2008年4月号(208号)   

 いよいよ春、そして新学年。さぞ気合いが入っていることでしょう。

 新潟ではもうすぐ桜の季節。ピカピカの子どもたちを満開の桜がお祝いしてくれることでしょう。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 今月の話題
  ●小学校ギャップ
  ●日本でも麻疹の制圧を
  ●【子どもの救急】顔のトラブル
  ●【院内検査】鼻汁好酸球
  ●お知らせ
  ●感染症情報
  
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


■小学校ギャップ

 「小学校ギャップ」という言葉を耳にしました。保育園や幼稚園に通っていた子どもたちが、小学校入学の当初、環境に慣れずにトラブルをかかえこむというものです。

 入学と同時にそれまでの生活スタイルが一変します。新しい仲間や先生、先輩たち。新しい生活リズム。学校特有のさまざまなルール。教室での学習もとまどうことが多いでしょう。

 環境が変わるのですからストレスを感じるのは、ある意味で当然です。強いストレスは心に傷をつけてしまいますので要注意ですが、軽いストレスはそれに慣れたり、適当にかわす方法を覚える中で次へのステップに移っていくきっかけになるものです。

 子どもたちは違う環境に適応する能力はそれなりにあるでしょう。大人が心配する必要はないかもしれません。もちろん個人差が大きいので、それぞれのお子さんごとに丁寧に対応する必要があります。

 もう一つ「小学校ギャップ」で問題になるのは放課後の生活です。小学校の下校時間は早く、夕方まで子どもの面倒をどうすればよいか、困っておられるご家庭も多いでしょう。学童保育が整備されてきていますが、必ずしも十分な環境が用意されているとは限りません。

 親御さんが「小学校ギャップ」のために仕事をやめざるをえなかった、という話も聞いています。こんなところにも「子育て支援」を充実させる必要がありそうです。



■日本でも麻疹の制圧を

 昨年の今頃、麻疹(はしか)の大流行があったことを覚えておられるでしょうか。多くの学校で休校し、社会的な問題になりました。

 麻疹でこんな騒動しているのは先進国では日本だけ。欧米などではすでに麻疹は制圧状態(根絶の一歩手前)になっています。「日本は麻疹の輸出国」といった非難も受けています。

 麻疹はワクチン接種で確実に予防できる感染症です。日本でも以前から予防接種を行っているのに何が違うのでしょう。それは接種の回数です。日本はずっと1回しか行っていません。しかしワクチンでできる免疫は弱く、中には10年ほどで麻疹にかかってしまうこともあります。

 ほとんどの先進国は以前より2回の接種を行っています。追加接種することで、免疫力がそうとう強くなり、より長く持続できるようになります。

 日本ではやっと2年前から2回法が取り入れられました。2回目が小学校入学前の1年間とされたため、それより大きな子どもたちや青年たちはここでもまた取り残されてしまいました。

 そこで今年度から5年間、中学1年と高校3年に相当する年齢で再接種することになりました(風疹との混合ワクチン)。対象の方は必ず接種を受けて、麻疹にかからない免疫を獲得するようにして下さい。

 そして95%以上の方が予防接種を受けると麻疹を制圧できるとされています。5年後には日本から麻疹が制圧され、安心して生活できるようになることを期待しています。



■【子どもの救急(39)】顔のトラブル

 緊急を要するものとしては外傷があります。子どもたちのケガは頭部打撲のほかに顔をぶつけたり、転んでかすり傷をおったりすることがよくあります。

 打撲のあとが赤くなっているだけなら冷やしておくだけで十分でしょう。やけどと同じ対処です。

 擦過傷の中に砂や土などが入り込んでいる場合には、まずそれらを水道水を使って取り除いてください(消毒薬は不要)。そのあとは傷が乾かないようにします。すぐに受診できないようなら、食品用ラップで覆うだけでもけっこうです。

