明しています)。一応(?)ちゃんと育ってくれたので嬉しいのですが、でも小児科医でもこんな感じなので、未熟児で産んでしまったということを心配したり、悔やんだり、自分を責めたりする必要はないですよ。

3人とも、最初は未熟児用の保育器に入りました。長い子は1か月ほど入院していましたので、私の役割は毎日オッパイを届けること。私が研修医をしていた病院の産婦人科に入院していたので、毎朝と夕方の面会が日課でした(お昼間も仕事の合間によく行っていましたが)。下の子は、私はもう小児科医をしていましたので、自分の病棟で入院させ、黄疸の治療をしていました(といっても、毎日外泊するので、朝いっしょに出勤し、夕方いっしょに帰宅するということをしていました)。なんだか、のどかな思い出があります。

もう一つ思い出すのは、自分が未熟児室の勤務をしていた時のことです。未熟児は呼吸や心臓の動きが安定しないので、いろんなモニターをつけています。心拍に従って「ピ、ピ・・」と音だするのですが、それが未熟児の数だけあり、その部屋にいる限りずっと鳴り続けています。勤務が終わると、頭の中でまた「ピ、ピ・・」としています。眠ろうとしてもまだ「ピ、ピ・・」、最初のころはノイローゼになりそうでした。

少しでも呼吸が弱まると直ちに処置をしたいといけないので、勤務中は緊張の連続でしたが、でも、赤ちゃんが元気に育ち、保育器から出て、お母さんとお父さんに抱かれ、そして退院していく姿をみると、やっぱり嬉しかったですね。小さな命を守り、育てることができたんだという、充実感!

とくに未熟児で生まれると、「元気であってくれればいい」「健康に育てば、他には何も望まない」なんて親はみんな思うもの。私もそうでした。でも・・だんだんと子どもが大きくなると、あれもこれもと、多くを求めるようになってしまいますね。それもまた親なんでしょうが、子どもが生まれた時の「初心」は忘れ去られる運命にあるようです。

2002.5.14(火)

◇ネットで園にいる子どもの様子が見られるようになったら

昨日読んだ新聞に、「保育所にIT」というのがありました。保育園にカメラを設置、ブロードバンドを使ってネット上で親御さんが子どもの様子を見ることができるというもの。なるほど、こんなこともできるようになったのかと、感心しました。自分の子どもがどうしているか、仕事場からリアルタイムに知ることができます。みんなと楽しく遊んでいるか、いじめられていないか、具合が悪くはないか・・心配の種は尽きません(中には、保育者から虐待されていないか、なんて、考えてみたくないようなことも心配しなくてはいけないご時世になっています)。

技術は「冷たいもの」ではなく、人々に生活を豊かにし、人に優しく、暖かいもの。インターネットの技術がここまで急激に発達してきていますが、こんな使い方はまさにその代表なのでしょうね。

当院にも小さいながらも「わたぼうし病児保育室」が併設されています。病気で具合の悪いお子さんを預かるわけですから、親御さんのご心配はさぞ強いことでしょうね。この「ネットを通したカメラ」はピッタリ!とも思ったのですが・・熱があってフーフーしていたり、吐いていたり、ぐずっている子どもの姿を見てしまうと、余計に心配になってしまいそう。私も含めて医療スタッフもついているわけですから、何かあればきちんと対応できると信じていただいて、お仕事中はお子さんのことで煩わされないぐらいのことが必要のようですね。

そんなことで、この案は却下!(そんな資金もありませんし) それに、もしかしたら可愛い保育士さんを見たくて、仕事をそっちのけでネットをつなぎっぱなしにするオジサンもでてこないとも限りません。やっぱりやめておいた方がいいようですね。

2002.5.13(月)

◇お人好しの日本人

中国で、日本の領事館に助けを求めてきた北朝鮮の家族が現地の警官によって拉致されるという事件が、先週末から大きな問題となって取り上げられています。一部始終をとったTV映像があり、それが全てを物語っています。中国が正当性を主張している「暴漢」ではないことは、あの2歳の女の子とその母親をみれば明らかです。

それとともに、日本領事館の人たちの様子には、あぜんとするものがあります。中国警官の帽子を拾い集めてあげる親切さは、その部分だけを見れば、なんといい人なんだろう、みたいな感じです。でも・・武装警官が他国の主権を侵害し、目の前で子どもを含めて丸腰の人たちが、それも日本に助けを求めてやってきているのに、あの態度はないでしょう。世界中にあのTVが流され、また日本は物笑いの種にされていることでしょう。

