2008年10月号(214号)   


 秋が深まってきました。
 秋口は急に寒くなる日も多くなります。
 寒暖の差が激しいので、体調に気をつけてお過ごし下さい。


--------------------------------------------------------------

今月の話題
 ●発達障害にご理解を
 ●電子カルテを導入します
 ●【子どもの救急】お腹のトラブル(3)
 ●【院内検査】臨床検査技師
 ●お知らせ
 ●感染症情報
--------------------------------------------------------------

●発達障害にご理解を

 先月は当院主催の「上越子育てフォーラム」に宮本信也先生(筑波大学教授)をお迎えし、子どもの発達障害について学びました。私(院長)は小児科医ではありますが、どちらかというと「体」が専門。「心」についての勉強はまだまだこれからです。

 当院は今春より臨床心理士による「心の相談室」を開設。主に子どもの発達や性格のこと、親御さんの子育てをめぐる悩みごとなどに対応しています。ここでの相談事例については臨床心理士とともに私も悩みながら、少しでも良い方向に進んでいけるよう知恵を出し合っています。成果の出たケースも増えてきていて、この事業の大切さを実感しています。

 先日、発達障害をもった児童を母親が自らの手で殺(あや)めるといういたましい事件がおきました。真相は分かりませんが、発達障害について親御さんも社会ももっと理解が深まっていれば、最悪の事態にならずにすんだかもしれません。

 そんなふうに考えると、もっと多くの方に「心の相談室」をご利用いただくことが、当院の社会的役割だと思うようになってきました。


●電子カルテを導入します

 当院では11月より電子カルテ(紙の診療録に代わってコンピューターを使う)というシステムを導入することになりました。

 これまでもコンピューターの利用を積極的に行ってきました。医事会計システムは開院当初(1990年)から実施していますし、電話による予約システムもそうとう早い段階で導入しました。保険請求の業務をデジタル化(紙に打ち出して請求していたものをフロッピーディスクとして提出)したのは当地域(新潟県上越地方)では初めて。さらにそのデーターを通信回線を使って請求するというオンライン化したのは、県内の診療所でトップでした。そして次は電子カルテです。

 電子カルテの利点は・・診療記録として読みやすく書かれ、スタッフ間でより情報を共有しやすくなること。カルテの検索は瞬時にできるため、患者さんの待ち時間や事務量の軽減になること。いずれはご自身(お子さん)の医療情報を、医院との間で共有できる可能性もあります。

 しかしなかなか踏み切れずにいました。それは紙カルテからの移行をスムーズに行えるかという点に迷いがあったからです。今回、決定的な解決方法ができたわけではないのですが、必要性を考えると、すでに躊躇(ちゅうちょ)している段階ではありません。最大限の知恵と工夫をこらして電子カルテに移行することを決断しました。

 稼働直後は混乱することも心配なのですが、「未来の医療システム」のためにご理解とご協力を切にお願いいたします。


●【子どもの救急(45)】お腹のトラブル(3)

 病気でお腹の具合が悪くなったときの症状は腹痛、嘔吐、下痢が三本柱です。その三つがそろうのはウイルス性胃腸炎。ノロウイルスやロタウイルスなどが原因で、これからの冬場に多くなります。(前月号でも取り上げましたが、とても重要な病気ですので、今月号でもお話しします。)

 ウイルスが胃や腸の粘膜を荒らします。胃炎の症状が上腹部痛と嘔吐(または吐き気)。腸炎の症状が下腹部痛と下痢。ほかに発熱、だるさなども伴います。

 子どもは大泣きしても吐くことがあるなど、いろんなことが原因でよく吐きます。消化の働きに問題がなければ、吐いた物は食事からの時間に応じて消化された形でなっているでしょう。胃腸炎では数時間前に食べた物が未消化のまま出てくることもあります。もし夕方に吐いた物が昼食その物の形をしているなら、その子はお昼から病気が始まっていたということになります。

 また、吐いたけれどその後すぐにケロッとし、ためしに少し食べても何ともない・・そんな時は胃腸炎による嘔吐ではないと考えて良いでしょう。吐いた物を見たり、吐いた時の様子を見ることが、原因や対処の見分けになるのです。

 ウイルス性胃腸炎で問題になるのは脱水をおこしやすい点です。おおよそ半日以上吐き続けたり、水分がとれないでいると治療が必要な脱水になっている可能性があります。顔色が真っ白でグッタリしている場合は早めに小児科のある医療機関を受診して下さい。

 脱水にならないようにするためには水分をほんの少量ずつ与えることです。コップ一杯を一時間かけるくらいのゆっくりさで。一回に多くの量を与えてしまうとまた嘔吐を誘発し、いつまでたっても水分がとれない状態になります。「吐かない程度に少しずつ」がコツです。


●【院内検査(最終回)】臨床検査技師

 小児科外来でも以前に比べてより多くの検査を実施するようになってきました。それはハードの進歩がめざましく、より簡便で、早く結果が得られる検査の道具や機械が開発されたからです。

 当院でも積極的に迅速検査を導入してきましたが、他院を上回る規模で可能になったのはそれらを操作するスタッフを確保できたからです。「臨床検査技師」という資格を持った人材です。

 以前は医師と看護師が行っていましたが、どうしても“片手間”の仕事になりがち。多くの検査を、間違いなく行うには限界がありました。検査の専門職がいっしょに仕事をしてくれることで、医師も看護師も本来の仕事に集中できます。さらに検査技師でなければできない検査を導入できました。通常の検査もより正確に行うことができるようになりました。

 医療の現場は多種の有資格者による協同作業場。「チーム医療」を実践するために、みんなが持てる力を最大限に発揮するよう努力しています。


●お知らせ
☆臨床心理士による「心の相談室」は毎週月曜と木曜に開催。1時間あたり2,000円(税込)。ご希望の方は受付までご連絡下さい。
☆「院内迅速検査」のシリーズは今回で終了です。次回からは検査センターに依頼する特殊検査(院外検査)について解説します。


●感染症情報

 先月(9月)は前半には手足口病やヘルパンギーナといった「夏かぜ」が流行していましたが、後半になるにつれて次第に減少。これからは大きな流行はもうおきないでしょう。夏かぜの一つであるプール熱(咽頭結膜熱)は今夏は全国的に発生が多かったということですが、当院ではあまり多くの発生は確認できませんでした。

 咳の強い感染症が目立っていました。マイコプラズマ感染症はその代表で、気管支炎や肺炎をおこします。一昨年くらいからの流行が持続していますし、以前より年少児も発生しています。RSウイルスによる細気管支炎も乳幼児に発生しています。もともと冬に多い感染症ですので、今後さらに発生数が増えるかもしれません。百日咳も咳がとても強く、早く診断して治療しないと咳込みが長期間続きます。乳児がかかると無呼吸発作をおこすこともあります。

 先月はまだ溶連菌感染症、ウイルス性胃腸炎の発生は少なめでしたが、これからの寒い季節には大流行する可能性があります。ご注意をお願いします。

 水ぼうそう(水痘)とおたふくかぜは少数の発生でしたが、これから流行するかもしれません。ぜひワクチン接種を受けて予防して下さい(任意接種)。麻疹、風疹の発生は当院ではありませんでした。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

目次の
ページへ

このホームページ
のトップへ