2007年7月号(199号)   


 梅雨時は気分がめいります。でも降るべき時に雨が降らないのも困りもの。

 今年の夏は水不足が心配されています。水害にならない程度に、雨が降ってくれるといいですね。

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 今月の話題
  ●傍観者にならないで
  ●【子どもの救急】 プールでの注意
  ●【院内迅速検査】レントゲン検査
  ●いじめ根絶県民集会
  ●お知らせ
  ●感染症情報
 
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■傍観者にならないで

 先月は「いじめ」について考える機会がありました。新潟県内でもいじめを苦にした子どもの自殺があり、何とかしなくてはいけないという機運が高まってきています。

 死に至らしめるようないじめは、集団の中で一部の者が一人に対して行っているのでしょう。集団で行うことも「卑怯」ですし、弱いものをターゲットにするのも「卑怯」です。

 そしてそれを見ている者たちも解決のために何もしなければ「卑怯」なのではないでしょうか。自分が声をあげたり、手を出したりしたら、次にいじめの対象が自分に向いてくることを心配しているのかもしれません。その気持ちは分かります。でも、それではいったい誰が解決していくのでしょうか。

 傍観者になってしまってはいけないのだと思います。「私一人くらい・・」とか「私がしなくても誰かが・・」という考えをみんながもつことは、結局「誰も何もしない」ことと同じです。

 みんなが少しずつ勇気をもち、いじめをやめさせるように働きかけることができれば、いじめはなくなっていくように思います。そして、それ以外にいじめをなくしていく方策は、ないでしょう。


■いじめ根絶県民集会

 先月、新潟県教育委員会主催の「いじめ根絶県民集会」が開かれ、私もその中のリレートークに参加してきました。

 中学生や高校生の「現場からの発言」では、大人たちが気づいていない問題が指摘され、とても参考になりました。教師や親が形だけいじめをなくそうとしても、子どもたちは問題をかくすだけ。時にはそっとしておいてほしいという意見もありました。

 基調講演ではいじめの実態についての話がありました。特定の子が特定の子をいじめているというわけではない。長い期間でみると、8割ほどの子が何らかのいじめをし、8割ほどの子が何らかのいじめを受けた体験をもっています。どの子もいじめたり、いじめられたりするのが、今の子どもたちの実態だというのです。

 私からは、まず日本人の自殺率の高さをお話ししました。年間に3万人以上が自ら命を絶っています。自分に自信をもてないと、トラブルがあったときに「自分を否定する」意味合いで自殺を選びがち。ほめて育てる、良いところを認めるなど、子育てや教育の基本にしてほしいと。

 また相手がイヤだと思わなくても、モラルに反する行為はやめさせる必要があります。それは教師や親から子どもたちへも同様。「モラル・ハラスメント」としていじめをとらえることが必要になるでしょう。

 いじめ解決のためには、実際に起きた行為を明らかにし、問題をオープンにすることも重要だとお話ししました。


■【子どもの救急(30)】 プールでの注意

 夏の暑い季節はプールでの水遊びは子どもたちがとても喜ぶもの。大いに水に親しみ、遊んでください。

 やはり心配なのが水の事故。ちょっと目を離したすきに溺れてしまう、などということもあります。お子さんのことを絶えず見守りながら、安全の確保につとめてください。

 いろんな感染症をもらってしまう可能性もあります。プール熱(咽頭結膜熱)はその一つ。アデノウイルスによる感染症で、喉の痛み、目やに、高熱が主な症状です。伝染力がとても強く、完全に治るまでは登園停止の扱いです。

 プール熱は人から人への飛沫感染が多いのですが、時にプールでの集団発生もあるため、この名前が付けられています。この病気が心配な時には、もちろんプールに入ることは避けてください。

 その他の感染症も、プールで感染しがちです。風邪などはもちろんですが、下痢の多くはウイルスが関係しているので、しっかり治るまではみんなと一緒のプールは控えるようにお願いします。