 目尻などはぶつかった時に皮膚が裂けてしまうことがあります(裂傷)。出血を止めるためにガーゼなどで数分はしっかりと圧迫します。止血できたら傷が開かないように、傷の両側の皮膚を傷に向かってたぐり寄せるようにして絆創膏などで固定します。カット絆などで覆うだけにしておくと、開いた傷が治ったときにケロイドになってしまいます。(すぐに受診してもらい、治療を受けることが最良ですが、時間外などは以上の応急処置をして、翌日に受診をして下さい)

 顔には湿疹など皮膚のトラブルがおきやすいものです。とくに赤ちゃんはそうです。もともと余分な皮脂分泌が乳児の顔には多く、脂漏性湿疹(いわゆる乳児湿疹)の好発部位です。おまけに顔は衣服ではおおわれていないため、赤ちゃんが痒がってひっかいてしまい、そのためにますます湿疹が
悪くなることもあります。

 まずはスキンケアを丁寧に。拭くだけではきれいになりません。必ず石けんを使って顔を洗って下さい。赤ちゃん用の保湿ローションなども使い、さらに赤みが強い時には湿疹の薬をきちんと使いましょう。ミルクなどで口の周りが汚れていたら、早めにきれいにしてあげて下さい。

 赤ちゃんの顔面湿疹をアトピー性皮膚炎かと思って心配される方が多いのですが、適切にケアするとだいたいはきれいになるものです。




■【院内検査(25)】鼻汁好酸球

 鼻水、くしゃみなどの鼻炎症状は子どもではよくみかけます。その多くは風邪に伴うものですが、アレルギー性鼻炎も少なくありません。とくに最近はアレルギーの病気が低年齢化していて、幼児でもよくみかけるようになりました。

 アレルギー性鼻炎の症状は大人では水様鼻汁(水っぱな)とくしゃみですが、子どもの場合は鼻閉(鼻づまり)が最も多いと言われています。

 症状や鼻の粘膜をみただけで診断できる場合もありますが、なかなか区別できないこともあります。そんな時に役立つのがこの鼻汁好酸球検査です。

 好酸球は白血球の一種類で、アレルギーの病気に関係しています。鼻からの分泌物に好酸球が多く含まれている場合には、アレルギー性鼻炎が疑われます。逆に好酸球が少ない場合には、感冒などの感染症によって鼻汁が多くでていると考えられます。

 アレルギー性鼻炎に対しては、血液中の好酸球やIgE(免疫グロブリンE)なども調べて、より詳しく診断することがあります。



■お知らせ

☆麻疹・風疹混合ワクチンを中学1年と高校3年のどちらかで接種します(今年度から5年間)。該当するお子さんは必ず接種を。

☆スギ花粉症がとても多いです。以前は大人の病気でしたが、今では幼児でも珍しくありません。今月いっぱいは十分にご注意を。



■感染症情報

 先月(3月)はインフルエンザの流行が次第に発生数が小さくなり、下旬は終息まであと一歩になっていました。

 今シーズンの流行はA香港型インフルエンザによるものがほとんどだったため、さほど大きな流行にはならず、また素直に下火になってきました。例年では春先にB型が流行するのですが、今年はそれもなく、このまま流行がおわるのではないかと思います。

 ウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)の流行もまだ続いています。急に吐き出し、下痢にもなります。脱水になりやすく、具合が悪い場合には早めに点滴治療が必要です。

 マイコプラズマ感染症の流行がまだとまりません。気管支炎や肺炎をおこし、咳がとてもつよくなるのが特徴。的確な抗生物質を使わないとなかなか治りません。

 百日咳が発生しています。咳がとても強くなり、咳き込んで嘔吐したり、呼吸が止まってしまうこともあります。家族内で集団発生し、乳児が罹患して重症になっているケースが散見されます。

 水ぼうそう(水痘)、 溶連菌感染症などは少しずつの発生。

 おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の発生は当地ではわずかですが、他の地区ではそうとう流行しています。今後一挙に流行することも考えられます。ぜひワクチン接種で予防してください(任意接種)。

 麻疹、風疹の発生はありませんでした。

目次の
ページへ

このホームページ
のトップへ