1998年8月号(92号)

八月に入ってもまだ梅雨明けしない変な気候です。先月はメチャ暑い日が続いていましたのに。生活のリズムや食事に気をつけて、夏を乗り切って下さい。

夏には皮膚のトラブルに注意

子どもたちの皮膚のトラブルが増えています。汗疹、とびひなどは、スキンケアに注意すればある程度は防げます。毎日の入浴以外に、日中もシャワーで汗を流したり、こまめに衣服を着替えたりして下さい。プールでは塩素の消毒で皮膚が痛みがちですので、早めにお風呂へ。小さい子にとっては、家でのプール遊びは最高。肌の手入れにもなります。

子どもたちの皮膚は弱いので、汗でベトベトの状態では汗疹やとびひができがち。いつもサラサラにさせていることが大切です。

冷房には「人間センサー」を

今の育児の中で、適度な冷房は仕方ないと思っています。子どもたちが寝付くまでは、軽くクーラーをかけ、寝入ったあとは弱くしたり、止めたり。夜中にまた暑ければ、短い時間、またかけても良いでしょう。

でも、必ず大人がいっしょについていて下さい。時間がたつと弱くなるセットもついていますが、子どもの様子をみて加減することは、決して機械にはできません。一番良いのは「人間センサー」。大人が暑いと思ったら適当にかけ、涼しくなったら止める。機械任せはいけません。

また、クーラーをかけながらの自動車に子どもだけをおいたための事故が必ず夏におきています。いつのまにかエンストをおこして、閉じこめられた車内が猛烈な暑さになるために子どもが亡くなるというもの。大人がいっしょにいれば、決しておきえないことです。「人間センサー」は事故防止の基本です。

手足口病が大流行しています

毎年、夏の暑い時期に流行る夏かぜの中で、一番有名なのが手足口病。例年、多数の患者さんを見かけますが、今年はとても多いです。

当院が県を通じて厚生省に報告している患者発生数も、4月はゼロでしたが、5月中旬より少しずつ出始め、6月中旬からは一挙に大ブレーク。7月の1か月間では150人以上になっています。これは例年以上で、3年ぶりの大流行だといわれています。

症状はわりと軽くて、手のひら、足のうらなどに米粒より小さめの白い水ぶくれができますが、ほとんど痛くはなく、本人も気づかないでいることがよくあります。口の中にブツブツができるとしみて痛いのですが、でき方は個人差があります。熱はまずでません。3日から1週間ほどで治っていきます。症状が軽い場合は登園も許可しています。

ところで、新聞などで「手足口病による死亡例がある」と報道されました。もともと、夏かぜウイルスは脳や脊髄といった中枢神経の中に入り込みやすい性質をもっていて、病気の治りかけに、ときに髄膜炎をおこしてくることが知られています。(夏かぜウイルスの多くは腸管の中で繁殖するのですが、動物の中枢神経は腸の一部が変化してできあがるものなので、細胞の様子が似ているのです。)

合併症として髄膜炎をおこしても、ほとんどは軽くて、1〜2週間の入院治療ののち、後遺症なく退院できています。しかし、まれではありますが、脳炎などをおこし、報道のような死亡例も発生することがあるようです。

私も以前勤務していた病院で、一夏に50人ほどの髄膜炎患者を診療したことがあります。このうちの約半分は手足口病のあと髄膜炎になった子どもたちでしたが、やはり後遺症は全くありませんでした。(1人での勤務でしたので、夏休みもとれなかったことを覚えています。)

今のところ、当院では手足口病から髄膜炎をおこした方はいませんが、十分注意が必要だと、気を引き締めながら診療しています。おうちの方も、手足口病の経過中に、急な嘔吐、頭痛、けいれんなどのおかしい症状がでてこないか、注意していて下さい。(カラー写真入りの「目で見る病気の知識」シリーズを作成しています。待合い室に掲示していますので、ご覧になって下さい。)


(参考)モニターさんからのご意見(1)
通信の内容について
・子供達の病気に関する最新の情報は、とてもわかりやすく、参考になります。又、先生(医院)の近況や前向きなお考えが伝わってきて、いつも励まされております。
・参考になります。先生は「毎度似たような内容で・・」と通信に書いておられたけれど、その時その時に合ったもの(季節など)で、読む側にはマンネリだとか感じさせないものだと思う。
・何よりも正確な医療情報を知ることができ役立ちました。また季節の話題や社会情勢の話の中で、先生のお考えを伺うことができ、診療室とはまたひと味違ったお人柄を感じることができました。

取り上げてほしいテーマ
・アトピーについて。
・小児科医の立場で虫歯予防について。
・アレルギー関係。
・もう少し赤ちゃん(乳児向け)のことも。BABY食品のことなども。
・病気の予防やからだの鍛え方。
・皮膚病について(湿疹)。見分け方。

今後の要望は?
・紙面が同じパターンになっているので、たまには以前のように先生自身のことか、患者さんの紹介(病気の実例という意味か?)も、少しのスペースで良いのでとってみては。
・もう少し大きくても良い。
・特にこれまでと同じでよいです。院長先生のしっかりとした自信のある姿勢が私たち親に、医師として信用できる安心感をもたらしてくれる。

 (いろいろなご意見ありがとうございました。この通信は、普段の診療の中でお話できないことを中心に、子どもたちの病気や健康について、きちんとしたことを知って欲しいと願って作成しています。時の話題などでは、小児科医としてぜひ発言しておくべきと考えることなど、もしかしたら偏りがあるかもしれません。モニターさん以外からも、多くのかたのご感想やご意見を頂戴したいと思っています。−院長−)