1998年7月号(91号)

長い梅雨のためか、6月の日照時間は例年の約半分。台風の発生もまだゼロとのこと。農作物への影響や、夏の水不足も懸念されます。

今年の梅雨明けは早いという話です。すでに園や学校のプールは、子どもたちの歓声でにぎやかです。2ヶ月ほどの短い夏ですが、存分に楽しんで下さい。

でも、水の事故だけは決しておこさないように。日本では毎年、不慮の溺死(おぼれる事故)で400名ほどが亡くなっています。とくにお風呂、庭の池、簡易プールなど、身の回りの場所での事故が目立ちます。十分にご注意下さい。

赤ちゃんのうつぶせ寝は危険

先月、乳幼児の突然死(乳幼児突然死症候群、SIDS)を防ぐための注意が厚生省より発表されました。日本でも年間600人ほどの赤ちゃんが原因のはっきりしない急な死を迎えているということです。

保育する上で、人工乳、父母の喫煙、うつぶせ寝の3つが危険度を高めています。逆に、母乳で育て、家庭内では禁煙に、特に父母は妊娠中からタバコを吸うことをやめ、さらにできるだけ仰向けで保育することが重要だということです。

SIDSの本当の原因はまだ分かっておらず、決して一つの要因でおきているわけではありませんが、しかし、見過ごすことのできない大きな問題です。少しでも不幸な事態を少なくするために、親や大人がすべきこと(してはいけないこと)がはっきりしてきましたので、くれぐれも気を付けていただきたいと思います。

しかし、心配し過ぎて神経質になってもいけません。ポイントを的確につかんで、おおらかに子育てをすることも、また大切です。(禁煙だけは、本人の健康の問題もあり、ぜひ実施して下さい。)

夏になると、食中毒が発生しがちです。食品の衛生、調理の注意をよく守り、事故のないようお願いします。特に腸管出血性大腸菌O による食中毒は、今年も各地でおきています。くれぐれもご注意を。

子どもの夏かぜあれこれ

子どもたちの感染症は、季節によって違いがあります。小児科医はそのときどきの流行によって、季節感を感じています。

暑くなると必ずいくつかの感染症を見るようになります。

手足口病は夏かぜウイルスの代表ですが、小さな水ぶくれが手のひらや足のうらといった皮膚にでたり、口の粘膜にできるので、この面白い名前がついています。皮膚の発疹は痛くもかゆくもないのですが、口にいっぱいできるとしみて、食事を食べなくなります。熱はでないか、でても微熱。元気もよくて、具合が良ければ普通に園や学校へ行かせてかまいません。

3、4日で治りますが、これをおこすウイルスはいくつかあるため、何回でもかかる病気です。腸管内で繁殖し、一ヶ月ほどは肛門から排出され、伝染力があるといわれていますが、この程度の伝染性はしかたないと思います。

ヘルパンギーナもよく見かけるようになりました。こちらは、39度以上の高熱がでて、のどの発疹のために口の中がとても痛くて、食事がよくとれなくなる病気です。2、3日すれば峠をこえますが、手足口病と違って、つらい病気です。

こちらも夏かぜウイルスによるもので、やはりいくつかの種類のウイルスが知られています。

その他には、咽頭結膜炎もあります。のどの痛み、高熱、結膜炎症状(めやに)が主な症状で、プールで伝染することも多いため、プール熱とも呼ばれています。伝染力が強く、学校伝染病にも指定され、数日のお休みが必要な病気です。

このほか、特に名前の付いていない夏かぜもたくさん見かけます。何か発疹(赤いブツブツ)ができやすいもの、咳や鼻水のような症状はないけれど高熱をだしやすいものなどもあります。

いずれの夏かぜも、腸管の中で繁殖するウイルスが主な原因ですが、そのために髄膜炎などの神経の合併症をおこしがちです。(神経は腸管の一部が変化してできあがるので、似通った細胞の構造をしているのです。)夏かぜの経過中、急な発熱、強い頭痛、そして繰り返す嘔吐があったら、すぐ受診をして下さい。

込み合う小児科外来の上手なかかり方

1週間の小児科外来の流れは、一定していません。とても騒がしく、にぎやかな日もあれば、わりとゆったりとしている時もあります。

最も患者さんの集中するのが、休日明け(月曜など)の午前中。その次が休み前の土曜日。特に2、3日の連休のあとは、とても混雑します。また、1日の中では、午前9時〜11時頃までの午前中のほか、午後5時以降も混んできます。

当院では予約診療もあわせて実施し、できるだけ患者さんが集中しすぎないようにしていますが、それでもうまく行かないこともあります。

これが他の診療科では、予約だけにしたりして、混み合わないようにもできるのですが、小児科は何といっても感染症などの急性疾患が主であるため、難しいようです。

それでも、水、木などの1週間の半ばの日や、午後の早い時間などは、意外にすいていることがあります。(もっとも季節によっては、そんな日や時間でも混み合っていることがありますが。)

湿疹、軽い風邪症状など、急がないでも良い病気や、喘息、アトピー性皮膚炎などの慢性の病気の方は、混み合いそうな日・時間帯を避けて受診されてはいかがでしょうか。
  

先月、当院でお願いしているモニターさんから、この通信や診療などについて、貴重なご意見をいただきました。ありがとうございました。早急に改善すべきことなどもありましたが、いずれそれらの結果もご報告する予定です。