2004年5月号(161号)   

 今年は春の便りが早いと思っていたら、もう夏のような日もありました。この様子では、今年の夏はどうなるのでしょうか?

 当地では先日オカリナ操奏者の宗次郎さんが来られ、新緑のまぶしい公園で素敵な音楽を奏でてくれました。春の光が、やさしく差し込んでいました。

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 今月の話題
   ●テレビを消して・・
  ●子どもの成長は病気とともに
  ●風疹による先天異常を防ぐために
  ○今月の感染症情報
  ○今月の予定

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■テレビを消して・・

 このところ子どもたちとテレビなどの付き合い方が議論になっています。私も「通信」の2月号で書きましたし、日本小児科学会からは4月に「乳幼児のテレビ・ビデオ長時間視聴は危険です」というショッキングな緊急提言がされました。

 小さな子どもにとって、周りの大人たちといつも触れあいながら、お互いが話をし、目で分かり合おうとすることがとても大切です。その繰り返しによって、自分が認められ、自分自身の存在を確かめることができます。人間としての原点がそこにできてきます。

 生まれたばかりの小さな赤ちゃんにも、ちゃんとコミュニケーション能力はあります。こちらが微笑むと赤ちゃんも笑ってくれますし、赤ちゃんのニコニコ顔を見ると、大人の表情もなごむもの。これこそが赤ちゃんのコミュニケーションの“武器”です。

 私も外来で疲れていても、子どもたちとのやりとりで思わず笑うと、また元気が出てきます。

 さあ、テレビを消して、赤ちゃんにしっかりと寄り添って下さい。赤ちゃんは、自分にいつも優しいまなざしを注いでくれる人が大好きですよ。

■子どもの成長は病気とともに

 新しい学年が始まって1か月ほどがたちましたが、もういろんな感染症にかかっている子が多いようですね。先月もお話したように、多少は風邪などをひくのはやむを得ないと思っていて下さい。

 でも、大きな感染症を見逃していたり、こじらせてしまっては大変。お子さんの様子をよく見ながら、どんな対処をしてあげれば良いか考えてみて下さい。

 お子さんの症状で最も多いのが発熱です。そしてその大半は感染症によっておきてきます。

 熱の高さがとても高い(おおむね39度以上)、ぐったりしていて元気がない、けいれんや嘔吐を伴っている・・そんな時には早めの対処が必要です。逆に、顔色が良く、食欲も元気さも良いようでしたら、安心していてよさそうです。

 子どもは夕方から夜にかけてよく熱を出します。翌日の朝、熱が下がっているといっても「治った」とは言えません。できれば丸一日ゆっくりと休ませてあげてほしいと思います。(ご家庭の都合でそれができないようでしたら、病児保育室もご利用下さい。)

 鼻水や咳といった症状もポピュラーなものですが、それらが強いようなら、熱がなくても園を休ませて下さい。登園させると、どうしても他の子と一緒に体を動かし、また症状が悪くなってしまうこともあります。

 風邪薬などを服用していても、症状が軽く、具合が良いようなら、登園できるでしょう。そんな時、お昼の薬をどうするか、困る方もおられるかもしれません。1日3回の薬は、昼食の薬は園から帰っておやつの時に服用し、夕食の薬を睡眠前に飲ませてみて下さい。もちろん、本当に必要な薬は園の先生にきちんとお願いをし、服用させてもらって下さい。

 子どもは病気とともに育っていきます。その時々で上手に対処して、成長を見守ってあげて下さい。

■風疹による先天異常を防ぐために

 風疹(ふうしん)は、子どもにとってはほとんどの場合、軽い感染症です。赤いブツブツ(発疹)が顔から首、体、そして手足に広がり、3日ほどで消えていきます。熱は発疹とともにでますが、多くは微熱です。後ろ首のリンパ節が腫れるのも特徴的です。

 しかし、もし妊娠初期の女性がかかると、胎児に異常をつくることもある恐ろしい性格ももっています。特に妊娠2か月ころでは半数以上に奇形が現れると言われています。典型的なものは「白内障、難聴、心奇形」の3つで、「先天性風疹症候群」と呼ばれています。

