2006年5月号(185号)   

 桜の開花とともに、待望の春がやってきました。

 これからは青葉の美しい季節。お子さんと一緒に戸外でおもいっきり楽しんで下さい。
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 今月の話題
  ●少子化の一番の原因とは
  ●【子どもの救急(16)】ゼーゼーするとき
  ●【院内迅速検査(2)】血液一般検査/Googleで1位!!
  ●たった一人の小児科医
  ●感染症情報
 
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■少子化の一番の原因とは

 5月5日は子どもの日。例年のことですが、子どもの人口が発表されます。ここ数年は1年に生まれる子どもは110万人ほど。戦後すぐは年に270万人くらいだったので、ここ60年で3分の1近くになってしまいました。

 若い世代が、子どもをもつことに抵抗があるということなのでしょうか。あるいは、そもそも結婚することができなくなっているのでしょうか。原因は根深いようです。

 子どもは社会の宝。子どもたちが元気に、健やかに育っている社会は、心のありようがとても豊かな社会に違いありません。

 子どもたちを社会全体で育て、見守ることができるならば、もっと子育てがしやすくなるでしょう。そんな社会であれば、大人だって生きていくのが楽しくなります。

 子育てに困難を覚え、子どもを生み育てる選択を放棄してしまう最大の原因は、大人が生きづらさを感じているからだと私は思っています。

 当院が行っている病児保育などの子育て支援も、基本的には親御さんへの支援です。いろいろと大変な世の中ですが、子育ての中で誰かに守られ、助けられているという実感をぜひ味わって下さい。

 遠回りですが、それが少子化対策の基本だと思っています。


■【子どもの救急(16)】ゼーゼーするとき

 空気の通り道のどこかが異常に細くなると「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった笛をふくような音がしてきます(喘鳴)。その程度が強いと、呼吸するのが苦しくなり、呼吸困難の状態になっていきます。

 子どもは体が小さいので、もともとこの空気の通り道が細く、ちょっとした変化でゼーゼーがでやすい特徴があります。

 細くなる場所によって、症状の出方が違います。口から少し入ったところを喉頭と呼びます(声帯のあるところ)が、ここの病気では息を吸う時にゼーゼーします(喉頭炎)。声帯が荒れるので声がれがおき、喉の痛そうな咳(犬が遠吠えするような咳)も出てきます。ひどくなると空気が吸えなくなり、窒息することもあります。

 喉頭炎をおこす代表はジフテリアですが、現在は予防接種によりほぼ根絶状態です。今みられるのは、風邪のウイルスによる喉頭炎で、比較的軽くすみますが、それでも苦しそうな時にはいそいで受診する必要があります。

 肺に近い気管支が細くなっておきるのが喘息です。こちらは息を吐く時にゼーゼーし、程度が強くなると空気を吐き出せなくなり、やはり呼吸困難になることもあります。

 子どもに多く見られるダニアレルギーをベースにした気管支喘息は、2歳前後から始まり、5歳くらいがピーク。小学生以降はしだいに軽くなっていくことが多いです。

 室内塵(ほこり)を吸うことが喘息発作のきっかけになります。また、気管支の粘膜が敏感なためにタバコや線香の煙を吸い込むことでも発作をおこしてしまいます。日頃から室内を清潔にし、ダニを少なくするとともに、家族の方も喫煙しないなど、生活環境を整えるように協力して下さい。

 いずれのゼーゼーがおきたときにも、食事や水分がとれ、普通に会話ができるなど、状態が良い時には家で静かに過ごすだけでも大丈夫です。気持ちを落ち着かせ、水分をとりながら、夜はゆっくり休ませてあげて下さい。

 しかし、本人の様子が苦しそうであったり、水分も全くとれない、繰り返し吐いている、横になって寝ることができない、唇が紫色になっているなど、呼吸状態や全身状態がとても悪いようなら、夜間でも急いで受診する必要があります。

 気管支喘息は発作が繰り返しておきる病気です。以前に発作を起こしてことがあるお子さんについては、気管支拡張薬などの発作止めを医師から処方してもらっておくことも大切です。

 また、程度の強い発作が何度も起きている場合には、アレルギーを抑えて発作を予防する薬をふだんから使っていることで、発作が起きにくくなると期待できます。主治医の先生と、治療方針やいざという時の対処についてよくご相談になっておいて下さい。


■【院内迅速検査(2)】血液一般検査

 血液中には3つの血球成分があり、それぞれ大切な働きをしています。

(1) 白血球:細菌やウイルスをやっつけることで感染を予防したり、治したりする働きがあります。多いとそれだけ感染症が強いと考えられます。少なすぎると感染症をおこしやすく、治りにくいことが心配です(「免疫不全」など)。

(2) 赤血球:中に血色素(ヘモグロビン)というタンパク質が含まれ、酸素を肺から体のすみずみに運び、帰りに体内で作られた二酸化炭素を肺にもってくる働きをしています。この量が少ないのが「貧血」です。

(3) 血小板:血液を固める働きがあります。傷などができて血液が体外に出た時に、ほかのタンパク質と協力しながら固まりだし、かさぶたを作って出血をとめます。血小板が少ないと出血しやすい状態になります(「紫斑病」など)。

 これらの数値は少量の血液で分かります。また院内ですぐに検査できるので、CRPとともに感染症の診断や治療にはかかせないものとなっています。(標準値は年齢などによって異なります。)


■Googleで1位!!

