2006年6月号(186号)   

 季節の変わり目で、体調の思わしくない子も多いようです。

 あせも、とびひなどが増えてきて、もうすぐ夏になるんだな、と実感しています。


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 今月の話題
  ● 開院から16年
  ●【子どもの救急(17)】目のトラブル
  ●【院内迅速検査(3)】尿一般検査
  ●【HP院長ブログより】熱中症
  ●【HP院長ブログより】恩師の開業
  ●「第2回上越子育てフォーラム」のお知らせ
  ●感染症情報

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■開院から16年

 今月は当院の開院記念の月になります。1990年(平成2年)に医院を始めてから16年です。当時は子どもたちの診察は必ずしも小児科医だけではなく、内科医や産婦人科医もある程度関わっていたように思います。

 しかし、親御さんの「小児科専門医志向」が高まる中で、しだいに患者さんが小児科に集中するようになってきました。

 また少子化が社会全体の問題とされ、子育て支援のために小児科の役割はさらに重要性をましてきています。当院でも5年前から私費でわたぼうし病児保育室を併設していますが、こういったことも子育ての環境作りに役立っているものと思っています。

 しかし近隣の病院から小児科がなくなるなど、小児科医の不足は深刻で、小児医療の体制は期待に十分こたえられない状況にもなっています。小児救急の問題も、今後の大きな課題です。

 子育てが楽しく、充実したものになるようにするためにどうしていけばいいのか、なかなか「正解」が出せないでいます。



■【子どもの救急(17)】目のトラブル

 子どもたちの目のトラブルで一番多いのは、目やに(眼脂)が出るということでしょう。朝起きた時に白っぽい物がうっすらと付いている程度なら軽いので、きれいなタオルなどでぬぐってとってあげるだけで十分です。

 黄色くてドロッとした目やにが出る時は細菌感染を起こしています。とりあえず目の周りを洗ったり、タオルなどでぬぐって取って下さい。治療には抗生物質の目薬が必要ですので、小児科または眼科へどうぞ。

 汚い目やにのほかに、結膜が真っ赤に充血し、時には出血しているような時には注意が必要です。感染力がとても強いウイルスによる「はやり目」かもしれません(アデノ・ウイルスによる流行性角結膜炎や急性出血性結膜炎)。顔や目に付いたタオルなどは他の人に付かないようにし、本人と周りの人たちの手洗いを十分に行って下さい。眼科に受診する必要がありますが、伝染性のものですので、受付にその旨をお話になり、隔離室に入るなどの指示をもらって下さい。また、園や学校は治るまで出席停止の扱いになります。

 白目が赤くなり、とても痒い状態はアレルギー性結膜炎かもしれません。花粉症はその一つですが、最近は幼児にも珍しくありません。専用の目薬がありますが、臨時の処置としては水で目を洗ったり、目の周りを冷やしたりして下さい。

 急に目を痛がり出した時には結膜に異物が入ったのかもしれません。小さなゴミなら涙がたくさん出ると流れ出てくれるでしょう。アカンベーをすると見えることもあります。目を強くこすると眼球を傷つけますので、注意して下さい。大きな異物や、化学物質などは緊急の受診が必要かもしれません。

 「目が痛い」という中には風邪などの発熱に伴う症状のこともあります。これは眼球を動かす細い筋肉におきた筋肉痛で、目を左右に動かす時に痛みが強くなるのが特徴です。とくにインフルエンザの初期症状でよく見られます。目を動かさず、まっすぐに見ていれば痛みはさほどではありませんし、解熱鎮痛剤を使うと症状は和らぎます。

 目薬を使う時には、まず大人の手をきれいに洗って下さい。仰向けに寝かせたお子さんの目の前、2、3センチのところから目薬を1滴落とします。少しでもまぶたが見開いていれば十分です。この時に目薬の先が目の表面や皮膚に触れないように気をつけて下さい(雑菌が入ってしまいます)。

 子どもたちは風邪などに伴って結膜炎を起こすことが多いので、通常は小児科でいっしょに診療しています。しかし、症状が強い時や、視力も問題がある時などは、専門である眼科医を受診して下さい。



