2009年8月号(224号)  


 梅雨がなかなかあけません。
 大雨による災害が中国・北九州などでおきました。
 日照不足のために農作物のできが心配されています。
 暑すぎるのも困りますが、早くカラッと晴れた空が見たいですね。


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今月の話題
 ●日本の医療をどう守る?
 ●【子どもの救急】暑い時の水分補給
 ●日本はこのまま流行せずにすむ?
 ●【特殊検査】血液型(1)
 ●お知らせ
 ●感染症情報

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●日本の医療をどう守る?

 新型インフルエンザがパンデミックになり、世界中の情報が伝えられてきます。アメリカでは医療保険に入っていない人たちがとても多く、病気になっても簡単に受診することができません。診療所や病院の外来の受診も容易ではありません。インフルエンザにかかっても、熱などの症状だけなら市販薬ですませて、自宅で休んでいることが多いようです。

 日本は皆保険。すべての国民が公的な医療保険に入り、一定のお金で必要な医療を受けることができます。医療へのアクセスがこんなに良いのは、先進国では珍しいのです。

 しかし日本でも医療事情は次第に悪くなってきました。産科医や小児科医が不足したり、地域によっては医療機関がとても少なくなったり。これまで政府は、財政を優先するために医師数を少なくし、医療費を削減する方針をとってきました。それが大きな問題だったことに、私たちはやっと気づきました。

 今の医療を守ることが、世界一の長寿国である日本にとってとても大切なことだと思います。折しも衆議院選挙がおこなわれます。そんな志をもった政治家が多くなることを願っています。


●【子どもの救急(55)】暑い時の水分補給

 夏は汗をたくさんかくので、いつも以上に水分をとる必要があります。熱中症の予防のためにも。ではどんな水分がいいのか・・それは水道水です。ボトル入りのミネラル・ウォーターでもなく、イオン飲料でもありません。

 水道水は最も衛生的です。消毒の塩素分を心配するむきもありますが、ただちに有害な量ではありません。何も入っていなければ水がくさってしまい、長持ちしません。

 何よりも安い。そして環境に優しい。エコな飲み物なのです。

 「湯冷まし」は必要ないでしょう。乳幼児にも水道水をそのまま使って大丈夫。湯冷ましをそのまま置いておけばしだいに雑菌が多くなっていきます。湯冷ましの作り置きは不衛生な場合もあります。

 ただし、水道水も流れずに同じ管に留まっているものは衛生的ではないかもしれません。水道栓をひねって、水が冷たくなってから使うようにして下さい。

 病気などによる脱水の治療には、適度なミネラル(食塩など)や糖分が必要です。市販のイオン飲料は、こういった場合には有効です。

 しかし、食事や間食がとれている場合の水分補給は別です。栄養やミネラルはすでに十分に摂取できているので、その上に飲む必要があるのは「真水」です。

 どれくらい飲めばいいか・・それは体が教えてくれます。体内の水分が足りなくなると血液が濃くなり(といっても若干ですが)、それが「喉の渇き」という感覚になります。水を飲みたいという「本能」に従って行動すればよい、ということです。

 ただし「がぶ飲み」はしないように。大量の水分をとると血液が薄まってしまいます。「水中毒」と言われる状態になり、けいれんや意識障害をおこすことがあります。

 まずはコップ半分程度の水を飲んだら一休み。それでもまだ飲みたいときにはまたコップ半分を追加。少しずつ水分を補給するということも大切です。


●日本はこのまま流行せずにすむ?

 新型インフルエンザが少しずつ拡がっています。市内でも何人かの患者さんがでていますが、最近は海外渡航歴もなく、どこでうつったのか分からないという方も多くなってきました。地域の中に、そっと入り込み、流行する機会をうかがっているかのようです。

 日本では患者数が5,000名を超えましたが、それでも他の国に比べれば穏やかな状態のようです。アメリカではすでに100万人以上の患者発生があり、死亡数も300人以上。イギリスでは1週間で10万人以上の新規患者が発生しているといいます。

 日本ではこれまで患者発生があると学校閉鎖などを大規模に行ってきました。自宅待機を求められるとちゃんと家にいるという「きまじめさ」も他国にはない良い状態を作ってきたのかもしれません。

 しかし、日本だけがこのまま小規模の流行ですむということは考えにくいです。やはり秋から冬、寒さがますにつれて季節性インフルエンザと同じように、あるいはそれより早く、かつ大規模に流行するものと考えておくべきでしょう。

 私たち医療機関でも、マスクや薬といった必要な「道具」を多めにそろえるなど、対応を強化しています。ご家庭でも、いざというときのために準備をすすめていって下さい。

 日本人は熱しやすく冷めやすい・・すっかり忘れたころに新型インフルエンザの大流行がこないとも限りません。くれぐれもご用心を。


●【特殊検査】血液型(1)

 血液型というのは何種類もあるのですが、一番重要なのはABO型と、Rh型です。とくにABO型は一番知られていますし、最近は性格判断などにも使われているほどポピュラーなものです。(医学的な根拠は一切ありませんが・・)。

 ABO型というのは、赤血球の表面のたんぱく質(抗原)に基づく分類。A型というのはA型抗原だけがあります。B型はB型抗原だけ。O型はそれらがいずれもなく、AB型は両方があります。

 血清中に、この抗原に対応するたんぱく質があります(抗体)。A抗原と、それに対応する抗A抗体がくっつくと赤血球が破壊され、溶血という現象がおきます。抗A抗体はもちろん血液型がA型の方にはなく、A抗原をもっていないB型とO型の方がもっています。同じように抗B抗体は、B型の方にはなく、A型とO型の方だけです。AB型は、抗A抗体も抗B抗体ももっていません。

 血液型を間違えて輸血すると危険なのはこのためです。


●お知らせ

○当院では秋以降の新型インフルエンザ流行に備えて「隔離棟」を増築します。工事中はご迷惑をおかけしますが、ご了承下さい。

○新型インフルエンザの流行が予想されるため、今年は季節性インフルエンザの予防接種を早くから行う方針です。日程は後日に。


●感染症情報

 先月は、とくに大きな感染症の流行はありませんでした。

 その中でマイコプラズマ感染症が比較的多く見られています。気管支炎や肺炎をおこし、咳込みが強くなり、適切な治療を受けないと長びきやすい感染症です。以前は4年に1回の流行があり、「オリンピック肺炎」とも呼ばれていましたが、現在では一年中発生が続いています。また学童以上の感染症だとされていましたが、今は乳幼児にもよく見られています。また大人の方もいっしょにかかっていることも多く、咳の強い方はきちんと治療を受けて下さい。

 感染性胃腸炎、溶連菌感染症、水ぼうそう(水痘)なども夏場になって少なくなりました。

 真夏になるとプール熱(咽頭結膜熱)、手足口病、ヘルパンギーナといったいわゆる夏かぜの流行が始まることがあります。園などで流行することが多いので注意をして下さい。

 皮膚のトラブルが多発する時期です。あせも(汗疹)、虫さされ、とびひ(伝染性膿痂疹)など。スキンケアに心がけていて下さい。

 麻疹、風疹、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の発生は当院ではありませんでした。

 新型インフルエンザが少しずつ発生しています。うがい、手洗いなどを励行し、もし熱、咳、くしゃみなどのある方はマスクをして、他の方にうつさないよう配慮して下さい(咳エチケット)。

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