2007年3月号(195号)   

 今年は記録的な暖冬少雪。こんなことがあっていいのか、と思うような気候でした。

 世界的な異常気象と、何か関連はあるのでしょうか。春の田植えはできるでしょうか。夏に渇水になることはないでしょうか。

 雪がなく嬉しい北国の冬でしたが、不安はつのります。


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 今月の話題
  ●新学年の準備を
  ●【子どもの救急(26)】春の花粉症対策
  ●【院内迅速検査(12)】各種ウイルス検査
  ●アンフェアは誰?
  ●お知らせ
  ●感染症情報

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■新学年の準備を

 今月は学年の終わりの月。お子さんたちはそれぞれの最終ステージを、さぞ立派に飾られていることでしょう。4月から新しく保育園、幼稚園、あるいは小学校などに入られるお子さんも多いでしょう。その準備も忙しくなってきます。

 これまでと違う環境に身を置くことは、いろんな意味でストレスになります。心理的にも肉体的にもそうです。新しい生活に慣れるようになるためには、ふだんから子どもとの接し方を密にし、家庭を安心してゆったりと過ごせるようにしておくことが大切です。

 初めて入園する子どもたちは、病気になることもしばしばです。麻疹、風疹、水ぼうそう、おたふくかぜなどは、あらかじめワクチン接種を受けておけば予防することができます。市町村で行っている予防接種はすべて終わっていますか? 水ぼうそうとおたふくかぜは任意接種ですが、ぜひ受けておかれるようお勧めします。

 共働きなどのご家庭では、お子さんが病気になった時の対応も考えておいて下さい。お仕事が休めず、近くに看病をお願いできる方がいないような時には「病児保育」を使う方法もあります。当院には、急病のお子さんもお預かりできるわたぼうし病児保育室が併設されています。いざという時の強い味方になることでしょう。



■【子どもの救急(26)】 春の花粉症対策

 春の花粉症は、スギ花粉が主な原因。例年は3月に始まるのですが、今年は暖冬少雪のため、すでに2月下旬から始まっています。

 暖かい日には大量のスギ花粉が飛散してきます。十分に気をつけていて下さい。

 症状は主に目と鼻のアレルギー。目の症状(アレルギー性結膜炎)はかゆみ、充血、涙、目がゴロゴロする、など。鼻の症状(アレルギー性鼻炎)はくしゃみ、鼻水、鼻づまりです。たいがい、これらは同時におきます。

 花粉症は以前は大人の病気とされていましたが、しだいに低年齢化し、今では幼児や学童でも珍しくありません。

 花粉の多く飛ぶのは南風の吹くような気温の高い日の午前からお昼ごろ。そんな時にはあまり外出をしない、お布団干しもあきらめる。外から帰ってきた他の家族の人には、玄関の外で髪や衣服を払ってもらったり、すぐにお風呂に入ってもらって家の中に持ち込まない。もちろん、本人はマスクや眼鏡をつけての外出になります。

 十分な休養やバランスのとれた食事も大切です。お酒やタバコは症状を悪くします。

 症状がひどい時は、薬を使いましょう。目薬や点鼻薬の他に、飲み薬もあります。眠気の強くなる内服が多いので、注意して服用して下さい。また花粉症のひどい方は、症状がでる前から早めに飲み薬を始めておいたほうが良いようです。

 ところで、スギ花粉症が注目されだしたのは、昭和30年代から。戦後の植林政策で杉が増えたのが一つの原因といわれています。しかし、患者さんは都会に多いので、生活環境の悪さも関係しているようです。

 東京都内では「ディーゼル車規制」が行われています。こういった環境対策が効果をあげると、大気汚染が解消され、喘息や肺ガンなどの発生が少なくなるでしょう。そして、国民病とも呼ばれている花粉症もきっと少なくなるはずです。



