2006年7月号(187号)   


 一年の半分が過ぎ、もう夏になってきました。

 暑さが厳しくなっていきますが、体調に気をつけてお過ごし下さい。


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 今月の話題
  ● フォーラムにおいで〜!
  ●「第2回上越子育てフォーラム」のお知らせ
  ●【子どもの救急(18)】夏場に多いトラブル
  ●【院内迅速検査(4)】血液中ケトン体
  ●年長さんも麻疹・風疹ワクチンを
  ●【HP院長ブログより】そもそも防火シャッターとは
  ●医院の改装のお知らせ
  ●感染症情報

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■フォーラムにおいで〜!

 今月は第2回上越子育てフォーラムが開催されます。昨年のフォーラムが好評のため、毎年行うことになりました。子どもの体や心の発育・発達について、いっしょに学んでいきましょう。

 講師の方々は全国的に活躍されている先生方です。そのお一人の渡辺久子先生は、大学病院で思春期の子どもたちの難しい診療にあたりながら、多くの著書を出され、講演も数多くされています。

 私も渡辺先生のご講演を何度か拝聴する機会がありました。今子どもたちがおかれている困難な状況を真っ正面から見つめ、小児科医としてどのように取り組んでいけばいいか、教えて下さいました。いつも深い感銘を受け、先生の教えを少しでも日々の診療に役立てようと思っている次第です。

 今回のフォーラムは「私が聴きたい講師」を選びました。多くの方にお聴きいただき、先生方のお話を子育ての中にお役立て下さい。

 そして、自分自身の生き方を見つめ直すきっかけになるかもしれません。そんなパワーを秘めた先生方です。どうぞお楽しみに。


■「第2回上越子育てフォーラム」のお知らせ

 ●7月22日(土)午後1時30分〜3時40分
 ●リージョンプラザ上越にて
 ●入場無料(あらかじめ医院へお申し込み下さい)
 ●プログラム
 1「身長・体重から分かる子どもの体と心の健康」−身体計測値の活用方法−
   厚生労働省保健医療科学院 小林正子先生
 2「新しい時代を生きる親子の光と闇」−現在子どもたちの置かれている状況とその対応−
      慶応義塾大学小児科 渡辺久子先生  
 (司会 塚田こども医院・塚田次郎)


■【子どもの救急(18)】夏場に多いトラブル

 気温が高く、出かけることも多い夏場は、子どもたちの事故や病気にも注意が必要な季節です。

 暑さが厳しいと熱中症が心配になります。体温の調整機能が未熟な子どもたちは、体の中に余分な熱がこもってしまいがち。お天気の良い戸外だけではなく、自動車の中や屋内でもおきることがあります。

 お子さんが具合を悪そうにし、顔色が悪いときにはすぐに涼しいところで休ませて下さい。水分の補給もこまめに。顔色が元に戻り、元気になれば安心です。しかし、高熱になったり、真っ青な顔色でグッタリしていたり、嘔吐が続くなど、重症と思われるときにはすぐに救急車を呼んで病院に向かいましょう。

 そうならないようにするためにも戸外での遊びは炎天下をさけ、木陰や日陰で過ごすようにして下さい。帽子をかぶったり、水分を十分にとることも必要です。室内でも、ときにはエアコンを上手に使うようにして下さい。

 水遊びもする頃なので、水の事故も心配です。海やプールだけではなく、川、用水路、池などのほか、お風呂でも事故はおこるものです。子どもを一人だけで水の近くに近づけないこと。必ずお子さんから目を離さず、手をつないでいて下さい。

 皮膚のトラブルも多発します。昔は真っ黒になるまで外で遊んでいましたが、今は日焼けもほどほどにすべきだとされています。必要に応じて日焼け止めクリームなども使って下さい。日焼けは皮膚にとっては火傷(やけど)です。冷たい水で十分に冷やすとともに、もし水ぶくれになっていたら小児科か皮膚科を受診して下さい。

