2007年5月号(197号)   

 満開の桜の中で新学年がスタート。そこからはや1か月が経とうとしています

 GWの大型連休が終わると、園や学校の生活はようやく落ち着きを取り戻すことでしょう。

 子どもたちには勉強、遊び、友だち作りなど、いろんなことにじっくりと取り組んでほしいですね。


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 今月の話題
  ●子育て支援のために
  ●【子どもの救急】麻疹・日本脳炎に注意を!
  ●【院内迅速検査】ウンチの異常
  ●上杉謙信と「第一義」
  ●お知らせ
  ●感染症情報
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■子育て支援のために

 今月から上越市に「夜間診療所」がオープンします。平日夜7時半〜10時まで。内科・小児科が対象です。

 医師会の医師が交代で勤務します。私もその一人で、月に1回程度の出番をこなします。

 「小児救急」の体制はここ数年社会問題になっていました。夜間や休日などでも、子どもが急病になったときには、いつでも診てもらえるような体制があったほうがいい。安心して子育てできる環境作りにもつながっていきます。

 24時間いつでもどこでも・・という体制ができればいいのですが、小児科専門医はそれほど多くはいません。完全にカバーすることはできませんが、内科の先生方の協力も求めながら、できる時間帯から始めようということになりました。

 また、時間外の診療を一手に引き受けていただいている病院勤務医の負担軽減という意味合いもあります。

 時間外診療所ができることで、この地域の子育て支援がさらに充実していくことでしょう。お子さんの急病など、必要な時にはどうぞご利用下さい。

■【子どもの救急(28)】 麻疹・日本脳炎に注意を!

 今日本の各地で麻疹(はしか)が流行しています。関東に多く、大人の患者も多数出ているようです。

 しかしこの傾向は今に始まったことではありません。日本では年間に数万人の麻疹患者が発生し、数十人が死亡している実態があります。発展途上国ではまだ麻疹の流行がありますが、先進国で麻疹の流行が残っているのは、日本を除けば皆無です。

 これは日本で予防接種が徹底されていないため。昨年度から一歳と小学校入学の前年の2回ワクチンを接種することになりましたが、それまでは1回だったため、十分な免疫を持たないままでいる子どもや大人が大勢います。(その1回すら受けていない人もいます。)

 麻疹は昔は「子どもの命試し」と言われたほどの大病。症状がとても重く、ときに命に関わることもあります。また伝染力が強く、周囲へ次々と感染させていきます。

 予防はワクチン接種にまさるものはありません。1歳と年長児になったらすぐに受けて下さい。それ以上の子どもや大人でも、ワクチンを受けていないか、1回しか受けていない場合にはぜひ受けるようにして下さい(任意接種)。麻疹に対する免疫の有無は、血液検査で知ることもできます(自費診療)。

 日本脳炎の発生も心配されています。一昨年、ワクチンの副作用の問題から市町村では積極的に予防接種を勧めないことになりました。

 しかし日本でも北海道を除く全ての地域で日本脳炎ウイルスの存在が確認されています。昨年には3歳児が日本脳炎に罹患しています。

 このまま予防接種を受けないでいることは、子どもたちを日本脳炎に対して「無防備」に放置していることになります。

 新しいワクチンがまだできていないため、当院では従来のワクチンを使って予防接種を行っています。ご希望の方はお申し出下さい(法に基づく接種で、無料です)。



■【院内迅速検査(14)】ウンチの異常

 ウンチは消化された最後のもの。ウンチを見ることで胃腸の状態を知ることができます。

 固すぎるウンチは食物繊維が足りないなどの食事内容か、排便習慣に問題があるかもしれません。

 軟らかくなり、回数が多くなるのが「下痢」。消化吸収の働きが弱っている状態です。程度によって「軟便」「不消化便」「顆粒便」「泥状便」「水様便」などと分けられ、対処の仕方も変わってきます。