危機管理の問題もありますが、やはり「人権」、「国家の主権」・・そんな一番大切なものが欠落しているのが根本問題です。中国側は「日本の副領事の許可があった」とし、日本は「そんなことはない」と反論していますが、あの映像からは「やっぱり中国の言っている通りかも」などと思ってしまうのは、同じ日本人として何とも情けないことです。その場で、中国側の「暴力」に対して毅然として抗議した、などとはとても思えませんね。ただのお人好しのオジサンのよう・・

でもとっさの時は、なかなか思うようにできないものですね。私も先日、こんな経験をしました。家族と買い物に行ったとき、疲れていて自家用車の中で一人で休んでいたときのことです。右隣の駐車スペースに入ってきた軽自動車の助手席のドアが勢い良く開き、私の車の側面にぶつかりました。ウトウトとしていたので、一瞬何がおきたか分からなかったのですが、そうとうに大きな音がしました。ややあって外に出てみると、若い女の子が二人、車のトランクから荷物を出していて、買い物に行こうとしています。私が降りてきても、自分の方からは声をかけず、まして「すみません」もありません。

私が「今ドアがぶつかったよね」と話し、ドアにペンキが付いているのを確認しても、何も言わないでいます。その時は、彼女たちが困ったと思って立ちすくんでいるようにも見えたのと、へこんではいないように思ったので、「気をつけて行きなさい」とだけ話して、そのまま行かせてしまいました。

でも・・やっぱりへこんでいましたし、少し時間がたつと、名前も聞かなかったし、修理のことも相談しないでいたことも腹立たしくなってきました。それにもまして、自分の方から「すみませんでした」と言わないのに、私が気を使って相手をしてあげてしまったことに、やるせなさも覚えていました。車もへこみましたが、私の気持ちの方がへこんでしまった一日でした。

そんな時、危機管理の能力があり、いろんなケースを想定して、瞬時に的確な対処ができるようにしてあれば良かったのでしょうが、とてもとても・・ まだ若い女性でしたので、トラブルを起こしたときに自らとるべき態度について、これを良い機会として勉強してもらうぐらいの度量があっても良かったのですが、それもできませんでした。彼女たちが今回のことを反省し、社会人として成長するせっかくの機会を失わせてしまったようにも思います。多少は長く生きてきた者としての義務も果たせなかったわけで、情けないですね。

私も同じ「お人好しのオジサン」。自分にもできないのに、人のことをあれこれ言うのは、やっぱり気が引けますね。(もちろん、組織としての領事館、外務省、そして日本政府がめちゃくちゃにおかしいと言うことはいっていこうと思いますが)

2002.5.10(金)

◇どうしてこの日誌を書いているんだろう

今週は連休疲れもあるのか、子どもたちの体調が今一のような感じでした。インフルエンザもまたぶり返してきました。とくに火曜、水曜はインフルエンザによる高熱のために熱性けいれんをおこした子が続き、ちょっと緊張した外来でした(もしやインフルエンザ関連脳症では?などと考えると冷や汗がでてきます)。

明日は第2土曜で休診になっているためか、今日の夕方はまた混み合っていました。点滴をした子も少なくなかったので、みんな、この週末を元気で過ごせるといいなと思っています。

先日、「伝言板」の中に日誌(日記?)を書いて下さる方がおられました。いつも私のものを読まされて(?)、きっと欲求不満だったのでしょう(^0^) 他の人の書いたものを読むのも楽しいですね。自分の話が、とても狭い世界から抜け出ていないことがよく分かります。どうぞ、いろんな方の日記をお待ちしております。(先日もお話ししましたが、その整理をどうするか困っています。どなたかよいアイデアはありませんか?)

そもそも私がこの日誌を書いているのは、どんな意味合いがあるのでしょうね。「HPの更新記録」と副題をつけていますが、毎日のようにどんどんと変わったり、追加したりしているので、実際には記録になっていません。「記録」をして使っているのはアクセス・カウンターが万の単位で変わるときぐらいでしょうか。私にとって意味があるだけで、皆さんには関係ないですね。

どうも、自分のことや、自分の思っていることを書くのが好きなんでしょう。「自己主張」が強く、「自己顕示」的で、「自己中心主義」であり、ナルシスト! もう嫌らしさの典型のようです。そんな私の戯言(たわごと)におつき合いいただき、申し訳ありません。でも・・まだまだ続きます(続けます)! どうぞ、よろしく(^_-)

2002.5.9(木)

