2006年1月号(181号)   

 新年明けまして
    おめでとうございます

大雪と厳しい寒さの中で新年を迎えることになりました。
今年が子どもたちにとってより良い一年になることを心より祈っております。

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 今月の話題

 ●人口減少社会へ
 ●【子どもの救急(12)】インフルエンザ
 ●【HPから】「想定外」の大停電
 ●お知らせ
 ○感染症情報
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■人口減少社会へ

 昨年は日本の人口が初めて減少しました。新しく生まれる赤ちゃんよりも、亡くなる方の方が多かったということです。日本がいっそうの「少子高齢化社会」になってしまうということで、大きな社会問題になっています。

 日本での子育て環境に何か問題があるのでしょうか。あるいは、日本は生きていくことすら大変な社会になっているのでしょうか。

 少子化問題への対応は急務。とはいえ、単純にある一つのことをすればすむというような「特効薬」はないでしょう。さまざまなことが複雑に関係しています。

 でも、手をこまねいていてはいけません。解決すべき課題の一つひとつに丁寧に対処していくことで、しだいに「明かり」が見えて
くるのではないでしょうか。

 突き詰めると、少子化対策は日本の社会のあり方を変えようということに他なりません。とても困難なことです。すぐに「人口増加」といった結果がでなくても、その努力を続ける中で、私たちの日本が少しずつ良い方向に変わって行くに違いありません。

 今年が、その大切な区切りの年になることを願っています。

■【子どもの救急(12)】インフルエンザ

 子どもたちをおそう感染症の中で、インフルエンザはもっとも警戒すべきものの一つでしょう。その発症は急激です。数時間の間に高熱になりますし、だるさやぐったり感がとても強く、頭痛、関節痛なども伴います。普通の風邪に比べると全身状態の悪化が強烈です。咳、鼻水、喉の痛みなどはその後に出てきます。吐き気や下痢など、お腹が悪くなることもあります。

 具合がとても悪くなり、食欲は低下。さらに水分も十分にとれなくなることがあります。脱水にも注意が必要です。インフルエンザが「風邪の王様」と呼ばれているのは、その症状の強さからです。

 さらにインフルエンザで問題になるのは強い伝染力です。咳や鼻水などの飛沫(ひまつ)中に大量のウイルスが存在し、それが周囲の人たちへ次々に伝染させていきます。手についたものから伝染していくことも多く、予防のためにはうがいだけではなく手洗いも大切です。

 インフルエンザウイルスは鼻や喉の粘膜について、そこで直ちに増殖し、発熱などの症状を出していきます。他の多くの感染症が血液中でウイルスが増殖するのとは違っています。そのため、感染から症状が出るまでの潜伏期間はとても短く、数時間か半日ということもあります。

 インフルエンザにはA香港型、Aソ連型、B型の3つがあり、これらが毎年必ず流行をおこしてきます。(新型インフルエンザとして問題になるのはA型の新種です。)

 インフルエンザの診療は、近年とても進歩しました。発熱している患者さんがインフルエンザであるかどうかをその場ですぐ判定できる検査キットが作られました(新型にも使えます)。そして、「特効薬」とも言える薬が開発され、使えるようになっています(商品名「タミフル」はその一つです)。発症からできるだけ早く使うことで、インフルエンザの症状をとても早く抑えてくれますし、5日間使うとほぼ治癒します。

 インフルエンザは幼弱な乳幼児や高齢者とって、時に命にかかわる重篤な感染症です。しかし、ここ数年間でこういった抗インフルエンザ薬の使用で重症になることを防いでくれるようになりました。

 なお、小児のインフルエンザに対して強い熱冷まし薬を使うと副作用がおきる心配があります。使えるのは一般名「アセトアミノフェン」だけです(当院採用品ではアトミフェン、カロナールの内服とアルピニー坐薬)。

 インフルエンザは地域や集団の中で流行する感染症です。園・学校などでの流行状況についての情報にたえず注意をし、流行が始まったときには十分に警戒して下さい。そして、インフルエンザらしい突然の発熱があれば、早めに受診し、よく診てもらうようにして下さい。

 インフルエンザの診療は「危機管理」そのものです。普段からの備え(予防策)をしっかりと。そして、必ず流行があり、その中で子どもたちや親御さんご自身、家族に方たちがかかってしまうことがあるに違いないと考えて、対処して下さい。

 ここ2か月ほどは従来のインフルエンザが流行します。それに対してきちんとした対処ができれば、新型インフルエンザが発生したときにも同様の対処で乗り切ることができるでしょう。

【小児ではインフルエンザ による脳症も注意を!】

 日本では毎年、数百人の子どもたちがインフルエンザによる脳症にかかっています。その3割は死亡、2割に重い後遺症がおきるという重篤な合併症です。この脳症の治療はまだ確定した物はありませんが、ここ数年で有効な治療がしだいにはっきりしてきました。そして、できるだけ早く治療を始めることが治療の成功にもつながります。

 インフルエンザ脳症を心配しなければいけない症状とは「長びいたり繰り返すけいれん」「意識状態の低下」「手足のまひ」「繰り返す嘔吐」などです。なかでも意識障害はとても重要で、意味不明の異常な言動がある場合には脳症の可能性があります。すぐに受診をして下さい。

■「想定外」の大停電

 先週は大きな寒波が日本を襲いました。当地もその例外ではなく、家の周りにも1メートル近くの積雪があります。TV映像でご覧になっておられるでしょうが、山間部ではすでに屋根の雪下ろしもしています。いったいこれからどうなるのでしょう。