■【院内迅速検査(3)】尿一般検査

 尿の中にはいろいろな物が出てくるので、それを調べることで病気のことをある程度知ることができます。

 小児科では感染症による発熱が多いのですが、ときどき尿路感染症を起こしていることがあります。この時には尿中に白血球が多くでてくることから病気を知ることができます。

 腎臓の病気があると、たんぱく質が出てきたり、血尿になったりします。とくにたんぱく質が多量に出てくると、体内のたんぱく質が足りなくなり、浮腫(むくみ)がおきてきます。各種の腎炎、ネフローゼ症候群の診断の第一歩になりますし、治療経過をみるためにも重要な検査です。

 そのほか、肝臓が悪くなって黄疸(おうだん)が起きると、尿の中にビリルビンなどが出てきます。また、糖尿病では糖が多量に出てきます(食事の直後には普通の人でも多少糖がでてきますが、糖尿病では食事の前でも糖が出ています)。

 このように、尿の検査から多くの情報が得られますが、その解釈は個々の患者さん毎に行っていきます。

 なお、乳児で尿検査が必要な時には尿採取用のパックを貼って、排尿するまで待っていてもらうことになります。



■【HP院長ブログより】熱中症

 強風にたたられた週末でしたが、今日は休み明けで嵐のような外来でした。冬場に多いウイルス性胃腸炎もまだ流行しているというのに、手足口病、ヘルパンギーナなどという“夏かぜ”も見かけるようになってきました。全国的にはプール熱(咽頭結膜熱)も大流行しそうだとか。夏場は小児科医にとっては“閑散期”のはずなのですが、今年は事情が違っているような予感もしています。どうなるのでしょうか。

 暑い日が多くなると、熱中症が心配になります。案の定、昨日生後2か月の赤ちゃんが、駐車場に放置された自動車の中で死亡するという事故が起きてしまいました。両親ともパチンコ店に入って遊んでいたのだとか。数時間も車内に置いておくとは、いったい何だったのでしょう。熱中症云々の問題以前に、生後間もない赤ちゃんをほおって置くこと自体が、よく理解できない行動です。あきらかに育児放棄(ニグレクト)であり、乳児への虐待です。

 きっとお腹をすかせて泣いていたことでしょう。おむつも汚れていやな気持ちでいたに違いありません。泣いても誰も応えてくれず、あやしてもくれません。もちろんおっぱいやミルクも与えてもらえません。赤ちゃんだから何も分からない、なんてとんでもありません。辛い気持ちで何時間も過ごしていたに違いありません。そして、きっと熱中症になり、泣くこともできなくなり、そしうて意識が薄れていったのでしょう。そのあとは呼吸も弱くなり、心臓の動きも次第に止まっていき、一人さびしく、誰に見守られることなく、温かい胸で抱かれることもなく、命を失ってしまいました。

 この両親は逮捕されたそうです。不注意で起きた事故ではありません。虐待事件としてきちんと捜査し、辛くて孤独な中で死んでいった赤ちゃんの無念さを分からせてほしい。処罰をすればすむとは思っていませんが、赤ちゃんの死を軽く考えてはほしくありません。

  《HP「院長ブログ」5月29日より》



■【HP院長ブログより】恩師の開業

 私の恩師にあたる小児科医が先週新しく開業されました。今から20数年前、医学部を卒業したての私が臨床研修した新潟市民病院の、当時の小児科部長。その後副院長をされ、定年退職後は民間病院の副院長をされながら、毎日小児科外来での診療をされてきました。今春そこを退職され、開業されたというのが、簡単なご経歴です。

 私が小児科医になったのも、このO先生のおかげです。最初は「子どももある程度診れる内科医」を目指して研修をしていました。出身大学が自治医科大学で、地元である新潟県内の僻地の病院で働くことになっていましたが、規模が小さければ小児科医はおらず、ある程度のことは内科医が引き受けることになるだろうと思ったからでした。

 実は当時の臨床研修に、このような「総合的なカリキュラム」はありませんでした。専門試行が強く、内科医であっても特定の科に入ってそこで研修し、一人前の医師になっていくというのが一般的。何でもできる医者、科の境界は関係なく、患者さんをまるごと診療できる医者というのは、「専門医」より劣っているというようなヘンな見方が大勢でした。

 県庁の担当部長に直接お願いし、大学には行かず、市中の一般病院で臨床を重視した研修をさせてもらったのは、自治医大の新潟県卒業医師の中では初めてでした。そして・・最後にもなりました。残念ながら、地元医学部の了解が得られなくなったのだと、後日その理由を聞かされました。

