2007年9月号(201号)   

 今年から「猛暑日」という用語が使われていますが、さっそく猛暑日の連続。
 お疲れさまでした。

 秋口になり、やっと過ごしやすくなりましたね。

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 今月の話題
  ●病児保育で医師不足対策を
  ●もう一つの「わたぼうし」
  ●【子どもの救急】目のトラブル
  ●【院内迅速検査】検査は何のため?
  ●お知らせ
  ●感染症情報

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■病児保育で医師不足対策を

 今、医師不足が大問題になっています。特に産科や小児科といった、次の世代を育てる科で顕著です。

 地域格差も大きく、近隣の市でも医師不足から廃業に追い込まれた病院がありました。このままでは日本の医療が崩壊するかもしれないという危機感を持っています。

 医師の絶対数が先進国としては少ないことが第一の理由。「医療費抑制」のために医学部定員を削減してきたツケが回ってきています。地域や科による偏在も大きいのですが、有効な解決策はまだ見つかっていません。

 さらに医師の中で診療に携わっていない方もいます。とくに女性の場合には、結婚や出産を機に診療の現場を離れ、その後も復帰しにくいという問題があります。

 日本女医会が調査したところ、最も必要と感じている支援策は「病児保育」。乳児保育や院内保育などはすでにある程度普及してきました。そこに加えて、子どもが病気になった時の方策があれば、医師として働き続けられそうだというのです。

 今や「病児保育」は、日本の医師不足解決の重要な施策にもなってきました。早く日本中に広がるといいですね。


■もう一つの「わたぼうし」

 当院は2001年より「わたぼうし病児保育室」を併設しています。病気の子どもたちをお預かりする保育室です。設立から6年余がたち、年々多くの子どもたちが利用。子育て支援、あるいは女性の就労支援のために地域のお役にたてていることを、日々実感しています。

 実は私(院長)には「わたぼうし」と名前のつく保育施設に関わるのは2回目です。その最初は今から28年前、自治医科大学の構内に誕生した「わたぼうし共同保育園」でした。

 当時はまだ育児休暇制度のある職種が限られていました(産後休暇も6週間だけ)。また、地域の保育園でも乳児保育を行っているところはほとんどない状況。そのため、女性職員は結婚や出産と同時に職場を去ることが決して少なくありませんでした。

 自治医大の職員などで、ちょうど同じ頃に赤ちゃんが生まれた3組の家族が集まり、自分たちで保育士を雇って作ったのがこの「わたぼうし共同保育園」でした。私たち家族もその一つです。(私は学生だったので、保育士がお休みだったり手が足りないときによく“保父”をしていました。)

 大学の中で託児施設を作るように働きかけていましたが、数年後にそれができ、共同保育園は発展的に解消しました。

 その後、乳児保育や企業内保育は当たり前のように増えてきました。日本中に種がまかれ花を咲かせたいと願って名付けた「わたぼうし」。次は病児保育の分野でも、その思いが花咲くことを願っています。


■【子どもの救急(32)】 目のトラブル

 目のトラブルというと、まずは結膜炎が問題になります。その多くは結膜(白目)が赤くなり、目やにがでて、痒みがあります。

 細菌性結膜炎では目やにが汚く、ベットリとつきます。涙は目の表面を覆ったあと、鼻に抜けていくのですが、その管(鼻涙管)がふさがったり、時には鼻汁が逆流したりしておきることがよくあります。乳児では先天性鼻涙管閉塞(多くは生後半年で開通します)が原因で、いつも涙目であることもあります。幼児では鼻風邪などの時に一緒に結膜炎になることがしばしばです。

 細菌性結膜炎の治療は、抗生物質の点眼液を使うこと。また顔や目を水で良く洗い、清潔にしておくことも必要です。痒いからといって目をこするとさらに悪化します。

 流行目(はやりめ)はさらに症状が強く、伝染力もそうとうあります。主にアデノ・ウイルスによる感染症で、対処はなかなか難しいです。眼科の受診が必要であり、治るまで登園・登校が禁止されます。

