2006年12月号(192号)   


2006年も残すところあと1か月になりました。
慌ただしく過ごしてきた1年ですが、その締めくくりの月はもっと忙しくなりそうですね。

これから冬に向かいます。体調に気をつけてお過ごし下さい。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 今月の話題
  ●子どもたちへ。絶対に死んではいけないよ!
  ●【子どもの救急(23)】胃腸炎に注意を!
  ●【院内迅速検査(9)】ロタウイルス検査
  ●世界の子どもにワクチンを
  ●【HP院長ブログより】狂犬病の予防接種
  ●お知らせ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

■子どもたちへ。絶対に死んではいけないよ!

子どもたちの間で「いじめ」を苦にした自殺が目立って多くなり、社会問題になっています。
今から十年ほど前にも、同じような問題がおきていたことを覚えていますか?
1994年から95年にかけてです。
今回と同じく、いじめによる子どもたちの自殺が全国で多発しました。

その時にも思ったものです。
そんなに悩まなくていいよ、誰かに話をすれば気持ちが楽になるよ、真っ正面から向かって行かなくてもいいよ、やり過ごすことも大切だよ、と。

当院が5周年にあたり、イメージソングを作ろうという話が出たとき、この思いを書くことにしました。
疲れたらゆっくり休もうよ、もう十分に頑張ったんだから、と。
プロに作曲をお願いしてできたのが『またあした元気になれるから』でした(CDは当院においてあります)。

折しも私の中学時代の同級生が、お子さんを同じ理由で亡くしました。
あとで分かったことですが、数か月前に「疲れた」という訴えで当院を受診されていました。
何もしてあげられなかったことを、今でも申し訳なく思っています。

子どもたちには絶対に死んではいけないよ!と繰り返し伝えていきたい。
そして、子どもたちの声に率直に耳を傾けられるような家庭や社会であってほしいと願っています。


■【子どもの救急(23)】 胃腸炎に注意を!

今年はウイルス性胃腸炎の流行が早く始まりました。
すでに具合を悪くして点滴を受けている子どもたちが毎日多く出ています。

これをおこすのはノロウイルスやロタウイルスなど。
とくにノロウイルスは園や学校、家庭、病院、老人ホームなどでの集団感染をおこすことがあり、注意が必要です。

症状は、急に吐いたり(胃炎の症状)、下痢をしたり(腸炎の症状)します。
この時、腹痛や発熱を伴うこともよくあります。

ウイルス性胃腸炎では胃の働きが極端に弱くなっているので、何時間も前に食べた物が消化されずに出てきます。
また吐いた後も楽にはならず、繰り返し吐くことが多いのも特徴です。 

対処としては、その場はまず体とお腹を休ませることです。
すぐに飲んだり食べたりするとそれらを受け付けませんので、数時間は与えないようにしてみて下さい。
とくに顔色が青白いようなら吐き気が強いと考えられます。

夜であれば朝までできるだけ寝かしつけてみて下さい。
眠っている間は胃の安静にもなり、結果として早く良くなってくれるでしょう。
脱水が心配ですが、半日くらいまでは水分をとらなくてもまだ大丈夫でしょう。
しかし、それ以上待つわけにはいきません。吐き続けてぐったりしている時には小児科を受診して下さい。
必要な場合には点滴治療をすぐにすることになります。

腸もいっしょに悪くなると下痢になります。
吐き気が治まっているようなら、水分とお粥のような消化の良い物を少しずつ与えてみて下さい。
牛乳や粉ミルクなどの乳製品は消化しにくく、下痢をさらに悪化させることもあるので、最初は与えないで下さい。

吐いた物や下痢便の中には大量のウイルスが入っていますので、それらの始末はビニールに包むなど、きちんとして下さい。
また周りの方は手洗いなども丁寧にして、うつらないよう予防して下さい。


■【院内迅速検査(9)】ロタウイルス検査

ウイルス性胃腸炎をおこすウイルスの中でロタウイルスは幼弱な乳児に感染しやすく、脱水などの症状が強くなりやすい性質をもっています。
以前から赤ちゃんがかかりやすいので「冬期乳児下痢症」とか、白い下痢便になることが多いために「白色便下痢症」とも呼ばれていました。

このロタウイルスは、下痢便の中に大量に排出されるので、便を使ってその場で診断できる検査キットが発売されています。
保育園や小児科の病棟など、小さな子どもが大勢いるところで集団感染をおこしてはいけないので、
嘔吐や下痢をしていてお子さんの便を検査し、ロタウイルスだと分かれば、隔離などの処置を早めにとることもできます。

一方でノロウイルスなど他のウイルスでも同様な症状がでてきますし、対処の方法も同じです。
特効薬のような薬もないため、必ず検査をしてウイルスの種類をはっきりさせなくてはいけないということではありません。
実際にはこの検査をせず、病状をみながら診療することが普通です。


■世界の子どもにワクチンを

ソフトバンクの和田毅投手が、社会貢献活動をしたプロ野球人を表彰する「ゴールデンスピリット賞」を受賞されました。
和田投手は「世界の子どもにワクチンを日本委員会(JCV)」の活動に賛同し、昨年から協力している方です。
彼の「ルール」があり、試合で1球投げるごとに10本(勝ち試合は20本)のワクチンを送るというのがそのルール。
昨年は4万5770本を寄贈し、今年も5万4810本の寄贈を予定しているとのことです。

