2009年7月号(223号)  



 暑い季節になっています。
 気温と湿度が高いために熱中症になりやすい環境です。
 今年もすでに自動車内に残された子どもが亡くなるという事故がおきています。
 お子さんの健康管理に十分注意をしていて下さい。


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今月の話題
 ●人類が初めて経験する新型インフルエンザ
 ●【子どもの救急】突き指やねんざ
 ●「隔離棟」を新築します
 ●【特殊検査】PCR検査
 ●お知らせ
 ●感染症情報

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●人類が初めて経験する新型インフルエンザ

 新型インフルエンザが日本でも発生して2か月ほどになります。日本の患者数は千名をこえ、各地で大きな混乱になりました。当地(新潟県上越市)では今のところ発生はありませんが、いろいろな情報に右往左往していました。

 「弱毒」であることが分かったにもかかわらず、政府が当初の「強毒」を想定して作った厳重な対応から方針転換するのが大幅に遅れました。検疫の体制、接触者の隔離、学校や園の閉鎖など、不必要なことが行われたことになります。

 どうも日本人はこういった事態に臨機応変に対応できないようです。一度決まったことをなかなか変えられない。本当に大切なことが何かを考えながら、その場その場で適切に考え、実行することができない。硬直したお役所仕事だ、と言ってしまえばそれまで。でも、トラブルがおきたときにマスコミや国民から非難されることを思うと、なかなか決断できないお役人の気持ちも分からないではありません。

 日本人はリスクを適切に評価することは確かに難しいです。どんな対応をしても一定のトラブルはおきるもの。その可能性や問題の大きさを総合的に考え、冷静に対応することができればいいのですが・・。

 人類が初めて経験する新型インフルエンザです。政府だけではなく、それぞれのレベルできちんと対応し、必ず難局を乗り切っていきましょう。


●【子どもの救急(54)】突き指やねんざ

 ボールを使って遊んだり試合をしている時に、突き指をしてしまうことがあります。指を強く突いたことでおきます。手の指に多いですが、足の指でおこすこともあります。指や関節に強い衝撃が加わり、関節、骨、じん帯、腱などがいろんな程度で障害を受けた状態です。骨折やじん帯などの断裂がおきているかもしれません。

 ねんざは関節を強くひねったりした時におきます。足関節におきやすく、じん帯が切れているため、関節内に出血してきます。

 いずれの場合も、まず必要なことはむやみに動いたり、動かしたりせず、安静にすること。とくに突き指の場合は固定をしてください。いためた指が曲がったり動いたりしないよう副木(そえぎ)をあてて、テープで巻き付けて下さい。親指以外の指では、隣の指をいっしょに巻くことで副木がわりにすることもできます。(テープの種類は問いませんが、ガムテープははがすのが大変なのでやめて下さい)

 次は十分に冷やすこと。これは外傷治療の原則で、打撲、やけどなどでも同じです。水道水で冷やしたり、氷をあてたりします。

 よく「突き指をしたら引っ張れば大丈夫」と言われていますが、間違いです。強く引っ張ると、かえって障害が強くなることがあるからです。傷ついた腱が完全に断裂することもありますし、神経を切ってしまうかもしれません。

 もし腫れが強かったり、痛みが強いときには、必要な処置をほどこしたあと、すぐに医療機関を受診して下さい。このとき向かうのは整形外科医院、あるいは整形外科のある病院です。

 小児科は何でも屋ですが、最初から骨や関節などの外傷と分かっているのであれば、やはり専門医に診てもらうほうがいいですね。それと、整体師や柔道整復師のところではレントゲン撮影はできませんので、突き指やねんざをしたときにはおすすめできません。


●「隔離棟」を新築します

 5月より国内でも発生が始まった新型インフルエンザは、いったん勢いがおさまっているようです。しかし、このまま終息することはないでしょう。ウイルスの大好きな「寒い季節」がやってくると、ふたたび流行してくるはずです。さらに、その第2波は一挙におとずれ、そしてより大きな規模になることが予想されています。

 発生当初は恐れられ、過剰なまでの対策が取られていました。しかし今回の豚由来の新型インフルエンザは強毒性ではないことが分かったので、従来からの季節性インフルエンザと同じような対応でよいことになります。といっても、全く同じということではありません。

 すべての病医院で診療することができますが、一般の患者さんに移してはいけないので、新型インフルエンザの患者さんを分けることが求められています。方法は2つあり、施設を分けて空間的に区分するか、診療時間を別に設けて時間的に区分するかのいずれかです。

 当院の実情では、一日中患者さんが来られているので別な時間帯を作ることは無理です。また、すでに施設は手狭になっているので、区分することも難しい状況です。そのため、別棟を新築し、そこを「隔離棟」として独立して使うことにしました。秋の終わりまでには間に合うよう、急ピッチで工事をします。

 この「隔離棟」が完成すれば、新型インフルエンザの診療をある程度きちんと行うことができるようになります。ご期待下さい。


●【特殊検査】PCR検査

 PCR検査という名前を新型インフルエンザについての報道でよくきかれるようになりました。これはPCR (ポリメラーゼ連鎖反応) を利用した詳しい検査方法。DNAという遺伝子の一部分を短時間で効率的に増やし、それによって元の生物が何であるかを知ることができます。

 あらゆるウイルスや細菌のDNAを調べることができるので、感染症の診断に役立ちますし、その精度が高くなります。

 インフルエンザ・ウイルスに対しては「簡易検査」があります。外来で行うことができ、その場で結果が分かるのでとても有用です。しかし、「A型かB型か」しか判定できないため、今回のようにA型の中の種類までは分かりません。あいまいさもあるため、かえって間違えしまうこともあります。

 そんな時に、より精度が高いPCR検査が役立つわけです。しかし、時間がかかりますし、値段も安くはない(数万円!)ので、簡単にできる検査ではありません。


●感染症情報

 現在、いくつかの感染症が小規模に流行しています。

 マイコプラズマ感染症はもっとも目立っています。気管支炎や肺炎をおこし、とても咳が強くなる特徴があります。以前は学童などの大きな子どもたちの感染症と言われていましたが、今では幼児にも多く、乳児でも見かけることがあります。喘息の体質のある子は発作のきっかけになっていることもあります。治療は抗生物質を使いますが、効果のあるものは限られていて、さらに最近は内服の抗生物質が効きにくくなり、点滴治療が必要なことが多くなりました。

 春先にはまだ多かった感染性胃腸炎や溶連菌感染症はようやく少なくなりました。いずれも夏場はすくないでしょう。

 水ぼうそう(水痘)はまだ発生しています。保育園・幼稚園などで移し合っているようです。

 麻疹、風疹、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の発生は当院ではありませんでした。 

 これからの暑い季節は「夏かぜ」が流行しやすくなります。プール熱(咽頭結膜熱)、手足口病、ヘルパンギーナなどがそうで、いずれもウイルスによる感染症です。またとびひ(伝染性膿痂疹)も多くなりますが、これは皮膚の細菌感染です。

 新型インフルエンザは引き続き注意をしていて下さい。

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