2008年8月号(212号)   


 暑中お見舞い申し上げます。

 各地で水の事故や熱中症などがおきています。体調管理や事故予防に注意をし、夏休みを楽しくお過ごし下さい。

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今月の話題
 ●反面教師
 ●医療崩壊と小児科医
 ●【子どもの救急】お腹のトラブル(1)
 ●【院内検査】ミニラボは強い味方
 ●お知らせ
 ●感染症情報

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●反面教師

 ある県の教育委員会で、先生の採用や昇進を巡って大きなお金が動いていたという事件が明るみになりました。とても由々しいことです。

 子どもたちのお手本である教師が、実はその資格が「偽装」だったなど、耳を疑います。それも組織をあげて、そして長年の慣行として行われていたようです。

 この事件が一つの県でたまたま起きたことなのだろうか。同じようなことが、もしかしたら日本中で起きているのかも。早く「闇」が解明されることが望まれます。

 この事件の一番の被害者は子どもたち。学校の先生方を信じることができなくなってしまったら・・。

 子どもたちが「大人は偉いことを言っても、本当はこんなものだ」などと思ってしまうかも。社会や自分たちの未来に否定的な気持ちをいだいてしまったら、それは子どもたちにとって不幸なことです。

 子どもたちにはぜひ「こんな大人にはなりたくない」と思ってほしい。この事件をきっかけに、かえって自立できることができれば、逮捕された先生方も社会の役にたてるというべきか。

 それにしても教師が「反面教師」としての存在意義しかないとしたら、とても悲しいことです。


●医療崩壊と小児科医

 今日本各地で「医療崩壊」が問題になっています。地域の中小病院の医師が足りなくなり、経営難から診療科を縮小したり、病院そのものを廃止する動きも急です。

 中でも産婦人科は勤務医も開業医も減少し、「お産難民」という言葉も使われるようになるほどの状態。小児科も同じ傾向にあり、小児医療の確保が難しくなってきています。

 当地域でも数年前より小児の時間外診療について問題にされてきました。時間外に病院を受診する子どもたちが多くなり、それが小児科勤務医の疲弊をもたらし、ひいてはさらに小児医療の確保が難しくなる。開業医も含めて何とかしなくては・・医師会や行政がそんな議論をする中で、昨年春、「夜間診療所」を設立しました。

 私もその立ち上げに参加し、さらに現在は1か月に1〜2回、この夜間診療所に勤務しています。1年がすぎて市民の中に定着してきているようですし、勤務医の負担軽減のお役にもたてているようです。

 医師不足や医療崩壊に直面し、それを何とかしなくてはいけないという思いは募るばかりです。しかし国の政策ミスがこれらの問題を起こしたという面も大きく、それだけに即効性のある政策がうてずにいます。

 地域で何とかしようともがいている姿を少しは分かってもらいたと思います。しかしこのまま政府の無策が続くと、開業小児科医も疲弊してきかねません。そんな日がこないことを祈るのみです。


●【子どもの救急(43)】お腹のトラブル(1)

 お腹にも大切な臓器がつまっています。主には消化器と呼ばれて、食事を消化・吸収する臓器です。

 食べたり飲んだりした物は口から食道を通って、まずは胃の中に落ちます。そこでいったん蓄えられ、こなされながらゆっくり時間をかけて腸へ移動していきます。まずは小腸の上部(十二指腸)で肝臓や膵臓からの消化液と混じりあい、そのあと小腸の下の方へ流れていきます(空腸と回腸)。小腸ではためた物を消化しながら、吸収を始めます。腸の内容物は大腸へと流れ、ここでは水分がさらに吸収され、最後はウンチになっていきます。

 お腹にはこういった消化器の他に、おしっこを作る腎臓もあります。

 お腹の病気があると痛み(腹痛)を訴えることが多くなります。程度はさまざまで軽いものから、冷や汗をかき、真っ青な顔をしている場合もあります。一般的には症状の訴えが強く、お子さんを見た様子がとても具合悪そうならば重い症状だと考えて間違いありません。