 ウンチの色が白いのは、前号で取り上げた「胆道閉鎖症」のほかに、ロタウイルスなどによる感染性胃腸炎でもよく見られます。

 下痢の程度が強くなると、粘液が混じることも多く、ときに血液を混じることもあります。血便の程度が強い場合には細菌性腸炎(病原性大腸菌、サルモネラ菌、カンピロバクター菌など)も疑われます。

 下痢便がすっぱい臭いをしているときには「乳糖不耐症」の状態かも。日本人はもともと乳糖を分解するのが不得手なので、下痢になったときには乳製品の摂取を控えてください。



■上杉謙信と「第一義」

 「第一義」と大書された額が、私の出身高校の講堂に掲げられていました。郷土の英雄である上杉謙信公の書だということは知っていました(もちろん複製)が、その意味を深く考えることはありませんでした。

 先日たまたま見たNHKテレビ「その時歴史が動いた」で、初めて謙信のことを知りました。生涯に70回ほどの戦をしていますが、ほとんど負けたことのない天才武将。

 でも、ただ戦に強いだけではなく、常に大義を最も大切なものと考え、利害を超えて戦っていたというのです。自分の力を誇示するためでもなく、周囲を侵略し支配を広げるためでもありませんでした。

 越後(今の新潟県)を統一したあと、特産品を作ることを奨励。日本海側の航路を開拓して輸送体制を作り、京との間で商業取引を活発に進め、越後を経済的にとても豊かにし、庶民の生活を安定化しました。

 戦国時代に生きる武将ではあるけれど、無為な殺傷を避けたい気持ちが強かったそうです。仏の道を学び、世の中の悪を退治することで平和を守るという「毘沙門天」に自身を重ね合わせました。

 今の世の中、ともすればお金を優先したり、自分の利益だけを考えたりしがちです。そんな中にあって、戦国の武将=上杉謙信が思い描き、実行していたことに思いをはせることは、今を生きる私たちに、とても大切なものを教えてくれるようです。

 ちょっと歴史が面白くなってきました。



■お知らせ

☆上越市で夜間診療所開設
 ●5月よりこれまでの休日診療所が上越休日・夜間診療所としてオープンします。
 ●平日夜7時半〜10時、内科・小児科の診療を行います。(受付は夜9時半まで)
 ●とくにお子さんの急病などでご心配の時には、どうぞご利用下さい。

☆当院が主催する第3回「上越子育てセミナー」は7月7日(土)午後1:30〜3:30、細川佳代子さんのお話をお聞きします。細川さんはNPO法人「世界の子どもにワクチンを-日本委員会」代表です。

☆上越市を舞台に撮影が進んでいる映画『絆(きずな)』は今秋、全国で公開予定。医院と院長も登場します。どうぞご期待下さい。



■感染症情報

 例年より約1か月遅れて始まったインフルエンザの流行は、3月下旬にようやく峠を越え、4月は下火になってきました。4月末でほぼ終息したものと思います。

 今年は結果としては数年ぶりの大流行になりました。さらに、タミフルの使用にあたっては特段の注意が必要だということで、診療は混乱気味でした。来シーズン以降の流行の際も心配ですし、新型インフルエンザが発生した時の対処についても、不安を残しました。

 ウイルス性胃腸炎の発生が4月になってまた多くなりました。中には家庭や職場での集団発生も起きています。引き続きご注意を。

 水ぼうそう(水痘)とおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の発生も園を中心に増えています。任意接種ですが、いずれもワクチンによって予防することができます。
溶連菌感染症も増加。のどがとても痛く、熱があるときには早めに受診を。抗生物質が必要な感染症です。
りんご病(伝染性紅斑)もまだ発生中。子どもにとっては軽い感染症ですが、大人がかかると熱がでて、強い関節痛なども伴います。

 マイコプラズマによる気管支炎・肺炎もまだ発生中。咳が強く長びきます。使用する抗生物質によって効果に差があります。

 麻疹、風疹の発生は当院ではありませんでした。(麻疹は全国で発生し、問題になっています。)

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