2008年11月号(215号)   


 このところ暖房をつける日が多くなってきました。
 暖かい秋だと思っていたのですが、やはり季節は進むものです。
 冬の準備をいそがくてはいけない頃になりましたね。


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今月の話題
 ●この社会はどこに向かっている?
 ●いよいよ電子カルテ稼働
 ●【子どもの救急】お腹のトラブル(4)
 ●【特殊検査】アレルギー検査
 ●お知らせ
 ●感染症情報

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●この社会はどこに向かっている?

 このところ社会のあり方がおかしいと思うことが多々あります。

 金融危機・・わずかな期間に何兆円、何十兆円という巨額の資産が減ってしまうという異常事態ですが、いったいそのお金はどこに消えてしまったのか理解できません。株価が下がったからと言いますが、もともと実態のないものに値段をつけていただけなのではないのですか。

 いずれ医師が過剰になり、医療にお金がかりすぎると日本はなりたたなくなるといって、医学部定員を減らした結果が、今の「医師不足」や「医療崩壊」の一つの原因になっています。それが間違った政策だったことは、今の状況がしっかり証明しています。それなのに・・医療や福祉に十分な予算をつけようとしない。なぜなのでしょう。

 日本は世界一の少子化社会。若い人たちが、日本で生きていくことに大きな不安を覚えているからです。

 人間はときに間違えをしてしまうもの。でもそのことに気づいた時、それを改めることもできます。社会をより良い方向に変えることをためらう必要はどこにもないように思うのですが、いかがでしょう。


●いよいよ電子カルテ稼働

 当院では11月より診療に電子カルテを取り入れ、本格稼働させました。「紙のカルテ」から「コンピューター上のカルテ」に変更です。

 院内の診療システムは大きく変化しましたが、患者さんに直接関係するのは診察券の変更(バーコード入りのものになりました)、新しい薬剤情報の提供(当日処方された薬剤の情報がさらに詳しくなり、用量も記載されています)、領収書の変更など。予約の方法、受付の手順、診療の方法、検査・処置・点滴などの診療内容、院内での処方など、診療の全体について大きな変更はありません。これまでと同じように診察にお越し下さい。

 18年ほど診療を続けてきましたが、紙カルテはたまる一方。「患者さん一人・一生・一カルテ」という方針ですが、数年以上前に来られた方のカルテを探す作業がしだいに困難になってきました。また一つのカルテにすべての記録があるとはいえ、以前の記録を現在の診療に生かすという必要性はしだいに薄れてくるものです。年々紙カルテがたまり、医院のあちこちに新しいカルテ庫を作り続けるということも限界。電子カルテに切り替えなくては・・と考えていました。

 “内輪”の話をしますと、今回の電子カルテの導入は8月に決定。そこから2か月半という極めて短期間で準備し、稼働に至りました。「機は熟している」と判断したからです。

 これからは電子カルテを使いこなして、より良い医療を提供できる小児科医院をめざしていきます。どうぞよろしくお願いいたします。


●【子どもの救急(46)】お腹のトラブル(4)

 下痢もお腹のトラブルでよくみかけます。風邪とならんで小児科では最も多い症状といえるでしょう。

 食べたり飲んだりした物は口から食道を通って胃に入り、まずここでおおまかにこなされます。次に腸に入って本格的に消化・吸収され、残りがウンチ(便)となって排出されます。

 腸は大きく小腸と大腸に分かれます。小腸では消化液と混ざり合って、食物を消化していきます。例えばアミノ酸が長くつながっている蛋白質はしだいに分解され、短い蛋白質やアミノ酸になっていきます。

 大腸では、それらを粘膜から吸入します。水分の吸収も大腸の仕事です。血液中に入った栄養素は肝臓などに運ばれ、体の栄養として使われることになります。

 下痢というのはこの消化・吸収がうまく行われていない状態をいいます。症状としてはいつもより軟らかいウンチになり、回数も多くなります。腹痛を伴うこともあり、とくにウンチがでたくなると下腹部に痛みがおきます(蠕動という腸の動きが激しくなるため)。

 下痢の程度は軟便(少し軟らかい程度)、泥状便(ドロドロのウンチ)、そして水様便(水のようなウンチ)に分けられ、その順に程度が強くなります。

 下痢便の中にゼリー状のものが混じることもあります。これは粘液で、傷んだ腸粘膜が再生しようとして出てくるものです。下痢がとまればなくなります。

 ときに血液が混じることがあります(血便)。ウンチの中に糸をひいたくらいの少量であればそのまま様子をみていて良いでしょう。しかし血液の量が多く、腹痛などが強い場合には腸粘膜の損傷がそうとう強いと考えるべきです。細菌感染が下痢の原因である可能性もありますので、急いで小児科を受診してください。(腸管出血性大腸菌157など)。

 下痢の時の対処(食事など)につては次号でお話しします。


●【特殊検査(1)】アレルギー検査

 子どもたちにも近年、アレルギーによる病気が増えています。アトピー性皮膚炎、気管支喘息、花粉症、アレルギー性鼻炎や結膜炎などがそうです。

 こういったアレルギー疾患は臨床症状をていねいにみることでおおまかな診断ができます。とくにどんな場合に症状がでやすいかを知ることは、発作を予防し、病気を軽くするためにもとても大切です。その上で検査でアレルギーの原因(アレルゲン)を推測します。ゼロ?1歳くらいは食物によるアトピー性皮膚炎が多く、1歳半くらいからはダニに対するアレルギーが加わり、気管支喘息を発症しやすくなります。

 血液中のIgE(免疫グロブリンE)という蛋白質を調べると容易に知ることができます。RIST法はIgEの総量、RAST法はどの蛋白質に反応しているかを調べてアレルゲンを特定する検査。

 このIgE検査だけで断定はできませんが、症状などと組み合わせるとアレルギー疾患の病状をかなり正確に推測することができます。


●お知らせ

☆インフルエンザ予防接種を実施中。13歳未満は2回の接種(1?4週の間隔)が必要です。ぜひ年内に接種をすませて下さい。

☆院内でできる検査についてのお話は終わり、今回からは検査センターに依頼する特殊検査(院外検査)について解説します。


●感染症情報

 先月(10月)は全般的に感染症が少なく、穏やかな外来でした。これは例年のことで、気候に関係があるようです。しかしこれから冬に向かって感冒をはじめとしていろいろな感染症が多くなっていきます。体調の管理に気をつけていて下さい。

 ウイルス性胃腸炎が実際に多くなってきています。ノロウイルスやロタウイルスなどがおこす感染症で、吐いたり下痢をしたりします。とくに吐き気が強く、水分のとれない状態が続くと脱水症状になります。ぐったりしている時には早めに受診し、治療を受けて下さい。

 咳がとても強くなるマイコプラズマ感染症がまだ多く発生しています。ちょうど喘息発作をおこしやすい季節に重なっていたため、強い発作になってしまったお子さんもみかけました。

 RSウイルスによる細気管支炎も乳幼児に発生しています。これもとても咳や喘鳴が強くなる感染症で、寒い季節に多発しがちです。

 水ぼうそう(水痘)も増加中。伝染力が強いので、保育園などでの集団発生がおきがちです。
溶連菌感染症も少しずつ増えてきました。

 おたふくかぜは一部の地域で発生があるということです。水ぼうそうとおたふくかぜはワクチン接種で予防が可能です(任意接種)。

 麻疹、風疹の発生は当院ではありませんでした。

 インフルエンザの流行発生はまだ全国的にも報告されていません。
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