2008年7月号(211号)   


 梅雨時はジメジメしていて不快指数が高値。
 早く梅雨があけ、カラッとしたお天気になるといいですね。
 夏本番までもう少し。
 暑さにまけないような体力作りに取り組んでいて下さい。


--------------------------------------------------------------

今月の話題
 ●ゲームはお祭り
 ●中学生の夢チャレンジ
 ●【子どもの救急】胸のトラブル(2)
 ●【院内検査】検査とお子さんの負担
 ●お知らせ
 ●感染症情報

--------------------------------------------------------------

●ゲームはお祭り

 先日ある小学校で子どもたちにお話をしてきました。「寝る子は育つ」というヘンテコな題名で。

 最近、テレビやゲームを長時間していて、睡眠時間の少ない子どもたちが目立つようになっています。日本中どこでも同じ傾向です。

 大人の生活が「夜型」になっているためなのでしょう。子どもたちもいっしょに夜遅くまで起きています。その結果、朝がなかなか目が覚めない、昼間は体がだるかったり、眠気が強かったり。

 朝きちんと起き、朝食をしっかりととり、ウンチもしてから登校するという生活リズムを、もう一度見直す必要があるようです。

 さらにゲームを毎日、長時間していると、脳の働きに問題が生じることも最近分かってきました。

 人間は大脳を使って考えるわけですが、ゲームの最中は大脳を使っていないというのです。そして、小さなころからそれを続けていると、物事を的確に考えたり、感情を冷静にコントロールする能力(「脳」力)が失われるとも警告されています。

 ゲームは楽しいもの。でも「ゲーム漬け」になっていてはいけません。ゲームはお祭りだと思います。時たまするから楽しいのです。

 本を読んだり、大人や友だちと会話をする中で考える力は養われていきます。ゲームに振り回されないよう気をつけて下さい。


●中学生の夢チャレンジ

 中学の生徒さんがときどき来られます。大人の働いている職場を体験するという学習です。ここ上越市では「夢チャレンジ」と名付けて、とても積極的に取り組んでいます。全ての中学生が1週間にわたって希望する企業などで学習をするのです。

 当院にも毎年、数組の中学生が来られます。将来、医療関係の仕事についてみたい・・そんな「夢」をもっている子どもたちです。

 医療機関での体験学習は、実はいろいろな制約や不都合があります。患者さんのプライバシーの問題がありますので、すべてお見せできるわけではありません。小児科ではいろんな感染症の患者さんがいるので、生徒さんが病気をもらってしまうかもしれません。何より、もし間違いがおきてしまうと、患者さんの健康被害をおこしてしまう可能性もあります。

 そんなところにも配慮し、患者さん(親御さん)のご理解とご協力をいただきながら、でもせっかくの機会なので、できるだけいろんな体験をしてもらおうと考え、プランを練っています。

 当院には病児保育室が併設され、保育士が勤務しているので、小さな赤ちゃんや幼児のお世話もプログラムに入れています。中学生にとっては、とても新鮮な経験になるようです。

 そんな体験学習を通して、それぞれの中学生の「夢」がどんなふうに花開いていくことでしょう。楽しみです。そしてそのお役に立てていることを、嬉しく思っています。


●【子どもの救急(42)】胸のトラブル(2)

 胸部は心臓とならんで肺という大切な臓器が入っています。

 ご承知のように肺は呼吸をするところ。空気の中の酸素を血液にとりこみ、体の中でできた二酸化炭素を空気に逃がしています。

 この呼吸の働きが弱くなると、酸素不足のために顔色が青白くなり、唇の色が紫になってきます(チアノーゼ)。さらにそれが進むと頭がボーッとして意識が次第に遠のきます。低酸素性脳症が強くなると意識消失やけいれんがおきます。ここまでくると命の危険も心配。重篤な脳障害から、命が助かっても意識が戻らず、「植物人間」になってしまうことも。

