2008年2月号(206号)   

寒さがいっそう厳しくなりました。インフルエンザ流行も本格化。背中も曲がりがちです。

節分の豆まきのように、大きなかけ声を自分にかけてみましょう。「元気を出して!」と。


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 今月の話題
  ●医療崩壊の危機
  ●難聴を予防するワクチン
  ●インフルエンザと異常行動
  ●【子どもの救急】口のトラブル-2
  ●【院内迅速検査】体重測定
  ●お知らせ
  ●感染症情報

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■医療崩壊の危機

日本の医療制度が危機に瀕していると指摘されています。
必要な医療が受けられない地域が増えているというのです。
確かに地方では経済の低迷もあってか、病院の経営がうまくいかず、倒産する病院も少なくありません。

中でも産婦人科や小児科は採算がとれなかったり、医師が不足しているため、診療体制がどんどん縮小されています。
都会でも救急医療の体制が整わず、「たらい回し」も少なくないとか。
勤務医の負担が大きすぎることも、社会問題になっています。

日本の医療は「国民皆保険」によって成り立っています。
誰でも、どこでも、日本中同じ費用で保険診療を受けられるというものです。
しかし現在、その体制の維持が困難になっています。

保険診療を安い価格に抑制してきたことが、医療機関の経営を圧迫しています。
医学部の定員を減らしてきましたが、それが医師不足を作り出した最大の要因です。
目先のことだけを考えて行ってきた医療行政のツケが、今の日本の「医療崩壊」をもたらしているのではないでしょうか。

日本の国民の命と健康をどのように守っていくべきか・・そんな大所にたった議論が今こそ必要だと思います。
日本の医療が本当に崩れ落ちてしまわないうちに。


■難聴を予防するワクチン

先日、歌手の浜崎あゆみさんが突発性難聴になり、大きな話題になりました。
原因が分からず、対処の方法もあまりない難病なのだそうです。
失われた聴力が元にもどることはないのだとか。
どうかもう片方の耳を使いすぎず、いつまでも歌い続けてくれることを願っています。

ところで子どもたちにとっても難聴はそれほど珍しいことではありません。
生まれながら難聴があるにもかかわらず、そのままにしていると言葉の発達もうまくできなくなります。
全ての赤ちゃんの聴力を測定したり、赤ちゃんのしぐさから耳の聞こえが大丈夫かどうかを知ることも必要です。
そして、もし問題があったら早く専門医の診察を受け、必要な処置をしてもらって下さい。
(当院ではそのための簡易聴力検査器械を導入し、乳児健診などで役立てています)

また、感染症に伴って難聴になることも少なくありません。
その中ではおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)が最多。
最近の研究ではおたふくになった子どもたち数百人に一人が難聴になっているのだそうです。
(片側だけですが、ほとんどは一生聴力障害が続きます)

おたふくはワクチン接種により確実に予防できます。
残念ながら日本ではまだ任意接種ですが、お子さんを難聴から予防するためにもぜひおたふくワクチンの接種を受けるよう、強くお願いします。

またもしおたふくにかかってしまったら、聴力検査も受け、難聴になっていないか、確認してもらって下さい。


■インフルエンザと異常行動

インフルエンザの患者さんで、急に走り出したりする「異常行動」が問題になっています。
とくに転落事故や交通事故にあってしまい、命を落とすこともあるからです。
とくにタミフルを服用後にそのような行動をとることがあるということで、現在は10歳代にタミフルは使用しないこととなっています。

しかしタミフルを服用していなくても同様の行動をおこしたり、吸入薬リレンザでもおきたりして、本当の原因はまだ分かっていません。

インフルエンザそのもので異常行動がおきている可能性もあります。
タミフル服用にかかわらず、発症後2日間はお子さんと一緒にいて万一に備えるようにお願いしています。


■【子どもの救急(37)】口のトラブル-2

口の中のケガも、子どもではよく経験します。
転んだだけでも口の中が切れることがあります。
自分の歯で舌を切ったりすることも。

出血が多いとあわててしまいますが、まずはガーゼなどでしっかりと圧迫すること。
数分押さえてみて止血できないようならすぐに受診をして下さい。

皮膚にできたケガについては汚れを水道水で洗い流します(消毒薬は使わないようになってきました)。
しかし口の中はなかなか洗うことができません。
もし土や砂などが入っているのなら取り出さなくてはいけませんが、通常のケガでは洗う必要はありません。
唾液で濡れているために、かえって治りが早いのです。

舌が切れても、とりあえず出血が止まれば大丈夫。
小さな傷では縫うこともしません。
(もし大きなケガなら、口腔外科または耳鼻科などで縫合します。)

喉に魚の骨が刺さることもあります。
大きく喉を開けさせ、丁寧にのぞき込むと見える位置にあって、ピンセットで取れるのが普通です。
箸などを口に加えたまま転ぶと、それが刺さって大きなケガになりますので、注意して下さい。


■【院内迅速検査(23)】体重測定

体重は簡単にはかれるものですが、意外にその意味合いは大きなものがあります。

体重の評価方法はいろいろあります。
同じ性と年齢の「標準体重(平均の体重)」に比べて多いかどうか・・これで大まかな体型が分かります。

乳幼児では身長が違うと体重もそれにしたがって変動します。
そこで身長とのバランスも加味すると、やせているのか、太っているのかの判断ができます。

以上は日本人の標準的な統計から割り出されたものですが、体質はみな少しずつ違います。
数字の上で「やせ」「肥満」となっても、病気によるものかどうかは分かりません。

そこでその子の生まれてからの体重のデータを一枚のグラフに書いていくと、今までの体重の増え方が簡単に分かります。
子どもたちは発育に伴って体重も自然に増えていくからです。

もし急に体重が増えなくなったり、逆に増えすぎていたら心配。
病気がないか、食生活は大丈夫かなど、いちど小児科で相談してみて下さい。


■お知らせ

☆今春のスギ花粉飛散量は例年の数倍にもなるとか。
花粉症の方は早めの対処が必要です。
抗アレルギー薬など、早めのご準備を。

☆上越市教育委員会が企画している「みんなの本だな」が当院待合室に設置されました。
民間では第1号! 
どうぞご利用下さい。

■感染症情報

先月(1月)中旬からインフルエンザの流行が始まり、下旬には本格化しました。
今シーズンは流行の開始がとても早く、12月には大きな流行になりました。
冬休みに小休止でしたが、やはり3学期に入って再度流行がぶり返してきたのです。
例年と同じく、2月中に流行のピークを迎えると思います。十分に警戒していて下さい。

インフルエンザは伝染力がとても強く、学校や園で一挙に流行します。
集団での流行状況を知っておくことはとても大切です。

「異常行動」については社会問題になっていますが、インフルエンザそのもので起きている可能性があります。
発症後2日間はお子さんと一緒にいて、事故に至らないように注意をお願いします。

ウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)の流行も続いています。
嘔吐が強く、長びいていると脱水状態が強くなります。
顔色を悪くし、グッタリしている時には早めに受診し、処置を受けて下さい。

マイコプラズマ感染症の流行も続いています。
咳がとてもつよくなるのが特徴。

百日咳とRSウイルス感染症が少しずつ発生しています。
いずれも咳がとても強くなりますが、対処が難しい感染症です。

水ぼうそう(水痘)、 溶連菌感染症、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)などは少しずつの発生。
麻疹、風疹、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の発生はありせんでした。

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