2005年2月号(170号)   

 2月は寒さの一番厳しい月。インフルエンザの流行もありますし、しばらくはご家庭での健康管理にご注意下さい。

 でも、下旬には少しずつ天候もゆるんでくることでしょう。冬が深まったということは、それだけ春が近づいているということ。もう少しの辛抱です。

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 今月の話題
  ●鬼はどこにいるんでしょう?
  ●ノロウイルスによる胃腸炎が流行中
  ●子どもたちの心が大切にされる社会に!
  ●お知らせ
  ●感染症情報

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■鬼はどこにいるんでしょう?

 今月の恒例行事に「節分」があります。鬼さんにとっては受難のときを迎えますね。

 でも、鬼といってもみんながみんな悪いわけでもないと思います。新美南吉の童話の世界ではないけれど、中には心優しい鬼もいるに違いありません。

 「鬼」は想像の産物、ファンタジーの世界にしかいないよと言われるかもしれません。でも、「鬼」に象徴されているのは、実は私たち一人ひとりの心の中にあるもの。

 完全無欠な人はいないでしょう。何かしら弱いところやいけないところをもっているのが私たち人間です。それをしっかりと見つめ、少しずつ直していこうとすることが、発達や進歩であり、その努力の積み重ねが大切なんです。

 でも、あんまり突き詰めすぎると疲れてしまいます。ときには自分の存在を信じることもできなくなることも。そんなふうにはならないように、昔の人は「鬼」にそれを託したのではないでしょうか。

 「鬼は外」をするとき、そんなことも少しだけ考えてみると、また面白いですよ。

■ノロウイルスによる胃腸炎が流行中

 この冬はノロウイルスによる感染性胃腸炎のことが大きな問題になりました。年末年始に老人介護施設で多数のお年寄りが亡くなったという「事件」がそのきっかけでした。

 「ノロウイルス」という名前にはなじみがないために、新種のウイルスが出現し、とてつもなく大変なことがおきているかのような認識が広がりましたが、事実はそうではありません。

 このウイルスは以前は「小型球形ウイルス」と呼ばれていて、毎年冬に子どもたちの間で嘔吐下痢症をおこしているものです。大人や高齢者の中でも、やはり毎年流行しています。その年によって流行のどあいは違い、確かに今シーズンは大きな流行でした。

 このウイルスの感染力はとても強く、吐いた物や下痢便の始末には十分に気をつけ、その時に手について自分が感染したり、他の方に感染させることもあるため、手洗いを徹底して行うことが必要です。

 集団で生活をしていると互いに感染しあうので、今回のように、一挙に流行して集団発生することもあります。

 症状としては、吐き気が強くて水分が全くとれないと脱水になってしまうことがありますので、点滴など早めの対処が必要なことがあります。しかし、普通の方がこれにかかっても命にかかわるような重大なことにはなりません。お年寄りなどでは、吐いた物が喉につまらないように注意をしていて下さい。

 なお、食品を介して感染が広がると「食中毒」になります。生かきにはノロウイルスが蓄積されていることがあるので、十分に加熱をしてから食べて下さい(八五度以上で一分以上加熱すると死滅します)。また調理する方がこの胃腸炎にかかっていると他の方に移してしまいますので、健康状態のすぐれない方は注意をして下さい。

■子どもたちの心が大切にされる社会に!

 昨年は大きな自然災害が繰り返し起きていました。集中豪雨、台風、地震、そし津波。あたかも私たち人間とその社会に試練を与え、何かを確かめているかのようです。

 それらの災害対策の中で、子どもたちの心のケアが重視されるようになりました。とくに「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」の予防については、阪神淡路大震災の教訓が新潟県中越地震で活かされました。

 子どもたちが大きな事故や出来事に遭遇すると、心にも障害が起きます。その予防としては、親御さんや大人がしっかりとお子さんを抱きしめ、子どもたちの気持ちを支えてあげること。大きな悲しみや不安は、まだ小さな器でしかない子どもたちの心から簡単にあふれてしまいます。大人たちが、そんな子どもたちの心を温かく抱き留めてあげれば、心がひどく傷つき、壊れることはなくなっていくでしょう。