 狭い室内で火を使っていると、ときに不完全燃焼によって一酸化炭素が発生することがあります。酸素は赤血球中の血色素(ヘモグロビン)というたんぱく質にくっついて運ばれますが、一酸化炭素は酸素の数百倍くっつきやすい性質をもっています。そのためほんの微量の一酸化炭素を吸い込んだだけでも、酸素欠乏に陥ってしまいます。火を使うときにはくれぐれも換気に気をつけて下さい。

 もし室内で酸素欠乏と思われるような状態(吐き気がしたり、ぐったりしたりする)が見られたら、直ちに窓を開け、室外の新鮮な空気を吸わせて下さい。意識がない、けいれんをおこしているなど、重篤な場合には酸素投与が必要です。救急車を手配して下さい。

 子どもでは、喉に物を詰まらせたために急に呼吸困難になることがあります(喉頭・気管異物)。異物を除去する処置はなかなか難しく、うまくいかないこともあります。基本は予防。口に物を入れながら遊んだり、おしゃべりしないよう心がけて下さい。

 病気の中では気管支喘息の発作が強いと、肺に十分な空気が入ってこないために、同様の呼吸困難を起こすことがあります。喘息の体質があるお子さんは、発作が強くならないよう日頃からの管理が重要です。


●【院内検査】検査とお子さんの負担

 院内で行っている検査を紹介してきました。以前は外来でできる検査は限られていましたし、とくに小児科は子どもの負担になることもあり、あまり検査をしていませんでした。

 しかし今はとても多くの検査を行うことができ、かなりのものはその場で検査結果を知ることができるので、診療に即時に役立てることができます。

 例えばウイルス性胃腸炎などによる脱水があれば緊急に点滴治療を始めますが、いっしょに各種の検査を行い、その結果を見ながら点滴内容を変更したり、追加したりできます。あるいは、想定していた疾患ではない別のものが見つかることもあります。とくに急性虫垂炎や腹膜炎などの大きな病気を見のがさないためにもある程度の検査は必要です。

 検査の多くは血液をとって行うため、小さな子どもたちには負担が少なくないのですが、より正確な診療を行うためにはやむをえない場合があります。お子さんには「頑張ったね!」と声かけをしています。親御さんもたくさんほめてあげて下さい。


●お知らせ

☆『ゲーム脳の恐怖』(森昭雄著、NHK出版)に長時間のゲームが子どもにどんな悪影響を及ぼすか、書いてあります。ぜひ参考に。

☆【予告】恒例の夏休みを来月(8月)12日(火)〜16日(土)にいただきます。わたぼうし病児保育室も同じです。よろしく。


●感染症情報

 先月(6月)は溶連菌感染症もずいぶんと流行しました。溶血性連鎖球菌という名前の細菌による咽頭炎(または扁桃炎)で、喉がとても痛く、熱を伴うのが特徴です。適切な抗生物質を早期に使うとともに、合併症(心臓や腎臓を悪くすることがある)を予防するために10日ほどは服用を続けることになっています。

 溶連菌感染症は秋の終わりから春先までが流行シーズンと言われていますが、今年は暑くなっても流行が終わりませんでした。これは全国的な傾向。月末からやっと少なくなりました。もう少し注意を。

 ウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)も減少傾向ですが、完全になくなってはいません。これからは食中毒も心配です。
マイコプラズマ感染症の発生は相変わらず。咳が強く、喘息発作を併発しているお子さんもいます。

 水ぼうそう(水痘)は少数ですが、発生しています。伝染力が強いので、今後流行が拡大する恐れもあります。あらかじめワクチン接種を受けておくと軽くすませることができます(任意接種)。

 夏かぜが次第に目立っています。今は手足口病とヘルパンギーナが主。前者は発疹ができるだけで、そのまま登園してよい程度の軽い感染症。後者は発熱と喉のしみるような痛みがありますが、数日で自然に治っていきます。プール熱(咽頭結膜熱)はまだ見かけていません。

 麻疹、風疹、おたふくかぜの発生は当院ではありませんでした。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

目次の
ページへ

このホームページ
のトップへ