2004年4月号(160号)   

 もうすっかり春。暖かな日差しの中で、子どもたちが楽しそうに遊んでいる様子がまぶしいです。

 当地(新潟県上越市)の桜もいつもより早く3月末に咲き始めました。華やかな季節になりましたね。

 今月の話題
  ●小児医療の新たな課題
  ●ワクチンを使って上手に健康づくりを
  ●こんな事故で子どもの命が奪われていいのでしょうか?
   ○インフルエンザ情報
  ○今月の感染症情報
  ○今月の予定

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■小児医療の新たな課題

 小児医療の中で、虐待とともに救急の体制が大きな問題になっています。

 子どもたちは夜間や休日など、時間に関係なく急に具合が悪くなるもの。いざという時の医療は、安心して子育てするための大切な条件です。

 しかし、その小児救急医療が危機に瀕していると言われています。小児科医の不足、病院の小児科の減少・・どうすればいいのか、日本中で模索している段階です。

 上越市には小児科のある病院が3つありますが、今月からその1つで常勤医が不在になり、入院病棟が閉鎖になりました。もう1つも小児科医が2人から1人になり、十分な小児科医と入院施設を持つ病院は1つだけになってしまいました。

 救急を問題にする以前に、地域全体の小児医療そのものが、十分な機能を果たせなくなる可能性も出ています。

 そんな中で、当院も小児科医院の一つとして可能な範囲で取り組んできましたし、今後もさらに努力を続けていきます。ご要望やご意見をどうぞお伝え下さい。

■ワクチンを使って上手に健康づくりを

 4月から新しく保育園に通う子どもたちも多いことでしょう。これまで家庭にいた子は、あまり風邪などひかないで過ごしてきたのではないかと思います。

 でも、保育園という集団に入ると、いろんな感染症にかかってしまいます。頻繁に熱を出したりして休みがちになりますが、数か月〜半年ほどすると一通りの感染症にかかるためか、やっと落ち着いてくるようです。

 子どもは風邪などをひくたびにウイルスや細菌をやっつける抗体が少しずつ増え、免疫力が強くなります。「病気をすればするほど体が丈夫になる」とも言えます。でも、大きな病気はさせたくありませんね。そのための一番良い方法が予防接種です。

 まずは母子手帳に書かれているものは全て終わっているか、確認して下さい。BCG、三種混合(百日咳など、4回)、ポリオ(2回)、はしか(麻疹)、風疹です(日本脳炎は3歳から)。もしまだという方は、今すぐに受けましょう。

 中でもはしかは命にかかわる病気。ワクチンは1歳から始まりますが、生後半年くらいでお母さんからの移行免疫がなくなっていますので、1歳前に入園する赤ちゃんは任意で受けておくこともお勧めしています。

 また、水ぼうそう(水痘)やおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)もワクチンで確実に予防できます。任意接種でお金もかかりますが、病気にかかれば1週間ほどは園をお休みになりますし、、医療費もかかります。何よりも、子どもにつらい思いをさせてしまいます。

 お子さんの健康づくりのためにワクチンを上手に利用して下さい。

■こんな事故で子どもの命が奪われていいのでしょうか?

 先日、ビル入り口の回転式ドアに子どもが挟まれ、亡くなるという事故が起きました。ニュースでは、以前から同様の事故があり、それをメーカーもビル所有者も知っていたとのこと。その場ですぐに対応していれば、こんな痛ましい事故は起きなかったはずです。メーカーなどの責任は重大です。

 子どもの死亡原因のトップは、0歳を除いてはこういった不慮の事故です。その種類はいろいろですが、まずは家庭内での溺水。そして子どもが発達し、行動範囲が広くなるにつれて、交通事故など、外での事故が多くなります。病気よりも事故で亡くなる子どもたちの方が多いのです。

 私たちは大人は、日頃から子どもたちが事故に遭わないような、安全な環境を用意してあげる必要があります。それは社会にとって「義務」です。そして子どもたちは、より安全な環境で育っていく「権利」があります。

