1999年9月号(105号)

やっと少し過ごしやすくなってきました。この夏の猛暑、もう人間の限界を越えていたようです。35度以上連続11日間という記録は、ギネスに申請してもいいのでは?

あまり食欲がないという相談を多くいただきましたが、いわば自然のこと。気温が高くて体温に近い時には(今年はそれ以上でしたが)、体温を上げるためのエネルギーはさほど使わなくても良いので、食事は少なくてすみます。

その反対に、寒い季節には体温を維持するエネルギーを相当使います。そのため、秋にはモリモリと食べ、冬に備えようという自然の法則が生きています。(昔から、「食欲の秋」と言いますね。でも食べ過ぎて、必要以上の皮下脂肪が付かないよう・・)

ホームページできました!

先月末、とうとうインターネットでホームページを立ち上げました!

この通信の六月号に、「詳しい人求む」と書いたら、早速あるお父さん(KMさん)が名乗りをあげて下さいました。以来3か月、できの悪い子どもを教えるようにおつきあいいただき、それなりのページを作ることができました(私は彼のことを「家庭教師」と呼んでいます)。

世の中に数あるHPに、さらに加わる必要があるのかな、とも自問しましたが、これまで作ってきたいろいろな印刷物や原稿を、整理しデジタル化することだけでも、多くの方に見ていただく価値のあるページになるだろうという、開き直りにも似た境地(悟り?)にたちました。

とりあえずはこの通信をインターネットの世界に送り出すことから始めました。いずれはあれもこれもと気持ちだけはあるのですが、どこまで実現できるやら。

子どもたちの健康や病気について書いている「ヘルス・レター」のシリーズは、きちんとまとめ直していくつもりです(ご家庭のFAXからもタイトル別に引き出せるサービスも計画中)。

ぜひご覧いただいて、ご感想やご意見などお寄せいただければ幸いです。

腸重積は赤ちゃんのとても重い病気

腸重積((ちょうじゅうせき)は、腸が自分の腸の中にめりこんでいき、つまった状態になっているものをいいます。

赤ちゃんの病気では特にこわいもので、早く見つけて的確な処置が必要です。毎年何人かを診察するのですが、今年や何だか多いような気がします。

おきやすいのは生後3か月〜9か月ぐらいの赤ちゃんで、全体の半数ほど。新生児や年長児ではまれです。また、なぜか男の子が女の子の2倍ほどいます。

症状は、突然におきる腹痛のためにひどく泣いたり、少しすると和らいで泣きやんだりを繰り返します。この強い泣き方は「火をつけたような」という言い方がされています。そして、次第にぐったりとし、また顔色が真っ青になるのも特徴的です(嫌がって泣いているときには真っ赤な顔をするものですが、腸重積では、いかにも具合悪そうに白い顔をしながら泣いています)。

嘔吐することもありますが、何といっても決め手は血便です。これは腸の粘膜が傷んでくるためにおきるのですが、粘液とともにでてきて、「イチゴゼリー状」をしています(これを浣腸で確かめることもあります)。

腸重積が危険なのは、命に関わることがあるからです。発症からほぼ1日以内なら、比較的簡単に治すことができるのですが、それ以上時間がたつと、めりこんだ腸がダメになってきてしまいます。早く手術をして治さないと、腹膜炎をおこすなど、重大な事態も心配です。

治療は、診断が早いときには、肛門からバリウムなどを入れて圧力をかけ、めりこんだ腸を押し戻すようにします(整復)。これで戻らないときや、丸1日以上過ぎていて危険なときには、外科の先生にお願いして、手術をしてもらいます。(整復も万一のことを考えて、入院でき、外科の先生が立ち会える病院で行ってもらっています。)

そんなわけで、赤ちゃん(特に男の子)、急に泣き出した、顔色が悪い、便に赤いものが混じっている、などと聞くと小児科医として緊張してしまうのです。(もしウンチがおかしい時には、現物をもってきて下さい。)

私も実は・・

実は私(院長)も、小さい時にこの病気にかかっています。生後八か月といいますから、もちろん記憶にはありませんが、発症から三日間もたっての診断であったため、その手術のあとがしっかりお腹の真ん中に18センチほどの傷跡として残っています。子どもに対する麻酔や手術が必ずしも安全ではなかった昭和30年代のことですので、無事助かったことは奇跡かもしれませんし、感謝しています。でも、小児科医がもっと早くきちんと診断をつけていれば、そんな危険な事態にはならなかったはずです。今や、自分自身が小児科医として「腸重積を的確に診断する」責務を負っているのですから、不思議なものです。

そんなわけで、「私は絶対に腸重積は見逃さないゾ!」と密かに誓っているのです。・・今回は私のヒ・ミ・ツをお話ししてしまいました。これは内緒にしていて下さいね。