2006年9月号(189号)   

 今年の夏は、始まりは遅かったものの、連日の猛暑が続き、とても過ごしにくかったですね。

 まだ残暑が続いています。早く秋の気配を感じたいものです。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 今月の話題
  ● 子どもたちが安全で安心できる社会を!
  ●【子どもの救急(20)】耳のトラブル
  ●【院内迅速検査(6)】血液生化学(1)
  ●「冷水器を」とのご意見にお答えします
  ●【HP院長ブログより】読売新聞から取材
  ●お知らせ
  ●感染症情報

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


■子どもたちが安全で安心できる社会を!


 夏休みは楽しいものであるはずなのに、今年はいろんな事故が多発したように思います。なかでもプールの排水口に吸い込まれてしまった事故は悲惨でした。とてもお粗末な管理の中でおきてしまったもの。国からの通知を守っていれば絶対におきなかったはずです。たとえ決まり事がなかったとしても、安全を確保するのは当然のことです。

 子どもの死亡原因で最も多いのは不慮の事故(ゼロ歳児を除く)。子どもたちの大切な命が、いとも簡単に失われてしまっているような現実に、怒りすら覚えます。

 子どもたちとともに過ごしている毎日の中で、たえず子どもたちが安全に過ごせるように配慮することを、みんな忘れてしまっているようです。自分の身を守ることがまだできない幼い子どもたちが、安心して暮らせる社会をきちんと作ることは、私たち大人の責任です。

 そして、子どもたちの安全に心配りできる社会ができたら、高齢者にとっても、あるいは私たち大人たちもきっと住みやすい社会になっているはずです。そんな世の中は・・夢物語なのでしょうか。




■【子どもの救急(20)】耳のトラブル


 子どもたちは耳についても急なトラブルをおこしがち。一番多い訴えは耳の痛みでしょう。指を耳の穴に入れるようにして痛がり、時には泣くほどの強い痛みもあります。

 その多くは中耳炎です。喉の奥と中耳という場所は細い管(耳管)でつながっていますが、風邪をひいていたり、強く鼻をかんだりすると、喉の雑菌が中耳に入り込むことがあります。中耳は小さなスペースしかないので、そこに炎症がおきると強い痛みになります。

 耳の痛みが強いときには、とりあえずは痛み止めの薬を使用してみて下さい。熱冷ましとしてもらっている頓服や坐薬を、痛み止めとして使ってかまいません。これは臨時の対処ですので、翌日小児科か耳鼻科で診察を受けて下さい。

 耳の痛みでは外耳炎ということもあります。外耳は耳垢のたまるところですが、耳の掃除をするときに傷つけていたり、子どもが自分で棒状のものを突っ込んで出血したりしていることもあります。痛みの対処は同じです。

 耳の下を痛がるときは、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)かもしれません。痛みや熱と同時に、耳下腺が腫れてきます。あごの骨の耳に近いところを触ってみると、耳下腺が腫れているかどうかが分かります。痛みが強いときには、やはり痛み止めを使ってみて下さい。また、唾液がしぼられるような食事(酸っぱい物、固い物など)は痛みが強くなるので避けて下さい。(おたふくはワクチンで予防できます。)

 耳のトラブルには、ほかに異物が入った、聞こえが悪くなった(難聴)、めまいがするなど、いろいろあります。その程度が強いようでしたら、早急に耳鼻科専門医の診療を受ける必要があります。

 小児科も耳のトラブルもある程度は診ています。また風邪などに伴うことも多いので、まずは小児科へということも多いでしょう。その中でも問題が大きな時には、耳鼻科の先生に紹介しています。



■【院内迅速検査(6)】血液生化学(1)


 血液中にはいろんな酵素があります。それぞれは特定の臓器から出てきていることが多く、臓器の障害があると多くなったり、逆に少なくなったりします。こういったことを利用して、臓器の“健康度”をチェックすることができるのです。

