2007年8月号(200号)   


 予想に反して梅雨明けが遅くなっている日本列島。水不足の心配はなくなったようですね。

 異常気象や大地震が続くと、人間は自然の中で生きているということを思い知らされます


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 今月の話題
  ●「ボランティアの私」
  ●【子どもの救急】 震災から何を学ぶ?
  ●【院内迅速検査】顕微鏡検査による検査
  ●愚直に200号
  ●お知らせ
  ●感染症情報

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


■「ボランティアの私」


 先月、第3回上越子育てフォーラムが開催されました。講師は細川佳代子さん。「世界の子どもにワクチンを」日本委員会の代表を務めるなど、社会貢献に大変熱心な方です。

 演題は「ボランティアの私」。多くのボランティア活動に取り組んでおられますが、その内容を紹介するだけではなく、ボランティアとは何か、なぜボランティアに情熱を込めておられるのかなど、丁寧にお話ししていただきました。

 1歳からボランティアをしていたというエピソードは面白かったです。まだよちよち歩きの頃、隣に住む老夫婦のもとを毎朝訪れていたそうです。病気で床に伏してる妻と、介護する夫の両方に、笑顔を与えていたというのです。「私は生まれつきボランティアでした」と。

 何も難しいことではない。周りの人たちのことを思い、できることを何でもいいからしてあげること・・それがボランティアなのだと話されました。

 「愛」と「奉仕」が私たちの心の中にしっかりと根付いていけば、もっと生きやすく、楽しい社会が作られていくことでしょう。細川さんのお話の中から、そう思いました。


■【子どもの救急(31)】 震災から何を学ぶ?

 新潟県はわずか三年ほどの間に二つの大きな地震に見舞われました。今回は先月の中越沖地震です。11人の方が亡くなり、いまだ多くの方が避難所で暮らしています。復興の兆しはあるものの、元通りの生活になるのはいつのことでしょう。

 先の地震のあと、災害に対する備えはきちんとできていたでしょうか。行政もそうですが、会社や団体、家庭においても、必ずしも十分ではなかった面が散見されます。

 日本列島は世界でもっとも地震が多発している国。いつどこで地震が起きても不思議ではありません。

 お金はかかりますが、住宅の補強、家具の転倒防止対策、食料・水の備蓄などは、命に直結することです。万一の際の避難方法、家族の連絡方法などを決めておくことも大切です。「災害は忘れた頃にやって来る」とは言いますが、今回は「忘れないうち」でした。でも、災害に対する対処をしておくことは、忘れてしまっていたようです。

 地震の発生を無くすことはできません。しかし、地震による災害を小さくすることはできます。そのためには、いつであるかは分からないけれど、必ず地震が起きるものだということを認識しておくことです。

 今回の震災の中から何を学び、それをどう生かすかが、次に起きる震災による被害を小さくできるかどうかを左右します。行政だけではなく、それぞれの家庭でも、しっかりと対応されることをお願いします。

 なお、地震のあと心が不安定になっているお子さんを見かけます。PTSD(心的外傷後ストレス障害)までなっていなくても、心に傷をおった子も多いようです。物音でビックリする、夜一人で眠れない、食欲がない、元気がない・・そんな様子はないでしょうか。

 もし心配なことがあれば、大人が一緒についてあげたり、ていねいに話を聞いてあげるなど、安心できる状況を作ってあげて下さい。


■【院内迅速検査(17)】顕微鏡検査による検査

 顕微鏡は医学の発展に大いに貢献しました。目には見えない小さな世界に人体の真実や病気の正体が隠されています。その一つ一つの形や働きを解明することが、医学の歴史でした。

 通常の光学顕微鏡では1,000倍くらいまでの拡大。学校の理科の授業で使っているのはこれで、簡単に使うことができます。より拡大のできる電子顕微鏡では原子のレベルまで調べることができ、最先端の研究にも利用されています。

 小児科外来ではさほど難しい疾患は扱わないので、光学顕微鏡で十分役立っています。

 光学顕微鏡でも細菌の大まかな形が分かるために、尿路感染症の有無や原因菌の大まかな見極めができます。乳児の発熱の原因として尿路感染症は重要です。

 そのほかでは蟯虫症や頭ジラミは、顕微鏡をのぞくだけで簡単に分かります。(昔は寄生虫疾患が多くありましたが、今では蟯虫が残っている程度。頭ジラミは今また流行しています。)


■愚直に200号

 毎月発行している「こども通信」ですが、今月で200号を迎えました!

 開院した1990年(平成2年)に創刊し、17年ほどで200号にたどり着きました。患者さんや地域の方々に、当院からのお知らせ、注意してほしい感染症や事故のことなど、子どもたちの健康作りに役立つ情報をお伝えする媒体として作成してきました。

 その後、医院からの情報提供は次第に種類が多くなりました。インターネット上のホームページ、毎週の感染症情報の提供(有線放送、FM放送、電子メールなど)、各種の「ヘルス・レター」など。とくに紙によらない情報伝達が多くなったのは時代の流れでしょう。

 でも紙媒体による「こども通信」はまだ健在。昨年からはカラー化し、より分かりやすく、きれいな紙面作りに心がけています。

 とはいえ、作っているのは私(院長)一人。どうしてもアイデア不足、企画力不足からマンネリ化は否めません。いつも同じような紙面になってしまって、見飽きてしまった方もおられるかも。

 砂漠に生きるサボテンは数百年の寿命だとか。長い年月もの間、ただただそこに生き続けています。私も歳を重ねて、そんなふうに「愚直」に生きることの大切さが分かるようになってきました。そして、「継続は力なり」。

 次の区切りである300号になるのは2015年12月。私は58歳になっている計算。それまで元気に診療を続けていくことを、当面の目標にしたいと思っています。応援を宜しくお願いします。


■お知らせ

☆夏休みのおしらせ
 ●8月11日(土)〜16日(木)まで夏休みをいただきます。ご不便をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
 ●わたぼうし病児保育室もお休みです。


☆熱中症が発生しやすいお天気が続きます。直射日光をさけ、帽子や日傘を使い、水分を十分にとるなど、予防に心がけてください。

☆子どもだけを自動車内に残すことは、炎天下であれば熱中症の発生が心配。誘拐される危険もあります。絶対に止めてください。


■感染症情報

 7月は感染症の大きな流行はありませんでした。

 上旬はウイルス性胃腸炎が目立ちましたが、次第に減少。これからの夏場は、食中毒による胃腸炎が多くなります。食品の衛生管理や調理の方法に注意をしていて下さい。

 りんご病(伝染性紅斑)が増加してきました。全国的にも報告数が増えているようです。頬、腕、大腿が赤くなりますが、子どもは症状が軽く、伝染力も問題にならないので、薬は必要ありませんし、通常はそのまま登園・登校していてかまいません。

 しかし大人がりんご病にかかると、発熱とともに関節痛が強くなります。また妊娠中の方がかかると流産をおこすこともあります。注意していて下さい。

 マイコプラズマによる気管支炎・肺炎もまだ発生中。近年は内服での抗生物質に十分効果がでないことが多く、治療に苦慮しています。
溶連菌感染症、水ぼうそう(水痘)、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)も発生していますが、それほど多くはありませんでした。

 麻疹、風疹の発生は当院ではありませんでした。

 これからの夏場はいわゆる「夏かぜ」が多くなります。プール熱(咽頭結膜熱)とヘルパンギーナは高熱と喉の痛みが強くなります。手足口病は発疹がでるだけで熱はでません。今のところは流行の兆しはありませんが、注意をお願いします。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

目次の
ページへ

このホームページ
のトップへ