1999年8月号(104号)

暑中お見舞い申し上げます。

先月下旬から猛暑が続いています。上越では38.3度などという、体温を上回る酷暑の日もありましたが、いかがでしょうか。

大人と違って、子どもたちには「夏バテ」などという言葉は関係ないようです。それでも体力の消耗ははげしいですので、夜の睡眠は十分にとって下さい。小さい子には、午後のお昼寝も必要ですね。

食欲はいつもより落ちるのがあたりまえ。消化の良いものをバランスよくとらせて下さい。飲み物は麦茶などの甘くない物がいいですね。スポーツ飲料も基本的には薄めのジュースですので、とりすぎないよう注意を。

あせもととびひ

外来にはあせもととびひの子どもたちが増えてきました。

子どもの皮膚は弱く、汗ベトベト状態でいると、すぐに皮膚のトラブルをおこします。毎日のお風呂以外にも、昼間に汗を流すようにして下さい。シャワーや家での水遊びは、子どもたちが喜びます。

病気の時も、この季節はさっとお風呂に入っていいよとお話ししています。赤ちゃんには坐浴や簡単な沐浴、大きな子はシャワーや掛かり湯、そして「カラスの行水」もかまいません。(カラスがどうやって行水をするのか、想像がつきませんが)

海水浴のシーズンですが、海の水や砂は汚れていますし、紫外線も心配です。あまり肌を焼かないように、朝夕のちょっと涼しいときに、できるだけパラソルで日陰をつくり、白いTシャツなどを着たまま泳ぐのがお勧め。また、家に帰ったら早めにお風呂に入って、肌についた塩分や汚れを落として下さい。

少子化と病児保育

今の日本は、大変な勢いで子ども人口が少なくなってきています。

少子化は、きっと多くの要素が絡み合っておきていることでしょう。当然、対策は一つだけですむわけではなく、多方面から多くの取り組みが必要です。

子育ての環境についてもそうです。子どもを育てることは、親にとって大きな喜びですが、同時に大きな負担でもあります。とりわけ日本の社会では、母親である女性により大きな重荷になってのしかかっています。

女性が働き続けながら子育てしていこうとするとき、周囲からの手厚い援助が必要です。当然、夫婦である父親は十分な理解と協力をすべきです(本来は一緒に子育てをするのであって、他人事のような「協力」はおかしいのですが)。社会の中でも、様々な場面での協力や支援が求められます。

その一つに、子どもが病気にかかったときの対策があります。とても具合の悪いときは、やはり親がお子さんをしっかりみてあげてほしいのですが、程度の軽い感染症などでは、親にかわって保育してあげられれば、親の負担もずいぶん軽くなることでしょう。

いつも通っている保育園や幼稚園は、建前として「健康な子どもの行くところ」であり、親の気持ちとなかなかうまくかみ合いません。週刊「アエラ」にもそんなトラブルをめぐっての記事が掲載されました(7月19日号)。

これはきちんと交通整理をしておかないといけないと考え、編集部あてに手紙をだしたところ、翌週号に掲載されました(このページの別枠)。

両者が建前で突っ張っていても問題は解決せず、間にはさまれた子どもたちがかわいそうです。両者が十分なコミュニケーションをとりながら、子どもが一番幸せになるよう努力すべきです。また、全国的にも「病児保育」が少しずつ行われるようになってきましたが、これからもっと整備が進む必要がある、という点も強調しておきたかったことです。

手紙の中にも紹介しましたが、上越市では現在二カ所の病児保育施設がありますが、県内ではほかに例がなく、また全国でも行政がきちんとした形で行っているところは少なく、先進的な試みです。

子育ては親の仕事ですが、社会全体の責任でもあります。さまざまな角度から子育てを強力に支援することが、子どもたちを幸せにし、社会を豊かにすることになります。その結果が、少子化対策の点でも良い方向にむかうものと思います。

(参考)AERA1999年7月26号への投稿

「保育園vs.母親 病気の子供をだれがみるか」(30号51ページ)について

子どもはしょっちゅう病気や怪我をします。とくに保育園に入ると、まず半年間はよく風邪をひいたりしして休みがち(よく冗談でお母さん方に「最初は保育料を半額にしてもらうといいね」と言っています)。そんな子どもたちにどう対処すればいいか。保育園と親との間で、それぞれが自分の立場や事情に固執していては、間に立つ子どもたちが不幸です。

保育園には、「保育に欠ける児童を入所させて保護する」(児童福祉法)という役割をどうすれば果たすことができるのか、真剣に取り組んでいただきたい。医療行為は行わないという原則は原則であって、ときには弾力的な運用も求められます。(命に関わる緊急時には、当然救急処置が必要ですし、一定の介助や医療行為を行うことでみんなと同じように集団生活のおくれる障害児もいます。)

親はそれなりの事情はあるにせよ、普段から何でも保育園任せにしていてはいないでしょうか。それに、親は母だけ? このレポートにも父親の姿は見えてきません。普段から家庭の中で、固めておかなければならないことは色々ありそうです。

大切なのは、子どもを中心におくこと。親と園の両者がすべきことをきちんと行い、日常的な話し合いを通して、良い信頼関係を築いておけば、多少のことで両者がいがみあい、子どもを悲しい思いにすることはないと思います。少子化が大きな社会問題になっていますが、少なくなった子どもたちを、もっと大切に育てましょう。

また、医療を行う保育施設がきちんと整備されることも、この問題の重要な解決策です。これがいわゆる病児保育で、厚生省の補助もあり、全国的にも少しずつ増えてきています。私のいる上越市には二カ所設置され、共働き家庭の子育てを力強く支援しています。

なお、熱を何度以上とするかは、小児科では古くて新しい問題です。一般に子どもは平熱が高く、周囲の温度や運動・食事などの影響を受けやすい。個人差も大きい。その子の平熱と比較しての体温でなければ、熱かどうかは決められません。ちなみに、予防接種の現場では、厚生省作成のガイドラインに基づき、37.5度までを平熱とする扱いが一般的です。

また、とびひは、範囲や程度が軽度であれば、プールや入浴を除いて登園そのものは差し支えないとする意見が、小児科医の常識だと思います。同様に、手足口病、りんご病、水いぼなどは、本人の様子に問題がなければ、一律に登園停止にする必要はありません。