 例えばGOT、GPTなどは肝臓の細胞内に多量にあります。肝障害をおこすと血液中にそれらが流れ出てしまい、高い数字になります(肝臓のほか心筋細胞にも多くありますので、これだけで単純に診断はできないのですが)。

 アミラーゼは唾液腺から分泌されますので、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)でも高値になります(膵臓の障害でも異常高値になります)。

 院内ですぐに検査できるようになってきたため、診断にとても役立っています。

 ■検査値の参考基準値
 ・GOT 〜39 IU/l
 ・GPO 〜47 IU/l
 ・アミラーゼ 21〜80 IU/l



■「冷水器を」とのご意見にお答えします


 薬を服用するための飲料水を用意してほしいということですが・・。子どもは外来受診後ただちに薬を服用するケースはさほどないように思っています。自宅に帰って、落ち着いてから、そして食事をしてから服用することが多いでしょう。待合室で内服するとしたら、水道水を使っていただくようにしてもらっています。水道水がもっとも衛生上良好ですし、飲用のためのコップはいつも清潔になるように注意をしています。

 冷水器は衛生上多くの問題があり、最近は公共施設などでもほとんど見かけなくなっています。また、ポットなどに冷たい水を作って置いておくのも一つの方法でしょうが、それを職員が十分に管理していないと、異物混入などによる事故・事件を引き起こすこともあるかもしれません。管理上の困難さからも、ポットなどに作りおきしておくことはしていません。

 調乳用のお湯についても同様に、患者さんからの求めがある時だけ職員用に作ってあるお湯をさしあげるようにしています。「ご自由にお使い下さい」というような形で提供することは、その管理が十分になされない可能性があります。一般の方の手の届かないところにおいておくことと、どの職員からもらったかが分かることで、一定の事故・事件の予防ができるのではないかと考えています。残念なことですが、私たちの社会には「悪意を持った人」はいるものですから。

 以上のように考えて対応しております。もしまたご意見やご要望がありましたら、またお伝え下さい。



■【HP院長ブログより】読売新聞から取材

 今日は読売新聞の記者の方が取材に来られました。テーマは「病児保育」。当院に併設されているわたぼうし病児保育室が先月で5周年を迎えたこともあり、これまでの取り組みや今後のことについて記事にしたいということでした。

 取材に来られたのは上越に先月赴任されてきたまだ若い男の方。奥さんとお子さんは東京においての単身赴任なのだそうです。共働きをしながら子育てをされているとのことで、開口一番「病児保育はほんとうに必要なんですよね!」とおっしゃられました。いつもの取材では、まず先に病児保育の意味やその意義・必要性についての説明をすることが多いのに、今日はそんな“前口上”は一切不要。いきなり本題に切り込んで来られました。こんな取材はとても嬉しいですね。ついつい私の思いを熱く語ってしまいました。

 わたぼうし病児保育室の利用者の方で、こんな例もありました。ご夫婦とも大学の教員の方が就職先を決める際に、インターネットを使って全国の病児保育をしている小児科を探しだし、その中で子育て環境もしっかりしているということで、上越市に決められました。かわいい双子のお子さんを育てながら、市内の大学にお勤めになられました。今春、他の大学への就任が決まり、上越をあとにされましたが、わたぼうし病児保育室があったから二人で仕事をすることができたと、とても感謝されていました。

 そんな実例も記者の方にお話をしました。ご自身もいろいろと体験されているとのことで、病児保育の必要性をさらに実感してもらうことができたようです。

 回復期の「病後児」保育は各地で行われるようになってきていますが、それ以上に急性期の「病児」保育の方が重要であり、その必要性が高いことについても、記者の方と共通に認識になりました。わたぼうし病児保育室の例でも6割は急性期の病児ですし、親御さんが対応に困るのも、この急性期です。数日して回復期になっていれば、親御さんも休みをとれたり、遠くの祖父母に来てもらうなどの対応もとることができるようになり、病(後)児保育の必要性は必ずしも高くはありません。

