2005年6月号(174号)   

 今年は春になってもインフルエンザの流行が続くなど、季節感がいまいちはっきりしません。
 それでも、もうすぐ梅雨入り。傘が手放せない季節になりますね。

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 今月の話題

  ●医院は満15歳!
  ●【子育てフォーラムより】自己肯定感を育てる
  ●事故の本当の原因は?
  ●統計から見たわたぼうし病児保育室(2)
  ○感染症情報

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■医院は満15歳!

 6月は当院の開院記念の月です。1990年(平成2年)から診療していますので、満15年! 人の15歳といえば中学3年から高校に進むころです。小児科はだいたい中学生くらいまでを対象にしていますので、もうすぐ小児科を卒業するくらい。

 開院当時に生まれた赤ちゃんが、身長では3倍以上、体重では20倍ほどの大きな中学生になっているわけですから、子どもの成長はなんとダイナミックなことかと、あらためて感心します。

 医院のほうは、スタッフも大幅に増え、何回かの増改築をして「大きな医院」になりました。4年前から子育て支援策の一つとして病児保育を始めたことは、一番の出来事になっています。

 もちろん「卒業」することはなく、これからも地域の小児科医として日々の診療に尽力していきます。これからも引き続きよろしくお願いいたします。

■【子育てフォーラムより】自己肯定感を育てる

 先月21日、上越子育てフォーラムがリージョンプラザ上越にて開催されました(ファイザー製薬主催)。当日は200名を超えるご参加があり、熱心に講演を聴いていただきました。フォーラムの企画に加わっていた者として、とても嬉しく思っています。

 当日はお二人の先生から、子どもの「心」と「体」について、それぞれのご専門の立場からご講演がありました。

 明橋大二先生(真生会富山病院心療内科部長)は、「見逃さないで!子どもの心SOS」と題して、今の子どもたちの心がどうなっているのか、どのように子育てをしていけばいいのか、お話をしていただきました。

 日本の子どもたちはがいして自己評価が低く、自分に自信をもてないでいます。「どうせ僕(私)なんて・・」という言葉が出てきたら要注意。自分を認めることができないでいる状態です。自分はこれでいいんだという気持ち(自己肯定感)や、自分自身に対する安定した信頼感(自尊心)が、子育ての中で十分に育っていないと明橋先生は指摘されています。

 自己肯定感を高めるには、まずは子どもにたっぷり甘えさせてあげること。親に依存し、安心感が育つと、しだいに自由を求めて独立していくもの。でも不安になったら、また親のもとに戻る--そんな事の繰り返しが心の成長につながっていきます。「小学生までは十分に甘えさせてあげてほしい」とおっしゃっていました。親が何気なく使っている言葉が、子どもの心を傷つけたり、自尊心を奪うことにもつながっているのかもしれません。子どもを心豊かに育てるためにどうすればいいか、まだまだ考えていかなければならないことがいっぱいありそうです。

 佐々木望先生(埼玉医大小児科教授)からは「こどもの身体計測から分かることは何?」という題で、子どもの体の発育についてのお話をお聞きしました。講演後、低身長で悩んでいる親御さんからの質問に対して、心温まる返答をされていたことがとても印象深かったです。

 今回は初めての子育てフォーラムでしたが、多くの皆さんのご理解とご協力をいただき、開催することができました。今後もフォーラムを続けていきたいと考えています。ご意見などありましたら、どうぞお寄せ下さい。

 (明橋先生には何冊かの著書がありますので、ぜひお読み下さい。医院の窓口にも貸し出しを用意してあります。また上越ケーブルビジョンで講演の様子を放映します。詳しくは医院までお問い合わせ下さい。) 

■事故の本当の原因は?