 また、とびひ(伝染性膿痂疹)も多発します。汗ばんでいたり、虫さされ、湿疹などがあるとそこから細菌感染をおこしてきます。たえず皮膚を清潔にしておくことが大切で、日中もシャワーを浴びたりして、いつも皮膚をスベスベにしておくように心がけて下さい。とびひになってしまったら抗生物質による治療が必要です。

 夏場は子どもたちにとってとても楽しいことがたくさんある季節です。でも、事故などによって台無しになるなどということのないよう、十分に注意をしていて下さい。


■【院内迅速検査(4)】血液中ケトン体

 ケトン体は、体内で糖質の利用障害がおき、蓄えてある脂肪の分解が急激に進むときに血液中に増加してきます。

 高ケトン体血症になると、食欲低下、顔色不良、倦怠感、吐き気・嘔吐、腹痛などの症状が現れます。小児は糖分の蓄えが少ないため、半日程度「飢餓状態」が続くだけで増加してきます。また嘔吐下痢症で吐き気が強いときや急性上気道炎などで体調が悪いとき、あるいは精神的・肉体的な疲労によってもおきることがあります。

 治療には十分な糖分(ブドウ糖)を注射することが必要です。

 ■検査値の目安(単位はμmol/l)
 ・ 0〜 99:正常
 ・100〜499:やや増加
 ・500〜999:中等度の増加
 ・1000〜 :高度の増加


■年長さんも麻疹・風疹ワクチンを

 今年4月より麻疹と風疹の予防接種が混合ワクチンになりました。また1歳と小学校入学前1年間の2回、接種を受けることになりました。

 これまでは制限があり2期の接種が行われていなかったのですが、その制限がなくなりました。

 今保育園や幼稚園の年長さんの子どもたちは全員、2期の接種の対象です。ワクチンを受けて、さらに麻疹や風疹にかかりにくくしましょう。


■【HP院長ブログより】そもそも防火シャッターとは

 防火シャッターが引き起こした事故について、昨日の「院長ブログ」に思うところを書きました。そして、書きながらぼんやり疑問に思うことがあり、今日一日考えていたのですが、そのことについて続けて書いていきたいと思います。

 そもそも防火シャッターとは何なのか、という疑問です。火災が起きたときに類焼や延焼を免れるため、建物の空間を完全に仕切る物・・そう考えていいと思います。そのためには、火災報知器などを連動して、自動で閉まる構造が必要ですし、昨日「緊急提案」したような、完全に閉まりきらない構造では、その目的を完全に達成できないことになります。

 そんなことは当たり前で、どこが疑問なのだと言われそうですね。問題はここからなのです。無人の建物で火災が起きたのであれば、早く火災を沈めたり、火災を小規模な範囲に閉じこめておくために、防火シャッターや防火扉が自動で、できるだけ早く閉まる仕組みは必要ですし、スプリンクラーなどの自動消火設備とともに活躍することでしょう。でも、無人ではないときに火災が起きたときには、そこにいる人たちの避難誘導はどうなるのでしょう。

 防火扉は、その一部に容易に出入りできるような“内扉”があります。そこを通れば逃げて行くこともできるでしょう(年齢の小さい子どもたちが、非常時に自分だけでそれができるかどうかは分かりませんが)。でも、防火シャッターは一度閉まれば、まず開けることはできません。

 先日の事故では降りてくる途中の防火シャッターに引っかかってしまったために起きた事故です。そうならないように安全装置をつけた新しいシャッターに、一日も早く交換しなさい、というのが昨日の「院長ブログ」でお話しした内容です。かりにこの新しい防火シャッターになっていたとしても、そして誤作動は起こさなくても、本物の火災時には短時間に閉まってしまいます。もしその時に、そこに子どもたちがいたらどうなるのでしょう。

 やはり先日の事件では、挟まった子どもを助け出そうとして教師たちが持ち上げようとしたけれどできず、保守点検をしていた業者の人がかけつけ、手動でシャッターをあげ、救出したということです。大人の力でも持ち上げることはできませんでした。完全にしまっていればなおのこと。そして、子どもが閉じこめられてしまえば、その子どもが開けることもできず、訓練されていない教師では助け出すことはまず不可能だということです。

