2001年12月号(132号) 


 壁にかかるカレンダーもあと一枚。今月が年末であることを感じさせます。
 一年を振り返りながら、新しい年をゆったりと迎えたい・・といつも思っているのですが、「師走」の名前のとおり、慌ただしく過ごすのが恒例です。
 寒さもいっそう厳しくなり、風邪などもはやってきますので、気をつけてお過ごし下さい。

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今月の話題
 ●21世紀最初の年が暮れようとしています
 ●短信
 ●漢方薬も使っています
 ○12月の感染症情報
 ○12月の予定

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■21世紀最初の年が暮れようとしています

 今年は21世紀の始まりの年。「物質だけの繁栄」や「戦争と憎しみ」の満ちていた20世紀に別れを告げ、新しい世紀を迎えたいと願っていましたが、残念ながら、まだその方向が見えてきません。
 同時多発テロと報復のための戦争は、象徴的な出来事でした。日本の中でも、不況、リストラ、財政難、倒産など、「物質的な豊かさ」すら損なわれている状況です。まして子どもたちが育つ環境は、虐待の問題を取り上げるまでもなく、暗雲が立ちこめているかのようです。
 子どもたちに豊かな心を育てたいと思います。でもそのためには、私たち大人と社会が、本当に豊かな心を持たない限り、できるはずはありません。
 「育てたように子は育つ」。相田みつお氏の言葉を大切にかみしめながら、新しい年を迎えたいと思っています。

■短 信

わたぼうし病児保育室は、開設から半年が過ぎました。病気のお子さんの育児にお困りのときは、どうぞご相談下さい。

■漢方薬も使っています

 これから寒い季節になり、風邪など、熱をだす感染症が多くなります。インフルエンザはその代表です。
 しかし、インフルエンザに対しては熱冷ましの薬の使い方は慎重にしなければならず、具合の悪いお子さんへの対処は難しい問題をもっています。
 そこで私が最近よく使うようになったのが漢方薬です。医学部の勉強の中には漢方薬はないのですが、実際に使ってみると意外と思えるような効果があります。
 例えば、熱に対する処置は西洋薬の考えでは「熱冷まし」だけですが、漢方ではむしろ体温を上昇させることによって寒気をとります。そのほうが患者さんには楽ですし、病気の治療にも理にかなっています。また、風邪の初期のだるいときに、それを良くしてくれる薬は西洋薬にはありませんが、漢方にはあります。
 もちろん漢方が万能であるというわけでもありません。やはり西洋薬を主にして、その足りない部分を漢方薬で補っています。
 ときには、西洋薬にはないものもあります。赤ちゃんの鼻づまりには麻黄湯が良く効きますし、夜泣きでとても困っているときには甘麦大棗湯を試してみます。とても良い効果がすぐに現れることがあり、ご家族の表情も見違えるほど明るくなる様子を見ると、私も嬉しくなります。
 また、漢方は長く飲んでゆっくりと効いてくるというイメージがありますが、そうではありません。症状などがあえば、一回の服用でピタッと良くなるものが多く、むしろ即効性に優れています。
 しかし、漢方薬の「最大の欠点」は飲みにくさ。お世辞にも美味しいとは言えません(小建中湯は飴の成分が多いので、例外的に美味しいです)。みなさん、いろんな工夫をしているようです。どうぞお試し下さい。(煎じて作るため、熱には強いので、電子レンジやお湯を使っても成分の変化はありません。)

<当院で採用している主な漢方薬>

葛根湯(かっこんとう) 感冒など。熱のでる病気の初期に使用し、寒気をとり、発汗を促します。漢方薬の代表的存在。
麻黄湯(まおうとう) 感冒など。寒気や頭痛を抑え、風邪などの初期に使います。乳児の鼻づまりに著効。
香蘇散(こうそさん) 感冒など。上記の2つは胃の弱い人には使いにくいのですが、こちらはそういった方でも安心。
麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう) 感冒など。初期の寒気、だるさなどに効果抜群。当院ではこれのみカプセル剤を採用。
小青竜湯(しょうせいりゅうとう) 鼻炎など。水のような鼻汁をよく抑えてくれます。眠くならないのも長所。
五苓散(ごれいさん) 胃腸炎など。冬場に多い嘔吐下痢症などで、吐き気や下痢に効果があります。
甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう) 夜泣き。赤ちゃんで困っているときに使うと、ときに著効します。
消風散(しょうふうさん) アトピー性皮膚炎など。皮膚の分泌物が多く、痒みの強いときに使います。
小建中湯(しょうけんちゅうとう) 夜尿など。虚弱体質の子に使いますが、夜尿にも効果があります。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう) 夏やせなど。体力の消耗している虚弱体質の方で、とくに夏場や病後の体力増強に効果があります。


<漢方薬の「美味しい」飲み方の工夫>

○お湯で溶かしただけではザラザラ感が残りますが、電子レンジに15秒ほどかけて下さい。漢方特有の臭いも飛び、飲みやすくなります。
○1包を10〜20mlの水と2〜3gの砂糖で溶かすと飲みやすくなります。また、ほうじ茶、麦茶などで溶かすのもいいですね。
○ヤクルト、プリン、ヨーグルトなどに混ぜてもいいです。2、3分すると粒が消えて飲みやすく(食べやすく?)なります。


■12月の感染症情報

 先月(11月)は少しずつ冬場の感染症が増えてきていました。一方では、夏にはやることのおおい手足口病がまだ残っていたり、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の春先からの流行がまだ続いていたりと、いつもの秋とは違う様子でした。(喘息発作がとても多いのも今秋の特徴でした。)
 これからの冬場は嘔吐下痢症(ウイルス性胃腸炎)が増えてきます。急に腹痛を訴えて吐き出し、その後に下痢も始まってくることがほとんどです。すぐには飲んだり食べたりせず、数時間はお腹を休ませてあげて下さい。でも、とてもぐったりしているときなどは早めに点滴治療が必要です。
 溶連菌感染症も多くなります。喉がとても痛くなる病気で、抗生物質が必ず必要です。
 そして心配なのがインフルエンザ。例年、1月には流行が始まります。普通の風邪とは全く違う病気で、とくに乳幼児にとっては脳炎・脳症という合併症の問題があります。できるだけ年内にワクチン接種を受けてきちんと予防することをおすすめしています。

■当院から [感染症情報] を毎週お伝えしています

 TEL0255-44-7722(無料、毎週末に更新)
 FM−J(エフエム上越76.1MHz)=金曜13:30〜
 上越有線放送=月曜18時〜
 ホームページにアップロード
 i-Mode携帯へ送信(無料、毎週金曜ころ)

■12月の予定

12月30日〜1月3日まで年末年始のお休みです。
院長出務
  ・上越市乳幼児健診 12、19日
有線放送「健康ライフ」 15日朝6時〜
  「インフルエンザ予防接種など」
FM-J「Dr.ジローのこども健康相談」
 月曜午前9:15頃〜(76.1MHz)
  ・第1週=子育てアドバイス
  ・第2週=子どもの病気
  ・第3週=予防接種
  ・第4週=事故予防

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