 私の「院長ブログ」がGoogle検索で、何と1位になりました。HPの指南役の“お師匠さん”からメールをいただいたときには、にわかには信じられなかったのですが、自分で検索しても、確かにトップに私の「院長ブログ」が出てきます。嬉しいですね(*^_^*)

 これも、私の院長ブログをお読みいただきている方々の温かい声援があってのこと。感謝しております。

 なお、先日まで2位だったYahoo!は逆に22位まで後退。どうしたのでしょう。でも、いずれはまた上位に上がってくると思います(以前もそんなことがありました)。次はYahoo!での1位を目指したいと思います。


  《HP「院長ブログ」4月13日より》


■たった一人の小児科医

 私が住む新潟県上越市には小児科のある病院が3つあります。その一つが先日、移転新築しました。これまでよりも診療科が増え、ベッド数も大幅に増えて、より大きな病院として生まれ変わりました。

 この病院の小児科は、これまでは常勤が一人だったのですが、これからは3人になり、よりしっかりとした体制で小児科診療ができるようになりました。嬉しいことです。でも、ちょっと困ったこともおきています・・

 上越市というのは、昔は高田市と直江津市という二つの市が合併してできました(昨年はさらに周辺の14市町村が合併してもっと大きな市になっています)。高田は平野部の真ん中で文化や商業のさかんなところ。直江津は港や交通の要所として、流通などで栄えてきたところ。市街地の広域化の中で、その区別はだんだんとなくなってはきているのですが、それでもまだ「高田地区」と「直江津地区」は、生活圏としては若干の区別があるようです。

 くだんの病院は長らく直江津の真ん中にあったのですが、敷地が狭く、建物が古くなったということで移転しました。昔の行政区分では、旧高田市になるところへです。患者さんにとっては、生活圏から移転することは、やはり負担が大きくなります。自家用車で通える人たちはいいですが、徒歩で通院されているお年寄りなどは、やはり通いづらくなってしまいます。(このあたりのフォローをきちんとしているのか、心配しています。)

 小児科は医者が増えたことは良いのですが、やはり通いづらくなったという声を親御さんから聞きます。若い人たちはほとんど車で通院しているはずなのでが、それでもやはり通うのは大変になったようです。

 当院は上越市の海岸より・・つまり直江津にあります。その直江津から小児科が一つなくなったということで、患者さんの受診の様子が少し変化してきているような気がしています。

 私が開業した1990年当時は、直江津には小児科医のいる病院が2つ、小児科開業医が他にもう1軒ありました。その後、開業の先生はご高齢のためにおやめになり、一つの病院は小児科の常勤医師が不在になってしまいました(現在は週2回、大学からの出張医で外来のみを行っていますが、それも5月で終わるそうです)。もう一つも、病院そのものが移転してしまったので、今では直江津地区で小児科医は私一人になってしまいました。

 直江津地区の人口は約7万人。小児人口を15%とすると、この地域の子どもたちはおよそ1万人以上いることになります。そんな中で小児科医が一人だけというのは、十分な小児医療の体制を作るのが厳しい状況です。

 私もできる限りのことはしていきます。そしてしなくてはいけないことも、まだまだいっぱいあります。でも、どれくらいのことができるだろうかと考えると、ふと心配になります。やはり一人の小児科医、一つの小児科医院だけでは、限界があります。

 今、小児科医療が危機に瀕していると指摘されています。いつでも、どこでも、心配なときにはすぐに受診できる体制が求められているにもかかわらず、現実は小児科医と小児科の不足のため、基本的な小児科診療そのものが成り立たなくなりつつあります。

 子育て支援については、最近は理解が深まるようになりました。そのための施策もいろいろと打ち出されています(実効が伴うかどうかは分かりませんが)。でも、小児医療の体制づくりについてはどうでしょうか?

 子どもたちを大切にしたいと願っている小児科医が、実は自分自身の健康を害しながらやっと仕事をしているような状況が、日本中でおきています。どうすればいいのか、ぜひいっしょに考えてみていただけないでしょうか。


  《HP「院長ブログ」4月7日より》


■感染症情報

 春休みには終息すると思われていたインフルエンザの流行は、規模は小さいながら4月いっぱいまだ続いていました。例年春先に多くなあるのはB型ですが、今年はB型の発生がほとんどなく、A型の発生が続いています。気候から判断しても、これ以上の流行はもうないのではないかと思います。

 ウイルス性胃腸炎の流行が4月はまたぶり返していました。ノロウイルスやロタウイルスなどがその原因。吐き気が強く水分のとれない状態は脱水が心配です。グッタリしている時には早めに受診を。

 マイコプラズマ感染症の流行が続いています。4月はその勢いがいっそう拡大しています。気管支炎や肺炎などの呼吸器感染症をおこします。適切な抗生物質を使って治療する必要があります(外来で迅速検査が可能です)。

 溶連菌感染症、水ぼうそう(水痘)、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は小規模な流行が続いています。とくに今春入園して初めて集団生活を経験している幼児に多く発生しているようです。水ぼうそうとおたふくかぜはワクチンによって予防が可能です。任意接種ですが、受けていただくことをお勧めしています。

 麻疹、風疹の患者発生はありませんでした。

※これから夏場は日照量が多くなります。日中の外出を避ける、帽子をかぶる、水分をとるなど、熱中症の予防にも注意をお願いします。


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