■【院内迅速検査(12)】各種ウイルス検査

 子どもたちは様々な感染症にかかりやすいもの。その中でも、ウイルス感染はとても種類が多く、軽いものから重いものまで多種多様です。

 子どもの感染症を診断するのは、多くは症状や経過、周囲での流行の様子から推測が可能です。しかし、一部にはなかなか診断が付かないために各種の検査を必要とすることもあります。中でも外来ですぐ検査でき、その場でその結果を知ることのできる迅速検査がいくつかあります。

 インフルエンザやロタウイルスの検査については以前にお話をしました。それ以外にも・・
・RSウイルス(乳児の急性細気管支炎をおこす)
・アデノウイルス(プール熱、流行性角結膜炎、重い扁桃炎などをおこす)
などのウイルス検査があります。今後もさらに増えていくことでしょう。

 しかし、残念ながら治療薬のないことがウイルス感染症では一般的なので、治療に結びつかないこともあります。



■アンフェアは誰?

  「自殺は卑怯」とする教員の投書がありました(「朝日新聞」2月12日「声」欄)が、本当にそうなのでしょうか。

 「卑怯者」というレッテルを貼ることは、そのご家族にさらなる苦痛を与えるだけで、本質的な解決にはなりません。
 生きていく中で生じるトラブルの最終的解決として「死」を選んでしまうのは、自分に対して自信がもてないからかもしれません。自尊心をしっかりと持つことが、前向きに生きていこうとする力を生みます。

 「自殺したら卑怯者と呼ばれる」と思わせることは、自殺を根本的には予防しません。すり減ってしまった生きていく力を、かえってゼロにしかねません。

 とくに「いじめによる自殺」は深刻です。いじめの特徴は多人数対一人で行われます。いじめをする者たち、つまり集団で一人の子どもに精神的・肉体的暴力を加える者たちこそ「卑怯者」です。

 さらに、いじめに直接は加わらないが、その事実を知りながら「静観」している子どもたちも大勢います。善悪の判断を停止させ、「見て見ぬ振り」をする者もまた「卑怯者」です。

 子どもたちには「自殺は卑怯だ」と言うのではなく、「いじめることや、それをやめさせないことがアンフェアなのだ」と教えてほしいのです。

※「朝日新聞」に投稿したのですが、採用されず、掲載されることのなかった“幻の投書”です。でも内容はとても大切だと思いますので、「こども通信」に掲載いたしました。




■お知らせ

☆年長さんでまだ麻疹・風疹混合ワクチン(第2期)を受けていない方は、3月末までに必ず受けて下さい(無料)。

☆わたぼうし病児保育室の登録更新を始めます。新学年もご利用されたい方は手続きをして下さい(会費は無料になりました)。



■感染症情報


 インフルエンザが2月上旬に流行期に入り、下旬には“猛威”と呼べるほどの大流行になりました。例年より遅れの流行の始まりでしたが、流行の規模は例年と同じくらいにまでなっています。 インフルエンザは急に高熱になり、寒気(さむけ)、だるさ、関節痛、筋肉痛などの全身症状を伴います。普通の大人でもつらい病気で、乳幼児やお年寄りにとってはとても体力を消耗し、持病などが悪化することもあります。

 インフルエンザは園や学校といった子どもたちの集団の中で流行し、その後家庭や地域に広がっていきます。帰宅時のうがい、手洗いなどを励行し、感染の予防に努めていて下さい。タミフル、リレンザといった治療薬がありますので、早めに受診されるようにして下さい。

 ウイルス性胃腸炎は減少傾向。例年春先まで続きますので、もう少し用心を。

 水ぼうそう(水痘)は増加傾向。予防接種で軽くすませることができます(任意接種)。

 おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)、溶連菌感染症は少しずつの発生。マイコプラズマという菌による気管支炎・肺炎が多く発生してます。咳がとても強くなり、抗生物質を適切に使う必要がある感染症です。

 麻疹、風疹の発生はありませんでした。

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