 しかし、あまり神経質になる必要もないでしょう。集団生活をしている限り、軽い感染症は「お互い様」ともいえますので。
水いぼ(伝染性軟属腫)についてはその扱いに混乱があります。他の人への伝染力はありますが、その程度は弱いので、ただちにプール禁止にはなりません。ビート板、浮き輪などを共有せず、タオルは自分用のものを使ってください。

 でも、水いぼが数多かったり、大きなものについてはやはり他の方に伝染させてしまったり、自分の皮膚上でどんどん増えてしまうこともあります。程度が強い場合には、やはり摘除するようにお願いしています(ピンセットで摘み取るのが一番確実のようです)。

 プールの水は皮膚や粘膜にとって障害になります。プールからあがったらシャワーや洗顔を十分に。家に帰ったら早めに入浴し、皮膚についた塩素や汚れを落として下さい。


■【院内迅速検査(16)】レントゲン検査

 レントゲン検査とは、放射線(エックス線)を使って体の中の様子を診断する検査の一つです。放射線が硬い物は通りづらく、軟らかい物はそのまま素通りする性質を利用しています。体の反対側にフィルムを置き、エックス線が当たったところが黒く感光するようにしています。

 骨などの硬い物はエックス線が通らないためフィルムは白いまま残り、空気や水分は黒く写ります。その形や濃淡などから、体内の臓器に異常がないかどうかを診断していきます。

 小児科で主に使うのは胸部レントゲン撮影。肺や心臓が写しだされ、肺炎や心臓疾患の診断などに役に立ちます。そのほか必要に応じて腹部、頭部(副鼻腔炎など)、手足(骨折など)の検査を行うこともあります。

 放射線を使うので被曝の問題がありますが、小児で使う量は微量であるため、繰り返し撮らない限り大きな問題にはならないようです。もちろん必要最小限の検査ですむように配慮する必要があります。


■お知らせ

☆細川佳代子氏講演会
●当院主催第3回子育てフォーラムが開催されます。NPO法人「世界の子どもにワクチンを」日本委員会理事長の細川佳代子氏の「ボランティアの私-可能性への挑戦-」というご講演です。
●7月7日(土)13:30〜15:30、上越市民プラザ(入場無料、保育ルームあり)
●入場整理券を差し上げています。ご希望の方は医院までご連絡下さい。(保育ルームは予約が必要です)
●多くの方のご参加をお待ちしております。

☆夏は熱中症、紫外線の障害(過度の日焼け)、あせも、とびひなど、いろいろなトラブルをおこしがち。健康管理にご注意下さい。

☆産経新聞に当院のわたぼうし病児保育室についての取材記事が掲載されました(6月26日)。
インターネット版産経新聞にも掲載されています。どうぞご覧になって下さい。


■感染症情報

 6月はウイルス性胃腸炎が最も流行していましたが、その規模はそれほど大きくはありませんでした。嘔吐と下痢を主症状とする感染症で、ほかに腹痛、発熱なども伴います。乳幼児と高齢者は脱水になりやすく、注意が必要です。

 これからの夏場は、食中毒も類似の症状で発生しやすくなります。食品の衛生管理にも十分注意をしていて下さい。
溶連菌感染症、水ぼうそう(水痘)、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)も発生していますが、それほど多くはありませんでした。
りんご病(伝染性紅斑)が目立っています。ウイルスによる感染症ですが、子どもは症状が軽く、伝染力がすでになくなったあとに症状が出るので、通常はそのまま登園・登校していてかまいません。

 しかし大人がりんご病にかかると、発熱とともに関節痛が強くなります。また妊娠中の方がかかると流産をおこすこともあります。注意していて下さい。

 マイコプラズマによる気管支炎・肺炎もまだ発生中。近年は内服での抗生物質に十分効果がでないことが多く治療に苦慮しています。

 麻疹、風疹の発生は当院ではありませんでした。麻疹の全国的な流行は下火に向かっているようです。小学生以上の子どもたちや10代、20代の方は必ず2回目のワクチン接種を受けて、確実に麻疹を予防するようにして下さい(任意接種)。

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