 小児科では、乳幼児健診の際に事故をどう予防すればいいか、親御さんにお話をしています。多少のけがは仕方ないという見方もあります。でもけがではすまないような大事故は、やはり確実に起きています。せっかく授かり、大切に育てているお子さんが、本当は防げるはずの事故で命を失うなんて、悲しすぎます。無情ですし、不条理です。

 死亡につながる重大事故を防ぐための最も効果的な方法は、小さくても事故がおきたときに十分にそれを検証することです。まずは事故の事実を把握し、その原因を可能な限り追求します。その中から、事故を防ぐ方法や、事故が起きたとしても軽くすむ方法を探っていきます。そして、それをきちんと実行に移すことが必要です。さらに、その後の状況を観察し、対策の効果を検討し、もし不十分であれば、再度見直す--そういった不断の努力の積み重ねが最も大切です。あるいは、それしかないと言っても過言ではないでしょう。

 玄関ドアの構造が問題になりましたが、自動の回転ドアが子どもたちにとって安全かどうかを検討した様子も見られません。赤外線センサーには、子どもの高さが死角になっているなんて、あまりにずさんすぎます。異常を感知しても25センチは停まらない構造だそうですが、その間で子どもは簡単に押しつぶされてしまいます。そういった「欠陥ドア」が本当に必要だったのかどうか。ただ見栄えのためだけに付けていたのではないですか?

 こういった事故がおきると、全国で一斉に点検をしたり、使用を中止したりします。それはそれで結構なのですが、恰好をつけるだけだったり、一時のことだったりしがち。「喉元過ぎればなんとやら」で、根本的な解決もなく、ほとぼりが冷めて結局は何も変わらないことがよくあります。

 「熱しやすく冷めやすい」と言われる日本人ですが、今回のことでは、全ての回転式ドアを撤去するくらいの完璧な対策を実行してほしいと切に願います。

                 (ホームページ3月28日「日誌」より)

■インフルエンザ情報

●1月中旬から始まったインフルエンザの流行は、2月上旬を峠にして、その後は順調に規模を小さくし、3月下旬にはほぼ完全に終息しました。今シーズンはA香港型が大部分で、Aソ連型とB型インフルエンザの発生はほとんどありませんでした。

●鶏などで発生したトリ・インフルエンザも、今のところは人への感染性はおきていないようです。季節的にもこのまま終息してくれるのではないかと考えれています。

●トリ・インフルエンザに関連して、鶏の肉・卵を食べることを心配する向きがありますが、加熱を十分に行えば全く問題はありません。(もともと鶏肉はキャンピロバクター菌、鶏卵はサルモネラ菌に汚染されているおそれがあり、生で摂ることは止めるようにお願いしています)

■今月の感染症情報

 インフルエンザは2月がピークで、3月に入ってからはぐんと少なくなりました。例年は春先にB型インフルエンザの発生があるのですが、今年はそれもないようです。

 その他では、溶連菌感染症、ウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)の流行が目立ちました。水ぼうそう(水痘)とおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)が引き続き流行しています。はしか(麻疹)の発生はありませんでした。

 風疹の発生が各地から伝えられています。当地ではまだ発生していませんが、今後注意が必要です。ワクチンを受けてあるか、確認して下さい。

■お知らせ

●自費料金改定
 当院の自費料金を今月から改定しました。消費税込みの総額表示になっています。
(保険診療には消費税はかかりませんが、予防接種、健診などはその対象外です)
詳しくは次のページをご覧下さい。
    http://www.kodomo-iin.com/annai/jihi.html

■当院から毎週【感染症情報】をお伝えしています

 □TEL025-544-7722(無料、毎週末に更新)
 □FM−J(エフエム上越76.1MHz)=金曜13:45〜
 □上越有線放送=月曜18時〜
 □ホームページにアップロード
 □i-Mode携帯へ送信(無料、毎週末)

■今月の予定

●院長出務
  上越休日診療所 3日
  上越市乳幼児健診 14、21日
  骨髄移植ドナー登録ボランティア 18日
●上越有線放送「健康ライフ」
  15日朝6時-
●FM-J(エフエム上越)「Dr.ジローのこども健康相談」
  木曜午後2:15頃〜(76.1MHz)
●JCV「子育て応援団・健康アドバイス」
  月、水、金曜午後2時〜(上越ケーブルテレビ)

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