 これは何を意味しているのでしょう。火災発生時に「防火」のために作動するのはあくまでも建物の防火であり、そこにいる子どもたちを守ったり助け出す物ではないということです。もし閉じこめられたとき、火災の起きている場所とは違うところであれば、あとで消防隊などによって助け出されることがあるかもしれません(挟まれなかったけれど、でも閉じこめられてしまった子どもたちはきっとパニックをおこしているでしょう)。しかし、もしも火災がそちらの方向であれば、最悪の事態も考えなくてはいけません。

 当院では先月、消防署の方からご指導いただいて避難訓練を行いました。そのときに、いかに逃げ遅れた子どもがいないかを確実に確認することが大切であるか、と教えられました。職員が避難誘導しながら、トイレも個室なども含めて、院内の全ての場所を一つひとつ点検し、声をかけ、目で見て残されている子どもがいないかどうかを確認しなくてはいけないと。そう考えると、火災時に自動的にしまってしまい、容易に開けることができない防火シャッターという物は、人の避難誘導にとって障害になるものだということになります。

 学校で万一に火災が発生した場合、教師が子どもたちを安全に避難誘導させなくてはいけません。全ての子どもたちが校舎に残ることなく、完全に避難できたことを確認したのちでなければ、この防火シャッターを完全に閉め切ってはいけないのではないでしょうか。昨日も提案したように、下から数十センチほどのところでいったん止まる構造になっていて、それ以上完全にしめるのは、避難が完了したと確認したあと、人の手によって行われなくてはいけません。

 防火シャッターは建物を火災から守るものです。直接的に人間を守るものではありません。それどころか、先日の事故のように子どもが挟まってしまう事故も頻発しています。そして何よりも問題なのは、避難路を遮断してしまうために、人的な被害を発生させうる装置でもあります。そもそもがそういった物なのだという認識は、おそらく誰にも、どこにもなかったのではないでしょうか。

 今回の防火シャッターによる事故の教訓として、ぜひ防火シャッターの危険性を回避する方法を考え出し、早急に実行してほしいと思っています。(私がこんなことを自分のブログに書いているだけでは、何も影響はないのでしょうね。誰かその筋の偉い人に“直訴”してくれませんか。ことは子どもの命がかかっています!!)

  《HP「院長ブログ」6月10日より》


■お知らせとお願い

 当院では建物の改修工事を行うことになりました。外壁の塗り替え、屋根の塗装、増築などを行います。開院して16年がたちますが、久しぶりの“お色直し”です。

 今月中旬から始まり、8月いっぱいかかる予定です。工事中はご迷惑をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。


■感染症情報

 先月(6月)はおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の流行が最も目立っていました。当地域では一部の保育園で春から流行が始まり、その周囲の園に流行が拡大していきました。現在は地域的な広がりとともに、小学生や乳児の患者発生が増えています。家庭の中でも感染を広げているようです。あらかじめワクチン接種を受けておくとかからなくてすみます。まだかかっていない方は早めに受けておかれるようお勧めします(任意接種)。

 水ぼうそう(水痘)も保育園児を中心に発生しています。こちらもワクチンが用意されています。ウイルス性胃腸炎は発生が少なくなりましたが、夏場は食中毒が発生しやすくなりますので、注意をお願いします。マイコプラズマ感染症はまだ多くの患者発生があります。気管支炎や肺炎をおこし、咳がとても強くなります。

 りんご病(伝染性紅斑)の流行がおきています。子どもにとっては1週間ほど頬や手足が赤くなるだけの軽い感染症ですが、大人がかかると関節痛などがとても強くなります。万一妊婦がかかると、胎児の発育に障害がおきることもあります。

 ヘルパンギーナ、手足口病、プール熱(咽頭結膜熱)とった夏かぜも増えています。それぞれ特徴のある感染症で、園などでの流行の様子から推測することができます。

 麻疹、風疹の患者発生はありませんでした。

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