◇地域で一番年長の小児科医

連休が終わって普通の生活に戻ったかと思いきや、もうすぐ週末。普通のペースが作れないまま、バタバタとただ忙しくしているだけです。そんな中でふと気づいたこと・・

私の医院のある上越市は、もともと直江津市と高田市が合併してできた複眼都市なので、経済・生活など、今でもセパレートしているところもあります。当院は「旧直江津地区」にあります。この地区では小児科医のいるのは、病院が2つと医院も2つ(もう一つの医院はお年寄りの先生なので、実質上は私のところだけ・・そんな言い方をすると怒られるかな?)。一つの病院に長くお勤めだったベテランの小児科医が今春退職され、みな若い先生に代わられました(病院には35歳、31歳、28歳の3人の先生がこられています)。そうなると、私(45歳)が実質上一番の「年長者」! そうなると、患者さんに対する責任も今以上に重くなるのかな、などと急に背筋を伸ばしているところです。

私がこの地に開業して、来月で12年になります。1990年(平成2年)6月、33歳の時に開業しました。それまでは地方の勤務医をしていましたので、今にしてみるとずいぶんと思い切った転身をしたものです。医者の世界も「二世医師」(「ニセ医師」ではありませんよ)が多いのですが、私には関係なく、何もないところから作ってきました。この世界もいろいろとあります(とても書けない話がいろいろ)ので、今でも私は「新規開業医」と思っているのですが・・ そんな私が、この地区で年長の小児科医になったのですから、おかしなものですね。

当院の目指す方向は「重装備の診療所」。看護婦を始め、そうとう多くのスタッフを抱え、できるものは院内で検査し、ある程度の点滴などの治療は院内でしています。病院の先生にお願いすることはそれほどなくてすんでいます(もっとも、私がお願いしなくても、患者さんが「自主的判断」で私から離れ、病院に行かれているかもしれませんが)。

これは勤務医時代、一人で外来も入院も切り盛りしている時に身についた習性(?)。入院の患者さんが多くなるととても一人では手が回らなくなるので、できれば外来で何でもやっちゃうというもの。地域の皆さんと親しくしていたので、子どもが入院すると親御さんがとても大変だという事情も分かっていたからでもあります。

イギリスの家庭医が聴診器一本で仕事をしているのに比べると、私の医院は巨体を駆使しているような感があります。さあて、そのオーバーしている体重は、鍛えられたマッスルか、ただの贅肉か・・それは患者さんのみが知る?? よく分からないことを言っていますが、この地域ではもっと「重みのある発言」をしなくてはいけないよう。そのためにはもう少し修行をしなくては。

2002.5.8(水)

◇今、「掲示板」のことで困っています!

毎日多くの方にこのHPを訪問していただいており、感謝しております。私の作り方は「旧態依然」、ちっとも新しくてカッコいいものになりませんが、一度スタイルを作るとなかなか変えられないもの。HP界の「守旧派」、あるいは「化石」と言われそうですが、でも、形だけ新しくして中身がないのよりはいいと思っています(負け惜しみ!)。作っているソフトも古いものですが、新しいものを使いこなす自信もありませんし、更新するのも、勝手がよく分かっているとさっとできるので、私にはなかなか手放せません。

でも、HPの中で今困っていることが一つあります。それは「掲示板」です。こちらも多くの方に書き込んでいただいて、盛況であることはうれしいのですが、内容が多くなってきて、ページを開くのが重くなってきています。HPのために使用しているレンタル・サーバーを変更したことを機に、今の「掲示板」になったのですが、昨年10月から今までの約半年間で300件近い書き込みがあります。何とか整理をしたいと思っていたのですが・・

今使っている「掲示板」は、この会社が用意している標準のものです。問い合わせをいていたのですが、以前のものを整理する方法はないとの返事がきました。一定の期間を過ぎたものを他のページにうつすなどという機能はついていないということ。そうすると、古いものから削除していくしか方法がありません。でも、せっかく多くの方に書いてもらったものを消してしまうのも失礼ですし、もったいないようにも思います。

一方で、あまり古いものを今読むということをするのだろうか、という疑問もあります。私はその都度読んでいますが、新たに訪問された方が、かなり以前のものまでさかのぼって読んでいくことは、きっとしないのではないでしょうか(そこの新たに書き込んでも、ページの下の方になるともう誰にも読まれないという悲惨な状況も生まれていますね)。