 しかしだから重い病気だというわけでもありません。時間外で病院などを受診する腹痛患者の多くは、子どもでは単なる便秘で、浣腸してウンチが出ると治っています。ウンチは本来毎朝出すもの。何日もたまっていたり、朝出ていない場合にはトイレに行かせたり、時には自宅で浣腸してみて下さい。スッキリすればそれで終わりです。

 もちろん腹痛の中には虫垂炎(いわゆる盲腸)など、急いで対処しなくてはいけないものもあります。そんな時には、例えば浣腸しても様子が良くならないことが病気発見のきっかけになることもあります。

 急な腹痛を訴えたとき、ウンチが出ているかどうかを聞いて必要ならまずは浣腸をしてみる。それだけで、実はそうとう多くの子どもたちの腹痛が改善し、夜間などの受診が必要なくなります。

 その後は便秘にならないよう、「朝の排便習慣」や食生活の見なおしなどを行ってください。

●【院内検査】ミニラボは強い味方

 これまでお話ししているように、小児科医院で行っている検査は次第に多くなってきました。ざっと数十種類でしょうか。

 しかし、小児医療の中で必要な検査のすべてを外来で行っているわけではありません。種類としては一部のものだけです。

 でも必要となる頻度の多いものはできるだけカバーしています。そして何よりも、その場で結果が分かるので診療精度の向上に役立ちますし、診療スピードもアップします。あとでまた結果を聞きにきてもらうということも不要になります。

 病院にはしっかりとした検査室(ラボ)があり、特殊な検査も行えます。いっぽうで「小回りがきかない」という欠点もあるようです。すべての診療科の検査を一手に引き受けているのでなかなか融通がききません。

 小児科医院は、そんな「小児科医のわがまま」をきいてくれる小さな検査室(ミニラボ)を自分で持っています。強い味方です!


●お知らせ

☆夏休み(休診)
 ●8月12日(火)〜16日(土)まで夏休みをいただきます。ご不便をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
 ●わたぼうし病児保育室もお休みです。

☆第4回上越子育てフォーロムを9月20日(土)13:30〜上越教育大学講堂にて行います(入場無料)。
 今年のフォーラムは発達行動小児学の専門家=宮本信也先生(筑波大学教授)の「発達障害の理解と対応」です。


●感染症情報

 先月(7月)は夏かぜが増えていました。中でも手足口病が多く発生。手と足と口にブツブツができ、口内痛を訴えますが、全身状態に問題はなく、食事がとれるようなら登園・登校してもかまわないとされています。ヘルパンギーナも夏かぜの一つですが、高熱と強い咽頭痛があり、数日は食事を摂りづらくなります。

 プール熱(咽頭結膜熱)は高熱、咽頭痛、目やにが主症状であるウイルス感染症ですが、とても重症感が強く、完全に治るまで1週間ほどかかります。伝染力も強く、治癒するまで登園・登校が停止です。プールを介して伝染することもあるので、プール前後の手洗い、洗顔(目も洗う)などを励行し、タオルを共用しないことも大切です。

 麻疹が一部の学校や保育園で発生しました。あわや流行になるかと心配していましたが、その後は発生がなく、散発的な発生ですんだようです。麻疹は時に命にもかかわる重症な感染症。必ずワクチン接種を受けて確実に予防しましょう。

 咳が強くなる感染症も見かけています。RSウイルスによる細気管支炎、マイコプラズマ感染症(気管支炎・肺炎)などがそうです。特に幼若乳幼児で咳込み、喘鳴などが強く、苦しそうな呼吸をしている時にはすぐに治療を受けて下さい。

 溶連菌感染症、ウイルス性胃腸炎は減少。水ぼうそう(水痘)は少数の発生。風疹、おたふくかぜの発生は当院ではありませんでした。
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