1998年5月号(89号)

四月も異常気象だったのでしょうか。あまりの暑さに、桜の見頃な時期も短く、もう夏のようなお天気でした。

しっかりと雨が降り、強い日光もあたるので、花や草の成長は早く、庭の草取りをちょっとさぼったら、あとが大変になっていました。

保育園に行くと風邪をひきやすい?

先月から保育園・幼稚園に子どもを通わせたけれど、もう風邪をひいて休んでしまった、この先が思いやられるといった気持ちでいるお母さん方も、少なくないでしょう。とくに初めてのお子さんの場合がそうだと思います。

子どもが熱を出したり、具合が悪くなる病気の大半は感染症です。細菌やウイルスが体に入り込んで、いろんな症状をおこします。一番は風邪で、熱、のどの痛み、咳、鼻水などをおこします。数日で症状がとれて、良くなるわけですが、それは病原体に対する免疫ができ、それをやっつけることができたからです。病気が治ったとき、病気に対する抵抗力が一つ増えたわけです。

赤ちゃんは、お母さんからいろいろな免疫をもらって生まれてきます。お母さんが数十年の人生の中で獲得してきた様々な免疫を、生まれたばかりの赤ちゃんはもっています。しかし、その効果は数カ月で次第に弱くなっていき、あとは、自分で作り出していかなければなりません。

病原菌との戦いを通して、生きていく力を蓄えていく時期が必要なのですが、それが集中的に行われるのが、入園直後というわけです。

家庭にいて接触する範囲が狭いと、そんなには風邪などをひかないものですが、子どもたちの集団の中に飛び込むと、実に様々な病原菌と出会います。そして、しょっちゅう小児科通いをすることになるわけです。

私の経験からは、半年ぐらいは仕方ないと思っていて下さい。それが過ぎれば、だんだんと丈夫になっていきます。

また熱をだした、またお休みだ!などとあわてたり、落ち込んだりせずに、ゆったりと見てあげて下さい。

園での服薬をどうしていますか

保育園(幼稚園)での服薬について、お問い合わせが多くなっています。お昼の服用をどうすればいいかということです。

園の先生も多くの子どもたちをあずかっていて、万一間違いがあってはいけないという心配をされているようです。そこで、通常のお薬については、昼食後の薬を家に帰ってきておやつを食べるときに飲み、夕食後の薬を遅めに、寝る前に飲んでみてはどうかとお話をしています。(この方が、八時間ごとの服用に近いという考えもあります。)

一部には1日2回の服用ですむ薬もありますが、喘息やアレルギーをおさえる薬など、比較的最近の薬がほとんどで、よく子どもたちに処方する感冒や下痢のための薬にはあまりありません。本来1日3回のむ薬を2回に分けて飲むと1回量が1.5倍になってしまいますので、副作用がでやすいなどの問題があり、おすすめできません。

しかし、中にはどうしても昼食後(または在園中に)服用しなければならないこともありますので、その時には必要性、薬の名前や効果、気をつけておくべき副作用などが分かるよう、当院から文書を出してお願いするようにいたします。そんな時には、ぜひ園でもご協力いただきたいと存じます。

なお、薬を飲ませることは医療行為だから園では絶対にしないという言い方をされているところもあるようですが、どうでしょうか。例えば子どもが水に溺れたとき、人工呼吸という救命処置を一般の方にもしていただかなくてはなりません。医療行為だからしない、では通らないはずです。

何の薬であるかも分からず、ただ保護者の要望通りに飲ませている現状が良いとは思いませんが、一方で本当に必要なときには、柔軟に対応して欲しいものです。

これをきっかけに、保護者、園の先生方、そして私たち小児科医がそれぞれの意見を出し合い、十分な話し合いがもたれるといいですね。

日本脳炎の予防接種が始まりました

今年も日本脳炎の予防接種をうける季節になり、当院の予防接種外来もずいぶんにぎやかになってきました。

日本脳炎という病気をご存じですか。実は私もこの患者さんを診たことがないので、本の上での知識なのですが、以前は日本でも相当の数の患者さんが発生していた病気です。今は国内での発生は、毎年数十名程度に激減しています。

このウイルスが人の脳の細胞を侵し、高熱、嘔吐、頭痛といった症状から始まり、意識障害やけいれんをおこします。死亡率も高く、生存しても脳の後遺症を残すことも少なくありません。

現在も東南アジアなどで大流行を繰り返しています。国内の発生率がずいぶん少なくなったのは、予防接種によって積極的に予防しているからで、病気にかかる危険が少なくなったわけではないのです。

日本脳炎ウイルスは豚の血液の中で繁殖し、蚊によって人に伝染しますが、新潟県の調査でも、毎年50〜80%の豚からウイルスが検出されており、決して無防備で良いとは思えません。また将来、東南アジア方面に旅行に行くかもしれませんので、幼児期にきちんと免疫をつけておくことが大切です。

日本脳炎は暑い季節に発生します。例年7、8月がそうですので、どうせ受けるなら、それまでに終わらせておくと良いでしょう。

法定の予防接種は3歳から始まり、3歳で2回、4歳で1回受けます。上越市は完全に個別接種で行っていますが、他の市町村も、集団での接種ができないときは、当院で個別接種を受けることができますので、窓口にお問い合わせ下さい(大潟町はできません)。いずれも無料です。

(詳しくは、当院の「ヘルスレター」 を見て下さい。)