ということで、一定の期間(1〜2か月ぐらい?)を過ぎたら、私の方で削除していくしか方法がなく、それがベターなような気がしているのですが、いかがでしょうか? こんな問いかけをしても、別に多数決をとるわけではありませんが、「私の書き込みをゼッタ消さないで!」などというご意見(要望)がありましたら、お知らせ下さい。

もう少し考えてみますが、はやりそれしかない、という結論になったときは、バサッと削除してしまうかもしれません。どうぞ、ご承知おき下さい。

2002.5.7(火)

◇連休中の初体験

GW後半の4連休も終わって、またいつも通りの外来風景。休み明けということで、バタバタと忙しくしていました。休みボケの頭と体をフル回転させながら、患者さんの診療をしていました。きっと鼻息も荒かったことでしょう(T_T)

久しぶりの大型連休。子どもが小さいときには遠くに出かけることもあったのですが、最近は家にいることが多いようです。私にとっては「家にいる=非日常」。でも家内は「家にいる=日常」。ここに不一致も生まれて来るんでしょうね・・(と言っても何かあったわけではないですよ。誤解のないように)

GW前に我が家にDVDプレーヤーが届きました。カードで買い物をしているうちにたまったポイントでもらったものです。では、連休中に少しゆったりと映画でも見ようかと思って、レンタルで3本借りてきました。ゆっくりとTVを見ることも、私にとっては「非日常」。レンタルも恥ずかしながら初体験!(レンタル店で若い店員から受けた説明がよく理解できなかったには参りました)

プレーヤーをセットし、さあ見よう!という段になったのに、器械がDVDを受け付けてくれません。音楽のCDではちゃんと音がでてくるので、配線のミスではありません。「初期不良」というヤツです。仕方なく、修理にだしたのですが・・ でもせっかく借りたDVDを見ずに返すのはしゃくにさわったので、お店で1台買ってしまいました。結局新たに出費したわけで、あのプレゼントは何だったんだという思いもあります。(タダほど高いものはない?)

でもこの初期不良は私にとっては「日常」。娘に買ったMD付きのラジカセも、いっしょに2回目の修理に出しました。このところいろいろと続いています。どうも「機械運」がないようですね。

でも、今回は近くの量販店のお世話になりました。DVDプレーヤーは東京のデパートから配送されたもので、しかも買った日付が記入してなかったのですが、それでも気持ちよく引き受けてくれました(最初、日付がないので保証期間内か確認ができないと言われましたが、器械には「2002年製」とあるので、それはあり得ないと話したら、あっさりと受けてくれました)。ラジカセはすでに初期不良で一度交換しているのですが、その時に「保証書」を無くしてしまったようで、今回は有償でもしかたないかなと諦めていたのですが、お店に残っていたクレジットの控えを探し出していただき、それで確認できたので「保証期間内」の扱いにしてくれました。感謝! そんなこともあって、思い切ってもう一台買ってしまったという顛末です。

そのお店は「コジマ電気」。安くもしてくれましたし、感謝しています! ありがとうございました。HPの場を借り、御礼申し上げます。(なにやら目的外使用になりました)

2002.5.2(木)

◇明日からGW後半

4連休前ということで、とくに夕方は慌ただしい外来でした。明日から心配なく休めるようにと、ぎりぎりまで点滴やら処置やらをしていました。中にはご心配な方もおられることでしょうが、連休中、楽しく元気良く過ごせるよう祈っています。

ゴールデン・ウイーク(GW)というのは日本だけなんですよね。たまたまいくつかの祝日が続いていて出来た、偶然の連休です。でも、仕事に熱心であまりきちんと休みを取らない日本人にとっては、こんなことで「強制的に」休みをする必要があるんでしょうね。

子どものことは当たり前に感じていた連休ですが、一度だけ「ああ、GWがあって良かったな!」としみじみと感じたことがありました。それは大学1年の時です。それまで18年間、親元で暮らしていた私が、大学に入って初めての一人暮らし。栃木県という見知らぬ土地で、誰一人知り合いのいない中で、緊張しながら過ごしていました。全寮制という変な大学なのですが、いつも周りに新しい友人や先輩がいてくれるのもにぎやかで嬉しいのですが、人見知りのひどい私にとっては、人との距離をどのようにおけばいいか、絶えずストレスにさらされてもいました。

