2009年1月号(217号)  


 新年明けまして
    おめでとうございます

 2009年(平成21年)が始まりました。新春のお慶びを申し上げます。
 皆さんがさらに幸せに過ごせることを心より願っています。


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今月の話題
 ●子どもたちにも明るい一年に
 ●ヒブワクチン
 ●【子どもの救急】下痢の時の食事
 ●【特殊検査】抗体検査(2)
 ●お知らせ
 ●感染症情報
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●子どもたちにも明るい一年に

 昨年はどんな年だったでしょう。皆さんそれぞれにいろんなことがあったことでしょう。

 子どもたちの発達は早いものです。一年間でたくさんの貴重なことを経験し、大きく育ってくれたはずです。いつもいっしょにいると少しずつの変化に気づかないときもありますが、少し長い目で見返してみると、それがよく分かるのでは。

 社会の変化は「激変」と呼べるほどのものがありました。アメリカの金融破綻から始まった経済恐慌は瞬く間に世界に拡大。日本も不況が激化し、派遣社員などが“首切り”されるなど、大きな社会問題になっています。

 暗くて厚い暗雲が立ちこめている社会ですが、子どもたちには辛い思いはさせたくありません。早くこの状況から脱出し、みんなで楽しく過ごせる環境を作る・・私たち大人の責任は大きいです。

 今年こそ、子どもたちにいつも笑顔がたえないような年になるといいですね。そのために何をしなくてはいけないか・・しっかりと考え、少しでも前に進むよう行動しようと思っています。


●ヒブワクチン

 乳幼児の髄膜炎(ずいまくえん)を予防する新しいワクチンが登場しました。「ヒブワクチン」です。髄膜炎とは、脳や脊髄(せきずい)という重要な神経を包んでいる髄膜に細菌やウイルスが感染しておきる病気。発熱、嘔吐、頭痛、不機嫌、けいれんなどの初期症状から始まり、ときに重篤になることもありますし、重い後遺症も心配です。もしかかってしまうと治療がとても難しい感染症です。

 細菌性髄膜炎の中で半数以上占めているのが「ヒブ(Hib)」(※)です。日本では年間に600人以上の乳幼児がかかっていると推測されています。そのうちで約5%(年間約30人)が死亡、約25%(年間約150人)が発育障害、聴力障害、てんかんなどの重い後遺症を残しています。

 ヒブワクチンを4回続けるとほぼ100%に抗体(免疫)ができ、ヒブ感染症に対して高い予防効果が得られます。すでに実施されている地域では、乳幼児の髄膜炎が激減しています(アメリカでは罹患率が100分の1に)。

 接種時期は乳幼児に行っている三種混合ワクチン(DPT)との同時接種が適しています。

 これから日本でも子どもたちを重い髄膜炎から守ってくれることが期待できます。しかし、現在はまだ任意接種のために、保護者の負担がとても大きいです。早急に予防接種法に定めるなど、公的な支援が求められています。

※「ヒブ(Hib)」は「b型インフルエンザ菌(Haemophilus influenza type b)」の略。「インフルエンザ・ウイルス」とは全く別の細菌です。


●【子どもの救急(48)】下痢の時の食事

 「お腹のトラブル」の続きです。下痢になった時の対処をもう少し詳しくお話しします。

 下痢をしている時には消化吸収がうまくできていません。いつもと同じ食事や飲み物をとると、未消化のままウンチとなって出てきます。赤ちゃんのウンチに食べた野菜などがそのまま出てくるのと同じです。しかも腸の動き(蠕動)が激しくなり、短時間に肛門に到達しますし、腹痛をおこすこともあります。

 とうぜん、消化しやすい物をとる必要があります。基本は炭水化物を中心に、良く火を通して消化しやすくした物・・重湯(おもゆ)やお粥(かゆ)が中心になります。たんぱく質や脂肪は消化するのが大変なので控えめに。下痢の程度によっては中止して下さい。

 乳糖は腸で消化しなくてはいけない栄養素。日本人は乳糖を分解する酵素がもともと少なく、下痢の時にはほとんどなくなっています。そのため乳糖をとると、そのまま腸を素通りし、さらに多量の水分を伴っていくので水様便になります(乳糖不耐症)。下痢のときには牛乳や乳製品はとらないほうが良いようです。

 ミネラル分は必要です。少し塩味をつけたり、果物を少しずつ食べたりしてみて下さい。

 一回に食べたり飲んだりする量も問題です。消化しやすいように少量「ずつとるのが原則。ほしがるだけ一度に多くとってしまうと、消化しきれずに下痢が続いてしまいます。一度口にする量が少ない分、短い間隔でちょこちょこととって下さい。トータルで同じ量になっても、細かく分けて食べた方が胃腸の負担は少ないです。

 温度は熱すぎず、冷たすぎず。胃腸と同じ温度・・つまり「人肌」がちょうど良いようです。

 ウンチの様子が良くなってきたら、少しずつ以前の食事に戻していきましょう。急ぐと逆効果になってしまいます。

(この項は前号で掲載予定でしたが、順番を間違えて掲載し忘れていました)


●【特殊検査】抗体検査(2)

 前回、抗体検査をすることで多くのことが分かると書きました。しかし、注意しなくてはいけないこともあります。感染症によって抗体の意味することが違っているからです。

 抗体があれば通常は免疫があり、感染症を予防できることが多いのですが、そうならないこともあります。例えば抗体はあるけれど、さほど強くない場合は感染症を予防できません。感染症によっては抗体が高くても、病気の予防や治癒機転に役立っていないものもあります。

 抗体の高さと病気の重症度とは必ずしも関係なく、検査結果だけでは正しい判断ができないこともあります。検査の方法にはいくつかあり、陽性になりやすさや、どの時期に陽性になるかが違っています。そのために検査方法を適切に選ばないと解釈を間違えてしまうこともあります。

 大切なことは、適切な抗体検査を選び、検査だけに限らず、総合的に判断することです。


●お知らせ

☆乳幼児の髄膜炎を予防するヒブワクチンの接種を当院でも始めました。任意接種で1回6,800円。希望の方は予約をお願いします。


●感染症情報

 インフルエンザの流行が早くも始まりました。12月中旬には上越でもそうとう発生。全国的には過去3番目の早さだそうです。1月にはいっそう流行が拡大する可能性が十分にあります。厳重に注意していて下さい。インフルエンザは頭痛、関節痛、だるさなどを伴って急に高熱になります。体力を消耗しますので、乳幼児や高齢者では重い症状になる心配もあります。感染力が強く、咳やくしゃみの時に周囲にウイルスをまき散らすので、マスクやハンカチで口や鼻をおおって下さい(咳エチケット)。タミフルやリレンザという治療薬を早く使うことで、症状を早くおさえることができます。インフルエンザらしいと思ったら早めに受診して下さい。

 その他では感染性胃腸炎も多くなっています。嘔吐と下痢が主な症状で、脱水に注意が必要です。

 水ぼうそう(水痘)も先月は大幅に増加しました。園などで流行。ワクチンで予防できます(任意接種)。マイコプラズマ感染症がまだ多く発生しています。溶連菌感染症も少しずつ増えてきました。

 麻疹、風疹、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の発生は当院ではありませんでした。 

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