2009年5月号(221号)  


 新学年が始まり一か月がたちました。
 新しい学校や園の生活にはもうなれましたか。
 緊張感から疲れてしまったお子さんがいるかもしれませんね。
 春の大型連休をゆっくり過ごし、リフレッシュして下さい。


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今月の話題
 ●上越市の病児保育事業として
 ●新型インフルエン発生!
 ●【子どもの救急】手足の骨折と虐待
 ●【特殊検査】細菌培養検査(2)
 ●お知らせ
 ●感染症情報

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●上越市の病児保育事業として

 当院は子育て支援の一環として「わたぼうし病児保育室」を併設しました。2001年のことですから、もう9年ほどたちます。

 これまでは医院の自主的な運営で行ってきました。利用者の方からいただく料金は経費の2割ほどで、それ以外は医院からの持ち出し。累計するとけっこうな額になっていました。経営的に安定し、もっとお役にたてるようになるためにも、公的な助成が必要と考え、長年お願いをしてきたところですが、今年度、市から補助が決まりました。

 上越市ではこれまで行ってきた「病後児保育」に加え、新たに「病児保育」を行うことになり、当院にその事業を委託されました。当面は赤字額の半分程度の助成です。

 夢がかないました。当院がこれまで厳しい環境の中でも踏ん張って行ってきた病児保育事業が、公にその存在と役割を認められました。とても嬉しいです。これからは行政といっしょになり、子育て支援のためにさらに充実した病児保育を展開していこうと思っています。きっと・・もっと頑張れそうです。

 行政の英断に感謝するとともに、これまでも応援していただいた方々に心よりお礼を申し上げます。


●新型インフルエン発生!

 恐れていた新型インフルエンザが発生しました。豚のインフルエンザ・ウイルスが何かの原因で変異し、人にも移りやすくなり、さらに人から人へと感染するようになりました。

 最初に発生したとされるメキシコではすでに数千名の患者が発生し、100名以上の死者が出ているという情報です。その多くは、通常のインフルエンザではあまり症状が強くならない若い人たちだとか。新型インフルエンザの毒性が強いのではないかと懸念されます。

 メキシコに滞在した人たちもかかっています。アメリカやヨーロッパなど、世界中に感染が拡大中。日本は感染者が入ってこないよう“水際”で防ごうとしていますが、それだけで完全とはいえません。もし国内で新型インフルエンザが発生し、流行が始まったらいったいどうなるか・・その影響は想像もできません。

 一方で、豚インフルエンザは鳥インフルエンザと違って弱毒性だといわれていますし、今のところはメキシコ以外では死者は出ていません。従来のインフルエンザ治療薬であるタミフルやリレンザは有効だということです。時間はかかりますが、ワクチンも作られそうです。

 マスク、手洗い、うがい、咳エチケットなど、普段から行っているインフルエンザ予防策を徹底することが、予防や流行拡大に役だちます。今後については予断を許しません。でもパニックにならないよう、ニュースを通じて伝えられる確かな情報に十分注意をしていて下さい。


●【子どもの救急(52)】 手足の骨折と虐待

 小児科で骨折を診察することはあまりありません。大きな外傷であれば、最初から病院や整形外科などの専門医にみてもらっているからです。 前回お話しした肘のトラブルである「肘内障」かと思ったら、痛みが強く、肘の周りの腫れ方も強いので専門医に紹介し、骨折だったということがあります。

 みなさんがすでにされていることですが、もし骨折が疑われたら、すぐに病院などを受診して下さい。その時に、本人の様子が具合悪そうにしていたら救急車が必要かもしれません。副え木などをするといい場合もあります。できるだけその手足を動かさないように工夫して下さい。

 子どもの骨折は大人とはずいぶん違います。骨も成長しているので、軽くすみ、早く治ることもあります。逆に折れた部分の骨が変化するので治りにくいこともあります。やはり専門の治療が必要です。

 ところで・・骨折とは骨が折れること。骨が折れるほどの力が外から加わるのですから、よっぽど大きな力です。思いっきり転んだり、高い所から転落したり、交通事故にあったり。どんなことがおきたのかが分かると、どれくらいの力が加わったかを推定することができます。

 大きな子どもでは何がおきたかを説明できるでしょう。大人が見ていれば事情が分かります。問題は小さな子どもです。周りに誰もおらず、どんなことがおきたのかが分からないときには、慎重に対処する必要があります。

 残念なことに、虐待によって骨折することがあります。信じられないことですし、信じたくないことですが、でも虐待は存在します。

 虐待の事例では、いきなり子どもが死亡することはないようです。繰り返し暴力が加えられ、しだいにエスカレートしていくようです。小さな外傷ですんでいるうちに虐待であることを発見し、早期に対応することで、最悪の事態を回避することができるかもしれません。


●【特殊検査】細菌培養検査(2)

 当院でこの細菌培養検査をする最も多いのが「細菌性腸炎」の場合です。下痢や胃腸炎の多くはウイルスによるもので、治療は主に対症療法です。しかし細菌が原因になっている腸炎では症状がより強く、的確な抗生物質を使って治療する必要があります。便に血液や粘液が大量に混入する(血便、または粘血便)のが一つの特徴です。

 一番多いのはカンピロバクターによる腸炎。鶏肉についている細菌で、加熱が不十分な鶏肉を食べたりすることで発症します。サルモネラや病原性大腸菌もときに見かけます。

 病原性大腸菌はさらにいくつかの種類があるのですが、「腸管出血性大腸菌」は命にかかわるほど重症になることがあります。「O(オー)157」という血清型が有名ですが、その他にも同じ強力な毒素(ベロ毒素)を出すものもあります。もしベロ毒素が検出されれば直ちに保健所に届け出るとともに、患者さんを隔離した上できちんとした治療をしなくてはいけません。


●お知らせ

☆BCG予防接種の予約を予想以上に多く承っています。通常の予防接種の時間帯以外でも実施していますので、お問い合わせ下さい。

☆従来のインフルエンザがまだ流行し外来がとても混雑していますが、診療体制を見直しながら対応中です。宜しくお願いします。


●感染症情報

 春になったというのにインフルエンザの流行がまだ続いています。例年ではもう終息していることがおおいのですが、今年はむしろ増加傾向。新学年になってから学級閉鎖や学校閉鎖もでています。真冬に比べれば発生数は少なくなってきています。今後は次第に終息に向かうものと思いますが・・。なお、現在流行しているのは従来のインフルエンザ(A香港型、Aソ連型、B型の3種類)です。うがい、手洗いなどをこまめに行い、もし咳やくしゃみがでる時にはマスクやハンカチなどで口や鼻をおおい、ウイルスを周囲にまきちらさないようにお願いします。

 感染性胃腸炎の流行も、4月に入ってからまた拡大しました。多くはウイルスによる感染症で、人から人に移っていきます。園・学校など、子どもたちの集団内で流行し、その後家庭や地域で感染が拡がっていきます。ふだんからの手洗い、うがいなどを励行して下さい。

 溶連菌感染症も目立ちます。細菌性の咽頭炎で、喉の痛みがとても強く、熱や発疹がでることがあります。抗生剤による治療が必要です。

 水ぼうそう(水痘)は少数ですが発生しています。ワクチン接種で予防できます(任意接種)。麻疹、風疹、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の発生は当院ではありませんでした。 

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