2005年11月号(179号)   

 一日ごとに秋が深まっているようです。近くの高い山も雪が降り、紅葉も進んでいます。

 もう冬の準備をする時期になってしまいましたね。

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 今月の話題

  ●小児救急問題解決への道
  ●【子どもの救急(10)】胃腸炎の対処
  ●【HPから】子どもたちをインフルエンザから守るために
  ●わたぼうし病児保育室利用料が非課税に
  ●新市長に望む
  ●お知らせ
  ○感染症情報
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■小児救急問題解決への道

 小児救急のことが繰り返し問題になっています。夜間などに急に発熱したらどうしようと不安に思っておられる親御さんも多いことでしょう。

 ここお上越地域にも休日急患診療所があり、土曜の夕方から夜(午後4時〜9時)、日曜の朝から夜(午前9時〜午後9時)は一時救急の体制があります。医師会員が交代で勤務していますが、内科と小児科はいっしょですので、「小児科専門医に診てもらいたい」という親御さんの希望は必ずしもかなえられていません。

 そのため、以前から「小児科専門医による休日・時間外診療体制」を作ろうという提案もありますが、なかなか実現できません。それは小児科専門医が絶対的に少ないからです。

 病院勤務の小児科医はすでに救急医療を担っていますので、それ以外の開業小児科医というと、この地域では私を含めて五人ほど。それだけの小児科医で24時間・365日の小児救急体制を作るのは不可能です。

 子どもの病気はほとんどが急におきます。でも、翌日まで待っていて大丈夫なものが大半です。親御さんにはぜひ、緊急に治療を受ける必要があるかどうかを見分けるようにしてほしいと思います。

 そしてそれを勉強するのは、子どもが病気になった時がチャンスです。病状の見方や対処の仕方もいっしょに学んでいきましょう。

■【子どもの救急(10)】胃腸炎の対処

 これから寒い季節になると必ず流行するのがウイルス性胃腸炎です。 原因となるのはロタ・ウイルスやノロ・ウイルスですが、それ以外にも多くのものがあります。

 それらのウイルスの感染により、急に吐いたり(胃炎の症状)、下痢をしたり(腸炎の症状)します。この時、腹痛や発熱を伴うこともよくあります。

 子どもは咳き込んだり、むせたりするだけでもよく吐くものです。でも、これらの時には胃は普通ですから、消化された物が出てきますし、落ち着けばまた食事をとることがきます。

 しかしウイルス性胃腸炎では胃の働きが極端に弱くなっているので、何時間も前に食べた物が消化されずに出てきます。また吐いた後も楽にはならず、繰り返し吐くことが多いのも特徴です。 

 対処としては、その場はまず体とお腹を休ませることです。すぐに飲んだり食べたりするとそれらを受け付けませんので、数時間は与えないようにしてみて下さい。とくに顔色が青白いようなら吐き気が強いと考えられます。

 夜であれば朝までできるだけ寝かしつけてみて下さい。眠っている間は胃の安静にもなり、結果として早く良くなってくれるでしょう。

 「脱水」は心配ですが、半日程度は水分をとらなくても大丈夫。しかし、それ以上待つわけにはいきませんので、吐き続けてぐったりしている時には小児科を受診して下さい。

 腸もいっしょに悪くなって下痢をする場合もあります。吐き気が治まっているようなら、水分とお粥のような消化の良い物を少しずつ与えてみて下さい。牛乳や粉ミルクなどの乳製品は消化しにくく、下痢をさらに悪化させることもあるので、最初は与えないで下さい。

 吐いた物や下痢便の中には大量のウイルスが入っていますので、それらの始末はビニールに包むなど、きちんとして下さい。また周りの方は手洗いなども丁寧にして、うつらないよう予防して下さい。

■【HPから】子どもたちをインフルエンザから守るために

 先週からインフルエンザ予防接種が始まりましたが、もう予約はおすみですか? ぜひ多くの方に受けていただき、インフルエンザにかかりにくくしておいていただきたいと思います。できればインフルエンザの流行が小さくてすんでくれればいいのですが、多数の方が予防接種を受けると、流行の程度が小さくなってくれるのではないか、とも期待をしています。

 日本では以前、インフルエンザ予防接種は幼児・学童が受けるものとされた時代がありました。当時はそれを集団で、半ば強制で行っていたところに非難も集まり、中止になりました。このころは「子どものインフルエンザは軽い」とは言われていましたが、それにもかかわらず集団接種を行っていたのは、流行の防止です。インフルエンザの流行が、まずはかかりやすい子どもたちの中でおき、それが家庭や地域の中に広がっていきます。その流行の“現場”で予防することで、その後の蔓延を防いでくれるのではないか、と考えていたからです。