 話は飛んでしまいましたが、市民病院の中での研修も、実は希望通りには行きませんでした。内科の研修以外にも、小児科、外科、麻酔科などを幅広く勉強したいとお願いしたのですが、外科などは、やはり専門医を育てるための研修だということで、門戸を開いていただけませんでした。そんな中でも“心の広い”小児科を加えてのローテーション形式の研修をすることができました。

 私は1年目は内科の中のいくつかを研修していたのですが、2年目には小児科医としての研修に切り替わっていました。その時に、私に小児科医になるように熱心に勧めて下さったのがO先生でした。その間の経過は、詳しくは覚えていないのですが、先生からお話があり、「小児科も悪くないな・・」などと思いながらもなかなか決めかねている間に、O先生が先に手続きを進めていったようです。というのは、私は正式に了解をした覚えが、どうもないのです。忘れてしまったのかもしれませんが・・

 当時の新潟市民病院は、小児科は内科の一部との混合病棟でした。糖尿病などの内分泌内科の研修でこの病棟を訪れていた時に、私を見そめて下さったようです。病棟で行われている小児科の行事などに、小児科の先生方よりも熱心に参加して、子どもたちと遊んでいたからのようです。内科の研修がヒマだったのかもしれませんが、子ども好きの性格を見抜かれてしまいました。

 そんなこんなで私に小児科医になることを(私の代わりに?)決めて下さったのもO先生ですし、その後の小児科の指導をして下さったのもO先生です。小児科医としての私の遺伝子の中は、すっかりO先生由来のものが詰まっているのです(←これはちょっと言い過ぎでしょう)。

 そんな小児科の大御所ですが、隠居の道は選ばなかったようです。これからも生涯、現役の小児科医として、子どもたちの健康を願って活躍されていくことでしょう。その志を、私も学んでいきたいと思っています。

 ちなみのこのO先生は、御歳70歳になられます。正直言って、そのお歳で新規開業するの!?って驚きましたが、でもまだまだお元気です。まだまだ何十年も診療できそうです。私は今49歳。あと20年ほど頑張って、やっと今のO先生と同じになります・・。まだまだリタイアさせてもらえそうにありませんね。ちょっとめまいがしてきました(T_T)

  《HP「院長ブログ」5月30日より》



■「第2回上越子育てフォーラム」のお知らせ

 昨年に続き、今年も子育てについての講演会を行います。どうぞご参加下さい。

●7月22日(土)午後1時30分〜3時40分
●リージョンプラザ上越にて
●入場無料(あらかじめ医院へお申し込み下さい)

●プログラム
 1「身長・体重から分かる子どもの体と心の健康」−身体計測値の活用方法−
   厚生労働省保健医療科学院 小林正子先生
 2「新しい時代を生きる親子の光と闇」−現在子どもたちの置かれている状況とその対応−
      慶応義塾大学小児科 渡辺久子先生  
 (司会 塚田こども医院・塚田次郎)



■感染症情報


 今シーズンのインフルエンザの流行は5月中旬にやっと終息しました。例年と異なり真冬に多いA型の発生が春先まで長びき、逆にB型の流行はほとんどありませんでした(当院ではB型と確認できたのは1名のみ)。新型インフルエンザが海外では問題になっています。もし流行が始まるとしたら夏場からと言われています。個人レベルの予防はなかなかできませんが、情報には敏感になっていて下さい。

 ウイルス性胃腸炎の流行は先月もまだ続いていましたが、下旬からは少なくなってきました。しかし、これからの季節は食中毒が発生しがちですので、注意をしていて下さい。
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の流行が一段と拡大しました。いくつかの園から始まり、地域全体の大きな流行になりました。耳下腺が腫れ、熱と痛みがでる感染症で、治るまで1週間ほどの休みが必要です。髄膜炎、難聴などの合併症もあります。ワクチン接種を受けておくとかからなくてすみます(任意接種)。

 昨年から続いているマイコプラズマ感染症はまだ患者発生が多い状況です。気管支炎や肺炎をおこし、咳がとても強くなります。(外来で迅速検査が可能です)。

 溶連菌感染症、水ぼうそう(水痘)はまだ発生が続いています。夏かぜである手足口病やヘルパンギーナも散見されるようになっています。麻疹、風疹の患者発生はありませんでした。

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