 花粉症などによるアレルギー性結膜炎は、以前は大人の病気だとされていましたが、今では幼児でも珍しくありません。目の赤みや痒みが強く、涙目になります。アレルギーを抑える目薬を使って治します。

 麦粒腫(ものもらい)は、睫毛(まつげ)の付け根から細菌が入ったことによっておきる感染症。抗生物質の点眼液で治療します。この場合も汚い手で触るのは大敵です。

 目の中に砂などの異物が入り込むことがあります。小さい物は流水(水道水で可)で流れ出ますが、大きな物は処置が必要になります。眼科へどうぞ。この時も目を引っ掻くと、眼球に傷が付くので絶対に止めさせて下さい。

 乳児では斜視ではないかという相談が良くありますが、両目の真ん中(黒目の中心)でちゃんと物が見えていれば大丈夫。ご心配な時には小児
科、または眼科を受診して下さい。

 視力、色覚などのトラブルは専門の眼科で診てもらいましょう。


■【院内迅速検査(18)】検査は何のため?

 このシリーズでは院内で行っている検査についてお話をしてきました。まとめてみると、けっこうたくさんの検査を行っていることが分かります。

 小児科外来というとあまり検査はしないというイメージがありました。もちろん今でも診察の基本は子どもさんを直接診ることに代わりはありません。訴えを良く聞き(問診)、顔色などの様子を見て(視診)、具合の悪い場所を触り(触診)、聴診器で肺や心臓の音を聞く(聴診)・・。

 それらに加えて診断を確定し、病気の程度を知り、治療法を決めるために諸々の検査が必要になることがあります。その種類や回数もしだいに多くなりましたし、より複雑な検査を行うようにもなりました。

 しかし多くの検査は苦痛を伴います。より少ない検査で分かるように努力していますが、どうぞご協力をお願いします。

 また、それぞれの検査はそれだけで意味をなさないことがあります。「検査のための検査」にならないよう注意をしていきたいと思っています。


■お知らせ

☆インフルエンザ予防接種の受付
 ●今年もインフルエンザ予防接種を10月22日より行います。ぜひ多くの方に受けていただきますようお願いします。
 ●受付は今月4日(火)午後1時より始めます。0120-447709へお電話下さい。翌日からは午前9時〜午後5時(水曜、土曜は12時まで)です。

☆12日(水)は午後より自治医大(栃木県)へ出張のため、外来は11:30まで。わたぼうし病児保育室は午前のみになります。

☆花粉症は春先の次に秋口にも多くなります。ブタクサ、ヨモギなどがその原因。近所の空き地や道ばたに多く見られる雑草です。


■感染症情報

 8月も感染症の大きな流行はありませんでした。

 いわゆる「夏かぜ」が目立つ季節。今年はヘルパンギーナがやや多かったです。高熱とのどの痛みがありますが、数日で良くなる軽いウイルス感染です。手足口病は若干の発生。昨年流行したプール熱(咽頭結膜熱)は今年はほとんど発生していません。

 りんご病(伝染性紅斑)の流行は下火に向かっているようです。子どもにとっては軽い感染症ですが、大人がかかると関節痛などが強く、さらに妊娠中では流産の原因になることもあります。

 マイコプラズマによる気管支炎・肺炎はまだ発生中。近年は内服での抗生物質に十分効果がでないことが多く、治療に苦慮しています。

 春に多かったウイルス性胃腸炎は夏場は減少。寒くなるとまた多くなってきますので、注意をお願いします。

 水ぼうそう(水痘)、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は少数の発生でした。ワクチン接種によって予防することができます(任意接種)。集団生活をしているお子さんはぜひ受けて下さい。
溶連菌感染症は若干の発生。

 麻疹、風疹の発生はありませんでした。

 インフルエンザのことがそろそろ話題になっています。毎年冬に必ず流行します。積極的な予防はワクチンのみ。ぜひ年内にワクチン接種をすませて下さい。

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