 こんなふうに「心のケア」が注目されるようになったのは、今の社会で子どもたちの心が健康に育っているか、みなが心配するようになったからです。

 虐待もそうです。虐待は子どもたちの心の育ちをゆがんだものにします。そして子どもたちが成長し、親の世代になったとき、また虐待をしかねません。自分が受けた子育てしか知らないのですから。

 逆に言えば、今子育ての中で様々な問題を抱えている親たちは、自分たちの前の世代の子育てに問題があり、それが解決されることなく、脈々と生きていることを知る必要があります。その最たるものが、戦争と、男尊女卑や男性中心などの封建主義的な考え方です。今もって日本の社会がひきづっているこれらの問題が、子育ての中で凝縮して顕在化していることに、ぜひ気づいて下さい。

 子育てにストレスを感じる母親はきっと多いでしょう。とりあえずの対処は、不安の解消です。そして次に、一人の女性、いや人間として社会の中で大切な存在として認められるよう応援し、援助すること。そこまでのドラマを完成させることで、子育てが充実し、子どもたちが心豊かに育っていくことができるに違いありません。

 子育て支援の活動はいろいろあります。でも、もしかしたら母親を小さなサークルに閉じこめてはいませんか? 一つの段階としてはかまいませんが、最終ゴールは社会です。それを視野にいれ、具体的な道筋を作っていることこそが、本当に求められる活動ではないかと考えています。

 今年も様々な困難が子育てとその支援事業に待ち受けていることでしょうが、皆さんのがんばりで大きな成果がもたらされることを願っています−−私たちの可愛い子どもたちのために!

 【神奈川県の小児医療センター発行の部内誌「季刊アド&アド」の巻頭文(応援メッセージ)】

■インフルエンザ最新情報

 今シーズンは1月中旬より全国的な流行が始まっていますが、流行の立ち上がりが遅く、また規模は小さいようです。このままで推移するかとは思いますが、これから本格的な流行が始まる可能性もあります。今後の情報に十分に気をつけていて下さい。

■お知らせ

 今シーズンはスギ花粉が例年よりも超大量に飛散するとのこと。ところによっては数十倍という予測もあります。花粉症の方は今月中から予防薬を使用するなど、早めのに対策をとっておくようにお願いします。

■感染症情報

 インフルエンザの流行がとうとう始まりました。例年ですと1月中旬にはそうとう流行しているのですが、今シーズンは暖冬が影響したのか、下旬から流行が始まりました。

 新潟県内では新潟市とその周辺の下越地域がまず先に流行し、それが上越地域に広がってきたような印象です。今月いっぱいは十分に注意をしていて下さい。

 インフルエンザについては検査薬や治療薬もあり、以前よりも治療がしやすくなっています。しかし、インフルエンザ関連脳症は毎年そうとう多くの子どもたちに起きているので、けっして油断はできません。手洗い、マスク、うがいなどの励行と、十分な栄養と睡眠をとるなど、健康管理をきちんとしておく必要があります。

 また今シーズンはウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)の流行も例年以上でした。年末に患者数が多く、1月に入ってからはやや少なくなっていましたが、まだ注意が必要です。(とくにノロウイルスについては2面に掲載しましたので、参考にして下さい。)

 水ぼうそう(水痘)、溶連菌感染症、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)も引き続き流行しています。百日咳、マイコプラズマ感染症も少しずつ発生。はしか(麻疹)、風疹の発生はありませんでした。

■当院から毎週【感染症情報】をお伝えしています

 □TEL025-544-7722(無料、毎週末に更新)
 □FM−J(エフエム上越76.1MHz)=金曜13:45〜
 □上越有線放送=月曜18時〜 (吉川有線放送でもお聞きいただけます)
 □ホームページにアップロード
 □i-Mode携帯へ送信(無料、毎週末)

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