 しかし、問題は急性期の病児保育を完璧に行う方法です。その日にならなければ利用するお子さんが決まりません。「定数」に縛られたら、お断りしなくてはいけないこともおきてしまいます。私たちは「絶対に断らない」と大きなポリシーにしています。利用希望児が多ければ、医院のスタッフを投入して対応する用意をいつもしています(昨年、1日あたり18人の利用児のいた日もありましたが、無事乗り切るとができました)。保育園で発熱したなどのお子さんも、途中入室はいつでもOKです。これまでの5年間で、一人もお断りすることなく預かったことは、私たちの誇りでもあります。

 利用者は毎年増え続け、今から2年前に専用の園舎を新築するにいたるほどであることもお話ししました。全国の統計を見ていても、わたぼうし病児保育室の利用数(昨年度はのべ1,350名、一日あたり5.6名)は全国のトップレベルになっています。特別に上越市が病児保育の必要性が高いことはないはずです(おそらく都市部の方がもっと切実な問題になっているでしょう)。それなのにとても多くの方に利用していただいているのは、やはりきちんとした病児保育の体制を作り、信頼されるようになってきたからなのだと思っています。

 記者の方が、こういった取り組みが全国で「面」として広がってくるといいのに、とおっしゃっていました。本当にそう思います。当院がいくら頑張っても、日本全体から見れば、小さな「点」にすぎません。「わたぼうし病児保育室」と名付けたように、ここでの試みが日本中にどんどん広がり、あちこちで花を開かれていくことを、これからも期待していきます。そんな思いを持っておられる小児科医などがおられるようでしたら、どんどん応援していこうと思ってもいます。

 記者の方は夕方にもう一度来られて、利用されている親御さん方から直接お話をお聞きになっていました。きっとしっかりとした内容の記事になるのではないかと思います。掲載された時にはご紹介しますので、どうぞお楽しみに。

※この取材は8月22日付け紙面に記事として掲載されました(新潟県版)。ネット上では次のアドレスでご覧になれます。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/niigata/kikaku/061/49.htm

  《HP「院長ブログ」より》



■お知らせ


《インフルエンザ予防接種の予約》

 今年もインフルエンザ予防接種を10月20日より行います。インフルエンザを予防するために多くの方に受けていただきますようお願いします。

 予約は専用電話でお受けいたします(0120-447709)。9月5日午後1時に受付を開始いたします。どうぞご予約下さい。

《工事》

 医院建物の修繕工事が無事終わりました。玄関口、外壁、屋根など、まるで新築したようにすっかりきれいになりました。工事中はご迷惑をおかけしましたが、ご協力いただき、ありがとうございました。



■感染症情報


 夏休み中もおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の流行が続いていました。若干下火に向かっている印象ですが、2学期以降はまた勢いがます可能性もあります。感染症は子どもたちの集団の中で増幅される傾向があるからです。引き続き注意をしていて下さい。

 まだおたふくかぜにかかっていない方にはワクチン接種がお勧めです(子どもも大人も)。欧米では全ての子どもたちが受けているワクチンです。日本ではまだ任意接種で、受ける方が少ないのが残念です。

 真夏でも「夏かぜ」の発生はさほど多くありませんでした。ヘルパンギーナ、手足口病、プール熱(咽頭結膜熱)などもこれからの季節は終息に向かうでしょう。水ぼうそう(水痘)、ウイルス性胃腸炎、りんご病(伝染性紅斑)などは少しずつ発生していました。

 マイコプラズマ感染症はまだ時々見かけます。気管支炎や肺炎といった呼吸器感染症をおこし、強い咳が長びきます。

 麻疹、風疹の患者発生はありませんでした。

 猛暑が続いたためあせも(汗疹)、とびひ(伝染性膿痂疹)といった皮膚のトラブルを多数見かけました。涼しい季節になれば落ち着くことでしょう。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

目次の
ページへ

このホームページ
のトップへ