 風疹はワクチン接種で確実に予防できます。日本では以前は中学女子に対して風疹の予防接種をしていましたが、1994年(平成6年)に幼児への接種(男女とも)に変更になりました。これは、風疹が流行するのは主に子どもたちなので、風疹の流行をなくしてしまおうという方針に変わったからです。事実、その後は風疹の流行はぱったりと途絶え、私自身も1995年(平成7年)に最後の風疹患者を診察して以来、もう診ることがなくなりました。

 しかし、この風疹が日本でまた流行し始めました。昨年は、例えば岡山県で小流行がおき、数名の先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれてしまいました。県内でも、新潟市などから風疹患者が発生しているとの情報があります。

 風疹の予防接種方法が変更され、その後の移行期に小学生〜中学生だった人は、ワクチン接種をきちんと受けていない場合が少なくありません。具体的には昭和54年〜62年生まれの世代で、風疹の抗体を持っていない方は70万人いるとも推測されています。これらの方は、これから妊娠する世代になるので、もしも周囲で風疹がはやってしまった場合には、大変なことになることも十分予想されます。

 対策はただ一つ。風疹ワクチンを徹底して受けていただくことです。幼児については、麻疹ワクチンに続いて、男女とも必ず受けて下さい(法律に基づく接種で無料)。成人女性については、風疹の免疫を持っていない方は妊娠を予定する前にぜひ予防接種を受けて下さい。風疹に対する免疫がある場合はその必要がないので、あらかじめ検査を受けておくこともよいでしょう(これらは任意の接種や検査で、有料。また、免疫のある方がワクチンを受けても何ら問題はないので、検査は省略してもかまいません)。

 日本では、かつて風疹が流行するたびに先天異常の子どもが生まれるという悲劇が繰り返されてきました。これから先、また同じ歴史を繰り返さないことを願っています。

■今月の感染症情報

 4月からまた新しく園での生活が始まりました。それに伴って、いろんな感染症が多くなっています。

 ウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)はとても多かったです。秋の終わりから春先までが流行期ですが、今シーズンでは4月中旬に流行のピークがありました。もうしばらくご注意下さい。溶連菌感染症も多かったです。喉がとても痛くなり、抗生物質による治療が必要です。

 水ぼうそう(水痘)とおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)も少しずつ発生していました。はしか(麻疹)と風疹の発生はありませんでした。これらはワクチンでほぼ完全に予防できます。1歳になったらすぐに予防接種を受けておいて下さい。

■お知らせ

●医院入り口に使い捨てのマスクを用意しました(スリッパ入れの上)。咳などの症状が強いお子さんは他の方への感染を少なくするためにぜひ使って下さい。また、感染を受けたくない方もどうぞご利用下さい。無料です。

●iModeなどの携帯端末からの当院のHPを見ることができます。内容はパソコン用のものより少ないですが、どうぞご覧になって下さい。アドレスは同じです。

●忘れ物が少なくありません。約1か月ほどは当方で保管していますが、その後は処分させていただきます。玄関に忘れ物コーナーを作りましたので、お気づきの方は受付までお願いします。

■当院から毎週【感染症情報】をお伝えしています

 □TEL025-544-7722(無料、毎週末に更新)
 □FM−J(エフエム上越76.1MHz)=金曜13:45〜
 □上越有線放送=月曜18時〜
 □ホームページにアップロード
 □i-Mode携帯へ送信(無料、毎週末)

■今月の予定

●院長出務
  谷浜小学校健診 19日
  有間川保育園健診 19日
  長浜保育園健診 19日
  上越市乳幼児健診 12、26日
●上越有線放送「健康ライフ」
  20日朝6時-
●FM-J(エフエム上越)「Dr.ジローのこども健康相談」
  木曜午後2:15頃〜(76.1MHz)
●JCV「子育て応援団・健康アドバイス」
  月、水、金曜午後2時〜(上越ケーブルテレビ)

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