 先週の木曜日(22日)は、新潟県内で大停電がありました。県庁のある新潟市を中心に、半日以上、中には丸一日もの間、電気が通じませんでした。当院のある上越市は新潟市から150キロほど離れていて、幸い停電の被害はありませんでしたが、でももしかしたら当地でも起きていたかもと思うと、ゾッとします。

 この日は発達した低気圧のために、風速30メートル以上(秒速での表示ですが、これを時速に直すと108キロ以上!)もの強烈な風が、日本海から陸上に向かって吹いていました。それによって高圧送電線どうしが触れあったり、絶縁部分である碍子(がいし)が塩分を含んだ氷で覆われるなどして、ショートしてしまったようです。それも同時多発的に起きてしまい、迂回路の送電もすべてダウン。その復旧作業も、碍子に着いた氷塊を取り除く作業が強風のためなかなかできず、停電時間を長くしてしまったとのことです。

 今回の停電事故は、その規模、時間などからして異例のことでしょう。電力会社も「想定外のこと」だと言っているようです。でも、気象条件が悪ければ、また起こりうること。そして、どこで起きても不思議ではありません。同じ新潟県内の当地は、当日の天候が新潟市周辺よりも多少穏やかだったということなのでしょう、停電にならなかったのはラッキーだっというだけのことです。

 もしかしたら、あの日、首都圏でも大停電が起きていたかもしれません。新潟県には大きな原子力発電所があり、首都圏に大量の電気を送っています。場所はここ上越市より少し北の方、新潟市より柏崎市近辺です。新潟市周辺を襲った悪魔のような気象条件が、もう100キロほど南下していたら、首都の機能が半日以上も麻痺に陥るという事態も、あったかもしれないのです。

 今回のような停電を起こさないような対策は、やはり不十分だったということでしょう。「想定外のこと」などと言って逃げてほしくありません。強風でも電線どうしが接触しないように、より十分な距離をおく、接触してもショートしないように絶縁体で覆うなど、すぐに実施してほしいです。鉄塔との間の絶縁体である碍子が、その表面に氷が着くことで用をなさなくなるのであれば、碍子にヒーターをまくか、ヒーター内蔵の碍子を作ればいい。そのための熱源は自前の電気をお使い下さい。売るほどあるのですから・・

 今回の停電事故への対応で問題になったのは、県庁、新潟市役所など、こういった危機状態の時にこそ重要な働きをするべき場所の非常電源装置が役に立たなかったことです。情けないことです。1年前に中越地震という大災害を経験している自治体でも、こんな程度です。日本中で、本当に危機管理のできる部署がどれくらいあるか、本当に心配になります。

 病院も停電には弱かったです。ニュースには、真っ暗になった待合室で、診療も中止になり、帰ることもできない患者さんの様子が映し出されていました。診療所は、ほとんどのところで休診にしたようです。こういった非常時こそ、何かあれば必ず受け入れてもらえる医療機関の存在が、地域の人々の安全と安心のために絶対に必要です。そういった機能がどれくらい果たせたのか、これからきちんと検討していってほしい課題だと思います。

 当院は今回の停電事故には見舞われませんでした。メールもいただいておりましたが、ご心配いただきありがとうございました。でも、これを「他山の石」として、当院でも危機管理体制をもう一度見直しておきたいと考えています。

 万一の事態の対応として・・非常電源用発電機2機(約50A)、それに直結した電灯が約20か所、コンセント約5か所。これによりある程度の明かりと、診療、会計、薬局、保育室などの一定の機能は維持できるようにしてあります。非常用の飲料水約200リットル。水洗トイレは地下水を非常電源を使ってくみ上げて使用できるように設備されています。院内薬局なので、そうとうの薬の備蓄はあります。

 問題は暖房です。エアコン、全館暖房は停電時には使えないので、灯油を使う形の暖房機が必要です(数台は今でもあるのですが)。これまでは小さい子どもがいるためにやけどの心配があり、使用すべきかどうか悩んでいましたが、このような厳寒時の停電も「想定内」とするためには、やはり数多く用意しておくべきでしょう。ということで、さっそく電気店に手配をしたところです。

 これらの非常用の設備などが使用されないことが一番いいわけですが、でも、万一の事態に備えることは重要なこと。こんご何が起きるか分かりません。どんなことが起きても、それが「想定外のことだった」などという言い訳だけは、したくないと思っています。

  《12月25日HP「院長ブログ」より》

■お知らせ

《なかよし広場だよ!》
 今月21日(土)午前9時半より、わたぼうし病児保育室にて第3回「なかよし広場」を開きます。みなさんで半日、楽しく過ごしてみてはいかがでしょう。(詳しくは保育室までどうぞ)

■感染症情報

 先月(12月)はとても厳しい気候で、風邪などの一般的な感染症がとても多かったです。中でもウイルス性胃腸炎が流行が大きかったです。園・老人保健施設での集団発生もありました。半日程度以上吐き続けていると脱水が心配。ぐったりしている時には早く受診して下さい。

 水ぼうそう(水痘)と溶連菌感染症の流行も続いていました。マイコプラズマ感染症(気管支炎)も引き続き目立ちます。咳が強くなるのが特徴で、抗生物質によって効果に差があります。咳が長びいている時には診察を受けて下さい。麻疹、風疹、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の患者発生はありませんでした。

 インフルエンザは散発的な発生が始まりました。例年のように1月中に大流行になる可能性があります。今後の情報に注意をし、うがい、手洗いなど一般的な予防にも取り組んでいて下さい。


■当院から毎週【感染症情報】をお伝えしています

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