2000年5月号(113号)

風薫る5月--街の彩りも、すっかり変わりました。ほんのり淡い桜色から、色鮮やかなお花や若葉が、私たちに元気を与えてくれます。鯉のぼりもすがすがしく泳いでいます。

子どもは風邪の子

先月下旬から風邪などがはやりだし、「入園したばかりでもう・・」というお母さん方の嘆きの声が聞こえてきます。

でも小児科医にとっては、「やっぱり」です。集団生活の中に飛び込むと、次から次にと、いろいろな感染症をもらってきます。水ぼうそう、おたふくかぜといった名前のついたものから、普通の風邪や下痢など、様々です。半年ほどは、どうしても園を休みがち。それをすぎると、だんだん休まなくなっていくものです。

感染症にかかるのは、ある意味で仕方のないこと。治ればその菌やウイルスに対して免疫ができるので、体は丈夫になった・・といえます。

「子どもは風邪の子」--いっぱい風邪をひいて、いっぱいの免疫をつけ、そして大人になっていくのです。(とはいっても、子どもが病気をするのは、やはりイヤですが。)

新しい感染症情報の提供

当院では以前から毎週の感染症情報についての電話サービスを行っています。先月より新たに、FM-J(エフエム上越76.1MHz)で毎週金曜午後1時30分ころから放送。上越有線放送では毎週月曜午後6時からのニュースの中でも提供しています。どうぞ、お聞きになって下さい。(有線放送では、情報ボックスでもお聞きになれます。)

溶連菌感染症はこわい病気!

春になったというのに、まだ冬場の感染症が残っています。ウイルス性胃腸炎にかかり、吐いたり下痢をしたりする子も少なくありません(例年みられるB型インフルエンザの流行はありませんでした)。

溶連菌感染症もまだ目立ちます。これは、のどに溶連菌(正確にはA群β溶血性連鎖球菌)というばい菌がついておきる感染症で、のどがとても痛くなるのが特徴です(物が飲み込めなくなるほど)。他に、熱が出たり、体に細かい発疹(赤いブツブツ)がでることもあります。

治療には抗生剤が必要ですが、抗生剤が良く効く病気で、次の日には症状がおさまるのが普通です。伝染力が強いため、園・学校はお休みしていただきますが、2、3日で登園(校)できるようになります。

しかし、この溶連菌には免疫をおかしくする変な働きがあり、十分な治療を受けずにいると、急性腎炎(オシッコが出なくなったり、血尿になる)やリウマチ熱(心臓の弁膜を壊すことがある)といった、怖い合併症をおこすことがあります。そのため、10日ぐらい、抗生剤を続けて使用していただくことになっています。

もしかかってしまっても、現在は良い治療薬があるので、決して怖い病気ではありません。しかし、キチンとした治療を受けずにいると、とんだ合併症にであうこともあるので、注意が必要な感染症です。

子どものピクつき

【質問】1才になったばかりの男の子のことで相談です。先日、夜に発熱しました。40度近く出たのですが、夜、寝ている時に、「ビクッ」と何度もするのです。大人でも、寝入りばなに体がビクッとして目がさめることがありますよね。あんな感じです。よく言われる「熱性痙攣」とは違うように思います。この「ビクッ」については、どんな原因が考えられるのでしょうか。また、病院にかかったほうがいいのでしょうか。

【答え】これは痙攣でもありませんし、異常なものではありません。そのままにしておいて結構です。

大人でも寝入りばなにはありますね。赤ちゃんや子どもは、もっと頻繁に見られます。これは、原始反射と同じもので、脊髄で起きています。次第に脳が発達してくると、この脊髄での反射を押さえるのですが、ときにそれが出現することがあるわけです。生後半年ぐらいまでの乳児では当たり前のようにでます。

子どもでも大人でも、眠くなってうとうとしてくると、脳の働きが弱くなるので、みられることがあります。子どもの場合は、高熱が出ているときは、頻回に見られます。発熱がなくなり、元通りに快復すると、以前と同じ程度になっていきます。

これらは正常の反応ですので、なんの心配もいりません。これだけで病院を受診する必要はありません。

桜の花と日本人気質

先週から咲いていた桜も、もう最後です。10日ほどの「短い命」でした。--といっても、若葉を広げ、いっぱいの太陽を受け、多くの栄養を作り出すのですから、「生き物」にとっては、これからが命踊る季節、ということになるでしょうが。

それにしてもいつも不思議なのは、どうして一斉に咲き始め、一斉に花を散らすか、ということです。少し奥手の桜でも、丸1日とは違いません。まるで隣の桜の様子を見ているかのよう。あるいは、全体の「指揮者」がいて、タクトを振っているかのよう。自然の不可思議です。

ある種の蛍が一斉に点滅するのは、お互いにシンクロナイズするような仕組みがあるのだそうです。でもそれは動物の話。植物にも、そんな感覚やら、考える力があるのかしら。

日本では、花と言えば桜をさすほど、昔から愛されています。そんな桜の「咲きっぷり」「散り際」が、とかく個性がないといわれる日本人に、お似合いなのでしょうか。

たまには、みんなが葉桜になったあと、ぽつんと1本だけ咲いている桜があってもいいように思います。ピンクの花ではなく、ラベンダー色の桜が混じっていても面白い(これはないか)。そんな「偏屈」で、扱いにくい奴がいると、また楽しくなるのですが・・ こんなことを思うのは、やはり私が偏屈な奴だからなのでしょうね。(じゅうぶん自覚しています。)

(4月21日ホームページ「日誌」より)

今月の感染症情報

4月は、上旬はあまり流行する病気もなかったのですが、下旬にはまた感染症が多くなってきました。園や学校といった集団生活が始まって2週間ほどすると病気がはやりだします。今年も同じでした。

溶連菌感染症が一番目立ちます。のどが痛くなり、熱のでる病気ですが、吐き気を訴える子もいます。抗生剤をきちんと使う必要があります。十分な治療を受けないと、こわい合併症も心配ですので、ご注意下さい。

ウイルス性胃腸炎は引き続き流行中。急に吐いたり、下痢をしたりする感染症です。毎年、秋の終わりから春先まで流行が続きます。もうしばらくご注意下さい。

水ぼうそうを少し見かけています。伝染力が強いので、今後、園などではやりそうで、心配です。おたふくかぜは少しだけ見かけました。麻疹(はしか)は発生していません。

スギ花粉症はだいたい終わりました。春先は喘息発作をおこしやすい季節ですので、こちらもご注意下さい。

5月の予定

院長出務
・上越市休日診療所 4日
・上越市乳幼児健診 17、31日
・上越保健所未熟児健診 16日
・有間川・長浜保育園健診  10日
・有田保育園健診 24日

有線放送「健康ライフ」 20日朝6時〜
 子どもの健康Q&A(2)

FM−J「ドクターにおまかせ」
  1日〜4日昼1:20ごろ〜
 「新入園児の健康づくり」(4話連続)

FM−J「あつまれ元気っ子」
 毎週水曜午後4:30〜
  (当院の提供でお届けします)