 JR西日本の列車転覆事故のことは、今でも毎日報道されています。原因は次第に特定されてきています。直接の原因がスピードの出し過ぎのようです。しかし、運転手だけに責任を押しつけて終わることのないようにしてほしいものです。どうしてあのような無謀とも言える運転をしたのか、それをせざるをえなかった要因も含めて、すべてのことが解明されることが必要です。そしてそれがすぐに改善され、今後、このような事故がおこらないようにしてほしいものです。

 それにしても、JR西日本の対応はお粗末な限りです。社員の「不祥事」は事故以上に報道されていて、被害者やご家族の方々の怒りをかっています。事故の列車に乗り合わせていたにもかかわらず、救助もせず、そのまま出社して勤務についていた二人の運転手。事故のことを知りながら、まだ多くの人たちが救助をまっているその時間に、ボーリングや飲み会をしていた社員。あきれはてます。

 上司の命令であれば、それを疑うこともせず、実行にうつすのでしょうか。それより以前に、自分が何をすべきなのか、考えることもできないのでしょうか。そこには、自分の仕事にプライドをもち、自分に自信をもつことのできる「自立した人間」のイメージは皆無です。テレビのコメンテーターは、社員のモラルをしっかりと教育してほしいと指摘しています。

 でも、そんな社員にしたのは、JR西日本という会社です。会社がすべてであり、社会一般の価値観は不要です。上司の命令が絶対であり、自分で考えることは必要ありますし、してはいけません。会社の利益が大切であり、客はお金を払うから大切にされているだけです。そんな価値観を社員に植え込むことを続けてきました。その結果が、これです。そんな意味では、JR西日本は社員教育に見事に成功したのです。

 モラル(倫理観)の再教育が必要なのは、JR西日本という会社そのものです。その中枢部にいて、経営や社員教育に責任をもつ者たちことが一番問題をかかえています。いや、もしかしたら、彼らもまた、そうせざるをえない状況に追い込められていたのかもしれません。日本という社会全体が、会社や役所、あるいは学校などという組織が大切にされ、個人のことがおろそかにされやすい傾向をもっています。現代という社会も、利益、スピード、快適さなど、表面的なメリットだけを追い求めていることも、また問題にされるべきでしょう。

 そう考えると、この事故から学ばなくてはいけないことは、私たち自身や、私たちの社会の中にもいっぱいあります。それらに気づき、一つ一つを丁寧に変えていくことができれば、個人が本当に生きやすい社会になることができそうです。でも、それをさせてくれないのが、今の日本の社会。なかなか変わることがないでしょうが、でもあきらめたくはないです。

    (5月9日HP「日誌」より)

■統計から見たわたぼうし病児保育室(2)

 昨年度の年齢別の入室状況では、もっとも多い年齢が1歳(21.7%)、次が2歳(20.2%)、以下0歳、3歳、4歳、5歳、6歳以上の順となっています。

 これは、共働き家庭などでは乳幼児の早い段階から園に入る子どもが多くなっていることに関係してているようです。また、集団生活を始めた当初は風邪などの感染症にかかりやすいことも、まだ小さな乳幼児の利用が多い原因だと思います。

 このことは同時に、3歳未満のいわゆる「未満児」が半数以上をしめていて、病児保育における保育士の負担がとても大きいことも理解していただけると思います。

■お知らせ

◆現在使用している日本脳炎ワクチンに副作用の心配があり、接種を中止することになりました。制度はありますので、とくに希望する方はお申し出下さい。いずれ副作用のより少ない新しいワクチンができれば、また接種を再開することになっています。

◆貸し出し用の傘を玄関脇におきました。急な雨降りでお困りのときにはどうぞご利用下さい。 

■感染症情報

 先月(5月)はウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)がとても流行していました。急におなかを痛がり、吐きます。すぐに飲食するとまた吐いてしまいますので、半日くらいはおなかを休ませて下さい。吐き気が強い、水分が全くとれないようだと脱水が心配です。とくに乳幼児で顔色を悪くし、ぐったりしているときには十分に気をつけていて下さい。夏場は見かけなくなりますが、もうしばらく注意が必要です。

 インフルエンザは先月中旬にやっと終息しました。例年より1か月以上の遅れでした。水ぼうそう(水痘)、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)が次第に多くなってきました。マイコプラズマ感染症(気管支炎)も、園や学校によっては流行しています。麻疹、風疹の患者発生はありませんでした。

 これからの季節は「夏かぜ」が多くなってきます。代表は手足口病、ヘルパンギーナ、プール熱(咽頭結膜熱)です。園や学校での発生の情報に気をつけていて下さい。

■当院から毎週【感染症情報】をお伝えしています

 □TEL025-544-7722(無料、毎週末に更新)
 □ホームページにアップロード
 □i-Mode携帯へ送信(無料、毎週末)

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