そこに授業の内容のこともありました。高校時代は「受験」という大きな目標のために勉強を続けていましたが、医学部に入って急にその「束縛」から放たれ自由になったのはいいのですが、でも、新しい目標や目的が見いだせない。医者になるために医学部に入ったのに、始まった授業は数学、英語、倫理・・ 一般教養も大切なのでしょうが、でも、さあ医学を勉強しようという高い理想!?に燃えていたのに、何だか肩すかしをくったような気持ちになりました。あるいは、目の前の強大な目標が急になくなり、気持ちがしぼんでいったのかもしれません。世に言う「五月病」ですね。

そんなとき、GWを利用して帰省しました。何をするでもなく数日を実家で過ごしただけですが、でも、その後は気持ちの切り替えができたのを今でよく覚えています。日本人にとって、4月から始まる新しい生活がいったん休息するという、いちばんいいタイミングでGWがあるんだなと思いました。

このGWもそんな過ごし方をしておられる方が多いことでしょうね。ゆっくり休んで、来週からまた頑張って下さい!

2002.5.1(水)

◇あの小学生が国会議員に!

今日から5月。昨日からの雨も上がり、お昼間は暑いほどの良いお天気になりました。文字通り「五月晴れ」。GWは学校の子どもたちが勉強に集中できないのか、遠足を計画するところが多いようですね。夕方街に出ていたら、デイパックを背負ったジャージ服の子どもたちがたくさんいました。

このところ新潟が全国的に注目されていましたね。参議院補欠選挙のことです。結果は、野党側の黒岩宇洋氏が与党側の候補を大差で破り、小泉政権の今度も絡んで盛んに取り上げられました。

この黒岩氏、私は多少は存じています。といっても本人ではなく、彼の両親のことです。お父さんは内科のドクターで、宇洋氏を育てていたことは大和町(新潟県)で病院に勤務。医療、保健、リハビリを一つの地域で一緒にやっているという、当時としては画期的なシステムを作っていた医者たちの中心にいました。東大出身で、同じ志を持つ三人の医者が田舎の町で始めた壮大な試みでした。

私が医学生だった頃、日本で先駆的な仕事をしている先輩医師のところを訪れ、直接いろんな話を聞かせてもらったり、活動に加えてもらったりしていました(今思う若気の至りと冷や汗ものの話がいっぱいあります)。大和町にも、医学部の先輩と数人で、夏休みのある日、なんとアポなしで飛び込んでいきました。変な奴らが来たぞと、きっといぶかしがられたでしょうが、でもすぐ受け入れてくれ、そのまま泊まり込みました。そこはG先生のお宅で、黒岩先生のお隣でした。黒岩家は子沢山で、その長男の宇洋氏は当時は確か小学生。ご両親のしっかりしたお考えのもと、自分のことは全て自分でするものと躾られていたようです。

実は黒岩家から国会議員を輩出したのは宇洋氏が初めてではありません。お母さんの秩子氏がすでに衆議院の比例区から議員になっています(堂本暁子氏が千葉県知事になったときに議員を辞退し、その繰り上げ当選しました。長く不登校児のための塾を作ったりしていて、ただの主婦ではありません)。すごいものです。お父さんも、当選はしていないのですが、大和町の町長選に立候補した経歴があります。今はその町で開業医をしていますが、しかしそのパワーは強大で、老人の在宅医療についての全国的な研究会を主宰するほどです。私のようなしがない開業医とは雲泥の差です。

医学生当時のことも、この文を書きながら思いおこしているのですが、日本の医療制度を変革しようなどという高邁な(傲慢な?)理想に燃えいた頃もありました。いろんな人にもあったものです。長野の若月俊夫氏(農村医学の草分け)のところへは、毎年夏に開かれる農村大学によく出かけていきました。徳州会を始めた徳田虎夫氏にも大学にお越しいただいて熱い議論をしたものです(本当に燃えたぎった熱い人でした)。

先の大和町には、その後も継続して大学(自治医大)から学生が実習におじゃましたり、医師を派遣したりというお付き合いをしています。当時のスタッフは少しずつ交代し、昨年からは私の2年先輩が病院長を引き受けています。私たちの無謀なまでの好奇心が、こんな形で実を結んでいると思うと、恥ずかしいやらうれしいやら。

さて、では塚田いったい何をしているんだ! なんて声が聞こえてきそうですね。卒業してからほとんど大学にも寄りつかず(2回ぐらい行ったかな?)、「糸の切れた凧」状態。「わたぼうし」のように、風で飛んでいった先で芽を出せばそれで良しとして下さいな。(でも、まだ花を咲かせてはいませんね・・)

「こども通信」5月号が今日できました。どうぞお読み下さい。

このページの
トップへ

日誌索引の
ページへ

先月の
ページへ

このホームページ
のトップへ