プロの野球選手といえば、子どもたちのあこがれの的。夢や希望を与える仕事です。
そんな人たちが、社会のために役立つことを率先して行うことで、子どもたちにも社会貢献へ目を向けるチャンスになります。
和田投手は、自分たちにできることを、できる範囲で、みんなが協力してやっていこうという気持ちを、私たちに持たせてくれているのだと思います。

当院もこの「世界の子どもにワクチンを」に1995年から協力しています。
医院に設置した募金箱や、イベントなどを通じて患者さんや地域の方から多くの善意をいただいています。
それに加えて、「塚田こども医院のルール」があります。当院で予防接種を受けられると1回につき100円を募金しています。
その累計は、先月末で400万円を超えました。

ポリオのワクチンは1人分が約20円だそうです。
単純計算ではポリオワクチン20万人分に相当します。
長い時間をかけることで、きっと多くの子どもたちを救うことができてきたのではないかと思います。

これからも引き続き協力いたします。皆さんのご協力もお願いします。


■【HP院長ブログより】狂犬病の予防接種

このところ、当院でも狂犬病の予防注射をときどきしています。
もちろん獣医院ではありませんので、犬に対しておこなっているわけではありません
。接種を希望される方に注射をしています。

当院で初めて狂犬病予防接種をしたのは今から10年ほど前になります。
中近東の国へ派遣される教師のご一家だったと思います。
破傷風などのワクチンといっしょに狂犬病についても予防接種をしておきたいと言われた時には、私もえ!?っと驚きました。
それって、犬にするのでは、と。

メーカーに問い合わせて、人のためのワクチンが用意されていることを知りました。
日本では犬に対して狂犬病の予防接種を徹底したために、国内での発生はまずありません。
そのために、私たちは安全に暮らせるようになっていますが、海外では、そうではない国がまだ多いことも知りました。

狂犬病の発生国を赤く塗った世界地図を見ると、発生数の多い国が、実は世界の大半だという怖い事実がよく分かります。
日本は狂犬病についても実に“平和”な国なんですね。
でも“戦場”のような国が多いことを、忘れてはいけないようです。

昨年、子犬の輸入が厳しく制限されました。
狂犬病がまだ多く発生してる国からは、生後半年までの子犬は輸入させないという処置です。
これくらいにならないと、その犬が狂犬病になっていないかどうか、検疫をすることが難しいということが、その理由だそうです。

そして、その対象国に中国やアメリカが入っていたのにもビックリしました。
東南アジアや中近東の国々だけだと思っていましたが、こういった国も、狂犬病についてはまだ“発展途上国”なんですね。

ここ数週間で、日本でも狂犬病で亡くなる方が数人でています。
それらの方は、みな海外で犬に噛まれ、帰国したあと発症しています。狂犬病は伝染する病気ではありません。
日本の国内での事故ではないことが、私たちにはまだ救いです。

世界ではまだまだ発生数が多い感染症です。
インドでは年間に数万人の死亡があるのだとか。
当面は海外に出かけるときには、ぜひ狂犬病の予防注射を受けていくことをお奨めします。
そして、放し飼いになっている犬も多いようですので、犬に近づかないように気をつけていてください。

もしかしたら、いずれ日本の中にいても危険になるかもしれません。
ペットとして飼われている犬の何分の一かは狂犬病の予防接種を受けていないのだそうです。
野犬化している犬も、少なくありません。
海外から不正に輸入されている犬もいるようです。
もしも日本でまた狂犬病のウイルスをもった犬が増えていったら・・その時には人間がワクチン接種を受ける必要があるかもしれません。
そんな時がこないことを願っていますが。

  《HP11月27日「院長ブログ」より》


■お知らせ

☆「世界の子どもにワクチンを-日本委員会」フォーラムin東京(7日夜)
  院長が「ワクチン対談」に出席し、細川佳代子代表、歌手の早見優さんと対談します。
 (午前は通常通り診療、午後は休診です)
 ・フォーラムについては委員会のHPをご覧下さい→ http://www.jcv-jp.org/

☆年末年始の休診:12月30日(土)〜1月3日(水)
 この間お休みさせていただきます。御了承下さい。


■感染症情報

先月(11月)はウイルス性胃腸炎の発生数が例年以上に多くなりました。
とくにノロウイルスが主と考えられています。
このウイルスに汚染されたカキなどの二枚貝を通して感染することがありますので、十分に加熱するなど、食品の衛生に注意をして下さい。
また患者の吐物や下痢便を通じて周囲へ流行していきます。
手洗い、うがいなど、日常の注意も必要です。脱水になることがあるため、嘔吐が強い場合には早めに医療機関を受診して下さい。

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の流行は下火になりました。

溶連菌感染症が次第に増加しています。
のどの強い痛みと熱が特徴。抗生物質による治療を的確に行う必要があります。
水ぼうそう(水痘)も一部の保育園などで発生しています。
いずれも寒い季節に多発する傾向がありますので、注意をお願いします。

麻疹、風疹の患者発生はありませんでした。

現在インフルエンザ予防接種を行っています。
冬には必ず流行する感染症ですので、年内には必ず予防接種をすませておいて下さい。

狂犬病の発生が日本でも問題になっています。
中国や東南アジアなど、狂犬病のウイルスを保有している犬がたくさんいるようです。
海外に出かける際には、あらかじめ予防接種を受けておくことをおすすめします。
(当院でも任意接種として実施しています。)


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

目次の
ページへ

このホームページ
のトップへ