2007年2月号(194号)   

 雪国というのに雪のない1月でした。
 こんな年はかつてなかったこと。
 快適ではあるのですが、これで地球は本当に大丈夫だろうかと、気をもんでいます。



−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 今月の話題
  ●事件の背景は・・
  ●【子どもの救急(25)】新型インフルエンザ
  ●【院内迅速検査(11)】マイコプラズマの検査
  ●本当の少子化対策とは
  ●お知らせ
  ●感染症情報

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


■事件の背景は・・

 年末に、夫や妹という一番大切な家族を殺し、そしてバラバラにしてしまうという凄惨な事件が続きました。吐き気を催すような、想像すらつかない事件です。私たちの身の回りでも、こういった猟奇的殺人事件がおきていることをどう考えればいいのでしょう。

 殺し方などが突出しているから大きく報道され、目立っているだけなのでしょうか。それとも、私たちの心の中にもこのような事件を起こしうる「種」が潜んでいるというのでしょうか。

 こういった事件がおきると気になるのは、殺人の方法などが事細かに報道されることです。取り調べをしているわけではないのだから、それほど具体的な事実を伝える必要はないはずです。マネをする者が出てきて危険だということもあります。

 大切なのは、どうしてこのようなことが起きたのか、それを防ぐにはどうすればいいかをきちんと調べ、議論し、社会に提言していくことだと思います。視聴者の関心があるから伝えるだけでは、マスコミの主体性がありません。ただ騒いでいるだけならパパラッチと変わりないのでは。

 真実を伝えることがマスコミの使命ですが、何が真実か、それを見極める力は私たちにも必要とされているようです。



■【子どもの救急(25)】 新型インフルエンザ

 今冬はインフルエンザの流行が遅れていて、もしかしたら大きな流行にならずにすむかもしれません。一方では、国内でも西日本を中心に鳥インフルエンザが発生し、鶏の処分をするなど、心配な出来事もおきています。

 インフルエンザウイルスは大きくA型とB型に分かれます。B型は1種類だけですが、A型は形を変えやすく、数十年に1度「新種」ができます。現在はA香港型(H3)とAソ連型(H1)が毎年流行を繰り返していますが、さらに新型が加わる可能性もあります。

 中国から東南アジアで発生している「鳥インフルエンザ(H5)」は、今のところは鳥から鳥への感染が主ですが、ウイルスの性質が変わって、もし人に感染し、さらに人から人に伝染させるようになると、世界的な規模で大流行する懸念があります。これが「パンデミック」と呼ばれている状態です。

 この新型インフルエンザに対しては、誰一人として免疫を持っていないので、もし流行が始まれば、たちまち世界中の人たちが感染してしまうおそれがあります。日本では4人に1人、つまり3千万人近くが新型インフルエンザにかかることも予想されています。発生したばかりのインフルエンザは当初は強毒性であるため、多数の死者や重症者が出て、社会全体が大混乱に陥ることも懸念されます。

 日本でもようやく対策の指針案が作られました。現在製造中の新型インフルエンザ用ワクチンを、まずは医者などの医療従事者や、警官、消防署員などの社会機能を維持するために必要な人たちに接種します。また、抗インフルエンザ薬であるタミフルを患者と家族などに集中的に使用して、インフルエンザの伝染を極力抑えることになっています。

 今の状況を見ると、新型インフルエンザの発生も時間の問題かもしれません。心配な状況がしばらく続きそうです。国や行政からの情報にも十分注意をしていて下さい。



■【院内迅速検査(11)】マイコプラズマの検査

 マイコプラズマは細菌の一種で、呼吸器の粘膜の炎症をおこす性質があります。気管支炎や肺炎になってしまいますし、咳がとても強くて、長びくのも特徴です。

 以前は4年に一度流行することが多く、「オリンピック肺炎」と呼ばれていたこともありました。近年はそのような周期がなくなり、いつもどこかで流行してることが多くなりました。

 マイコプラズマに対しては効果のある抗生物質が限られているので、早く診断し、治療することが大切です。症状だけからではなかなか区別がつきづらく、診断に苦慮することがよくありました。

 近年はこのマイコプラズマに対する抗体を調べる迅速検査ができたために、とても役に立っています。抗体とは、体がその病原体と闘ったことでできる免疫のたんぱく質です。

 このマイコプラズマ抗体の迅速検査は、その中でも急性期にできる抗体(IgM)を検出するので、一番症状の重いときに役立つ検査です。



■本当の少子化対策とは

 日本の少子化傾向が止まりません。合計特殊出生率は過去最低の1.25になりました(2005年)。

 ほかの先進国ではそれほどではなく、例えばフランスは2.005とベビー・ブームなのだとか。こういった国では、女性が職業を持ちながら出産や育児にもしっかり取り組めるための対策がきちんととられているようです。

 日本も少子化問題への対策をとってきました。でも、どこか不十分。何より、女性にとって仕事を続けることについてはまだまだ考え方は古いと言わざるをえません。「女性は家の中に」「結婚したら退職」。こういった性別による差別は根深いものがあります。

 政府は新たに「少子化対策戦略会議」を設置するそうです。「地域や家族の再生」などの言葉を見かけると、女性は早く結婚し、仕事をせずに子作りと子育てに励め、などという意見が出てきそうです。

 おりしも子育て支援や労働環境の担当である柳沢厚生労働大臣が、「女性は子どもを産む機械」と言ってのけてしまいました。根本的なものの考え方が、とくに女性に対して封建的であり、差別的なんですね。しかし、彼だけが特別なのではなく、おそらくこれが大方の為政者の考え方を代表しているのでしょう。

 そんな意味では日本は目先のことしか考えられない、情けない国です。本当の意味での「男女同権」「子育て支援」「少子化対策」は、実現までまだまだ茨の道が続くことでしょう。



■お知らせ

☆保育園・幼稚園の年長さんで「麻疹・風疹混合ワクチン」(2期)をまだ受けていない方は、3月末までに必ず受けて下さい。

☆今月18日に院長の講演会があります(健康セミナー)。お近くの方は、どうぞいらっしゃって下さい(詳しくは医院までどうぞ)。
 ・「子どもたちに健康と幸せを」 18日(日)上越国民年金健康センターにて
 (「チャコの家」の仲間たち主催)


■感染症情報


 例年であればインフルエンザの流行が1月下旬には始まるのですが、今のところはまだ散発的な発生のみです。これまでも2月後半になって大流行した年もありますので、引き続き注意はしていて下さい。

 11〜12月に大流行していたウイルス性胃腸炎は、年末年始のお休みが入ったあとは、その勢いがずいぶんと衰えました。例年よりも早く流行が始まり、ピークも早かったようです。数は少なくなっても、春先までは発生が続くと予想されますので、注意は必要です。

 水ぼうそう(水痘)は発生数が大幅に増加しました。とても伝染力が強いので、園で一人でも発生すると次々にかかっていきます。園などでの発生の様子をお聞きになってみて下さい。

 水ぼうそうはあらかじめワクチンを接種しておくとかからないか、かかっても軽くすませることができます。任意接種ですが、受けておかれるようお勧めしています。
溶連菌感染症も増加しました。のどの痛みが強く、熱や発疹を伴います。抗生物質をきちんと使っての治療が必要です。

 昨年春から流行の続いていたおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の流行はほぼ治まったようです。
マイコプラズマという菌による気管支炎・肺炎が、まだそうとう目立ちます。昨年からの流行がまだ続いています。(2面参照)

 麻疹、風疹の患者発生はありませんでした。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

目次の
ページへ

このホームページ
のトップへ