2005年12月号(180号)   

 カレンダーも残すことあと1枚になりました。今年ももう終わりに近づいてきたんですね。

 これから本格的な冬。風邪などひきやすくなりますので、気をつけてお過ごし下さい。

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 今月の話題

 ●プロとしてのモラルは?
 ●【子どもの救急(11)】やけどの対処
 ●【HPから】Q&A
 ●わたぼうし病児保育室が今話題です
 ●お知らせ
 ○感染症情報
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■プロとしてのモラルは?

 先日来、偽造建築が大きな社会問題になっています。建築士が構造計算を偽り、倒壊のおそれのあるマンションが造られたというものです。建設会社の指示なのか、他にはこういった問題はないのか、購入者への補償はどうするのかなど、これから解決しなければいけない問題が山積しています。

 この事件をみていておかしいと思うのは、関係している人たちの態度です。マンションの設計をし、設計図を審査し、それを造り、売る人たちはそれぞれがお金をもらって仕事をしてきました。プロの職業人です。それがとたんに「責任はない」と言い逃れを始めます。

 とりわけ資格をもつ建築士には唖然とします。「安く作れ」という要請があっても、あんな設計をしてしまえるのでしょうか。そこにすむ人たちの命を何だとおもっているのでしょう。モラルはいったいどこにいったのでしょう。日本はこんな国になってしまったのでしょうか。

 同じような問題がほかの分野でもおきているのかもしれません。医療も例外とはいえないでしょう。私たち医療にたずさわる人間も、プロとして恥ずかしくないような仕事を続けるよう、心がけをあらたにしたいと思います。

■【子どもの救急(11)】やけどの対処

 子どもたちの事故でやけど(熱傷)は頻繁に経験します。痛みがあり、その跡が残ったりすることもあるので、絶対に避けたい事故です。

 子どもたちは興味がある物には何でも手を出します。それが熱いかどうかは分かりません。手の届く範囲にやけどの原因になる物を置かないのが原則です。中でも食卓まわりが要注意。みそ汁、ラーメン、コーヒーなど、みんなやけどの原因になります。炊飯器や湯沸かしポットから出る蒸気は熱湯で、さらに高圧ですのでひどいやけどになってしまいます。これからの季節はストーブなどの暖房器具にも注意が必要。子どもが手を触れたりしないよう、しっかりガードをして下さい。子どもは思いがけない行動をとるものです。やけどの予防は、周りにいる大人たちが細心の注意を払うことが必要になります。

 もしもやけどをしてしまったら、とにかく冷やして下さい。熱が皮膚の深いところに到達しないようにするためですし、痛みも和らげてくれます。時間は15分以上、できれば30分くらい。水道の水で十分です(冬場では広範囲に冷やすと体温低下をおこすこともありますので、やけどの部位だけにして下さい。)アロエを貼るなどの民間療法は効果がないばかりか、かえって悪くすることもあります。

 赤くなっているだけのやけど(1度)では冷やすことで十分。薬は必要ありません。しかし、乳幼児の皮膚は軟らかいために、翌日になると水ぶくれになっていることもあり、受診は必要です。水ぶくれになったやけど(2度)はその皮膚は死んでしまっています。新しい皮膚が再生するまでしばらくの間通院が必要になります。

 やけどの治療方針は近年大きく変わりました。乾かすことをせず、消毒もしません。代わりに湿った状態を保ち、皮膚が再生しやすい状態を作っておきます(湿潤療法)。そのための被覆剤もあります。この方法で治療すると跡を残すことがほとんどなく、痛くないのも特徴です。さらに深いやけど(3度)では、ときに植皮が必要になることもあります。

 またやけどの範囲が広いと命に関わることもあります。とくにぐったりしているような時には救急車を呼んで下さい。

 やけどの治療法が良くなり、跡を残すことが少なくなったとはいえ、やけどをおこさないことがベスト。お子さんの周りをもう一度見直してあげて下さい。

【参考】けがの治療のついても、やけどと同様に「乾かさない」「湿ったままにしておく」「消毒はしない」ことが大切だということが分かってきました。ただし、小石などの異物は取り除く必要があります。当院ではこのような「湿潤療法」を治療に取り入れて1年ほどたちますが、良い成果をあげています。やけどやけがなども、まずは小児科に受診してみて下さい。