 ワクチンの副作用が問題になるにつれ、「子どもを社会防衛の盾にするのか!?」などという的はずれな反対論が強くなっていきました。予防接種の必要性についての認識が、私たち小児科医の中ですら希薄だったのですから、マスコミも、一般の方もその論に惑わされたとしても、仕方のないことだったでしょう。かくして、日本では子どもに対してのインフルエンザ予防接種は消滅していきました。

 しかし、その後の流行の状況や、高齢者の死亡原因の調査からは、子どもたちへインフルエンザ予防接種を行っていたことで、社会全体を守る効果があったことが確かめられています。そして何よりも、子どもたち自身の健康を守ることにつながっていました。(ワクチンの改良がすすみ、大きな副作用は皆無といっていいほど少なくなりました。)
 
今でもワクチンの副作用を問題にする人たちがいます。その人たちは、副作用が問題だからワクチンを中止することを求めています。ワクチンは必要ないとも言っています。でも、それはおかしな議論ですよね。副作用はできるだけ少なく、あったとしても軽微なものであるべきです。しかし、予防接種の必要性とは異なる次元の問題です。

 自動車事故が今でも頻発しています。日本では年間1万人近くの人たちが交通事故で命を落としています。いわば「自動車の副作用」です。だからといって、自動車を全廃せよという議論が出てくるでしょうか。環境保全や省エネルギー、あるいは健康増進の立場から自動車をできるだけ使わないようにしようという提案はあります。それでも、自動車を完全になくすという提案をする人は、いないでしょう。必要なことは、より安全な自動車の開発であり、事故が起きにくくなるような交通政策や道路の整備などです。

 予防接種も同じではないでしょうか。その効果や必要性と、副作用について、ごちゃまぜの議論をしているのは、もうやめましょう。子どもたち(国民)の命や健康を、感染症からどうやって守るかという基本に、しっかりと立っていることが大切です。

      《10月17日HPブログより》

■わたぼうし病児保育室利用料が非課税に

 当院が子育て支援のために開設しているわたぼうし病児保育室が「認可外保育施設」として県から公式に認められました。

 規模が大きな保育園には法律による設置基準がありますが、小規模な保育園等にはそれがありません。しかし、一部ではありますが、いわゆるベビー・ホテルなどで保育体制の不備から事故がおき、社会問題になったことがありました。

 その対策としておおむね5名以上の子どもを預かる保育施設は一定の基準以上の保育士数や施設・設備であることを求めていて、それを満たす園を認定し、公表しています。

 当保育室も平均利用数が五名を超えることから、県に対して書類を提出し、先日認定を受けることができました。

 これにより保育料(1日2,000円)については消費税が非課税の扱いになります(11月実施)。行政から公的な存在として認められたことになります。

 これからも良質な病児保育を提供し、子育て支援をいっそう充実させていきます。よろしくお願いいたします。

■新市長に望む

 県内で初めて病後児保育を始めた功績は認められるが、その先を行く病児保育の必要性は明らか。「次世代育成支援のための上越市行動計画」の中には平成21年度検討・実施とあるが、早急な対応をお願いしたい。

 また、乳幼児の外来医療費の助成もゼロ歳から4歳までと全国でも低い水準になるのが現状。実際、市町村合併により対象年齢が引き下げられた地域もある。もう一歩踏み込んだ行政を望む。(塚田こども医院院長/わたぼうし病児保育室施設長・塚田次郎さん=48)

  《10月11日付け「上越タイムス」掲載
    特集「21万人の選択--決戦、新上越市長選--」より》

■お知らせ

《インフルエンザ予防接種》
現在インフルエンザ予防接種を行っています。任意接種で1回3,500円です(13歳未満は2回、13歳以上は1回)。ぜひ年内に受けて下さい。予約や変更の連絡は0120-447709(無料)へどうぞ。

■感染症情報

 10月にはさほど大きな感染症の流行は起きていませんでした。

 水ぼうそう(水痘)、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)、溶連菌感染症は少しずつ発生しています。冬場に流行することが多いので、注意をしていて下さい。水ぼうそうとおたふくかぜはワクチンで予防できます(任意接種)。

 マイコプラズマ感染症(気管支炎)がやや目立ちます。咳が強くなるのが特徴で、抗生物質によって効果に差があります。咳が長びいている時には診察を受けて下さい。

 ウイルス性胃腸炎もやや増加傾向。これらの感染症は冬場に多くなるものです。周囲での発生状況に注意をしておいて下さい。

 麻疹、風疹の患者発生はありませんでした。

 感染症ではありませんが、季節の変わり目なので喘息発作をおこしているお子さんが少なくありません。とくに低気圧が接近し、天候が下り坂の時には要注意です。

■当院から毎週【感染症情報】をお伝えしています

 □TEL025-544-7722(無料、毎週末に更新)
 □ホームページにアップロード
 □i-Mode携帯へ送信(無料、毎週末)

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