■《HPから》Q&A

【質問1】インフルエンザワクチンの接種方法
 2歳の女の子です。昨日インフルエンザの注射を受け、2回目は1週間から10日後に行うように言われました。そうしないと効き目がなくなるとのこと。お友達の病院では2〜3週間あけるようにいわれました。ずいぶん違うのでどのくらい間隔をあけるのが良いのでしょうか。(Yさん)

【答え】
 インフルエンザワクチンは13歳未満は1〜4週間の間隔をおいて2回接種することになっています。そして、1回目と2回目が長く空いた方が抗体のでき方が強いことが知られています。ただし、すでに流行が間近に迫っている場合には早く2回目を終わらせる必要もあり、1週間以上空けて早めに接種する場合も出てくるかもしれません。

【質問2】インフルエンザワクチンと鶏卵アレルギー
 1歳4ヶ月の卵アレルギーがあるのですがインフルエンザの予防接種を受けるか迷っております。(中略)通っている小児科に相談したところ、テストを行い、アレルギーを抑える薬を投用しながら接種することを勧められました。そこまでして予防接種を受けさせる必要があるのか、卵アレルギーへの影響も心配です。接種すべきかアドバイスをお願いします(Kさん)

【答え】
 インフルエンザワクチンは鶏卵を使用して作ってあるワクチンではありますが、発育鶏卵の尿膜腔内で培養し、それを抽出・精製したものです。原理的には卵白も卵黄も使用していませんし、実際に製品としてのインフルエンザワクチンにも含まれていないことはすでに確認されています。

 そのために、鶏卵アレルギーがあっても、その程度が軽い場合にはインフルエンザ予防接種を受けていただいて問題はないとされています。強い鶏卵アレルギーがある場合には、接種に際して慎重に対応していただくようにお願いしています。(この場合でも、絶対にしてはいけないという意味合いではありません。)

■わたぼうし病児保育室が今話題です

 先日、神奈川県のある団体が泊まりがけでわたぼうし病児保育室を見学されていきました。厚生労働省の「緊急サポートネットワーク」という事業を神奈川県で立ち上げることになりました。その事業の中で、何か所かの病児保育室を作るのですが、そのモデルにしたいとのことでした。今月は、隣の長野県のある市の「少子化対策推進委員会」のメンバーが、バスをしたてて視察に来られます。

 地方都市の一画で細々とやっている事業ですが、こういった形で全国から注目されるのは、とても嬉しいです。全国に「わたぼうし」と同じような病児保育施設がどんどんできてくるといいですね!

■お知らせ

《年末年始のお知らせ》
●12月30日(金)〜1月3日(火)まで年末年始のお休みをいただきます。どうぞよろしくお願いします。

■感染症情報

 秋の深まりとともにしだいに風邪、気管支炎などの感染症が増加。小児科は「繁忙期」に入りました。

 ウイルス性胃腸炎の発生が急増しました。胃と腸を悪くする感染症で、急に吐いたり下痢をしたりします。半日程度以上吐き続けていると脱水が心配。ぐったりしている時には早く受診して下さい。

 水ぼうそう(水痘)と溶連菌感染症も流行し始めています。おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)も引き続き見かけます。これらはこれからの冬場に多くなりますので、注意していて下さい。(水ぼうそうとおたふくはワクチン接種で予防できます。)
マイコプラズマ感染症(気管支炎)がやや目立ちます。咳が強くなるのが特徴で、抗生物質によって効果に差があります。咳が長びいている時には診察を受けて下さい。

 麻疹、風疹の患者発生はありませんでした。インフルエンザはまだ発生していませんが、今後は心配です。

■当院から毎週【感染症情報】をお伝えしています

 □TEL025-544-7722(無料、毎週末に更新)
 □ホームページにアップロード
 □i-Mode携帯へ送信(無料、毎週末)

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