2009年9月号(225号)  



 暑い夏が終わろうとしています。
 大雨、台風、地震と日本列島は大きな自然災害がくりかえしおきていました。
 今また新型インフルエンザという猛威が襲いかかろうとしています。
 くれぐれもご用心を。


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今月の話題
 ●新しい政権がスタート
 ●【子どもの救急】新型インフルに備える
 ●感染爆発がおきないように・・
 ●【特殊検査】血液型(2)
 ●お知らせ
 ●感染症情報

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●新しい政権がスタート

 政治家にとっても「暑い夏」だったことでしょう。衆議院選挙が終わりました。結果は予想通り民主党の圧倒的勝利。裏返せば自民党の大敗北。

 小選挙区制という選挙制度では、少しの民意の違いが政権を担う政党を容易に変える結果になります。少数政党には不利ですが、「民意」を国政に反映しやすい制度です。

 長く続いた保守政治の中で日本の政治や経済、そして国民の生活は大きな問題を抱えてしまいました。生活保障、医療や介護と言った社会保障などでも、かつて日本が誇ってきたセーフティー・ネットはずたずたにほころんでいます。

 新しい政権を国民が選んだ、その一番の理由は、日本の様々なシステムの再構築を求めているからでしょう。民主党にはその期待にきちんと応え、日本が進むべき新しい方向を作り出していってほしい。

 国民の方を向き、国民のためになる政治をする・・その当たり前のことができなければ、次の選挙でご退場願うことになります。「政権選択」とはそういう意味です。成果を出すことを期待しています。


●【子どもの救急(56)】新型インフルに備える

 新型インフルエンザの流行は秋以降と言われてきました。しかし、夏場でも沖縄で大流行するなど、全国ですでに流行が始まっています。当初より早く事態が進んでいることに戸惑っている方も多いでしょう。

 新学期になり、集団生活が再スタートするのは、流行にとっては「火に油をそそぐ」ようなものかもしれません。必ず流行はおきる・・しかも大規模に、そして早くおきると考えて十分に備えていて下さい。

 といっても、新型インフルエンザ用のワクチンはまだありません。生産は始まっていますが、その量が少なく、誰に優先的に接種するかの議論をやっと今おこなっている段階。乳幼児、妊婦さん、基礎疾患を持っている方などが対象になりそうですが、いつ接種できるか分かりません。またワクチンの効果も実は未知数です。季節性インフルエンザ用のワクチンでも効果は必ずしも十分ではないのですから、あまり大きな期待はできません。

 そうであると、日常生活の中で予防していくことが必要になります。よく言われていることですが、手洗いはこまめに、石けんと流水でたっぷりと行って下さい。手で口や鼻を触らないことも大切です。

 インフルエンザは飛沫感染。咳やくしゃみをすると周囲2メートルほどにしぶきが飛びます。咳やくしゃみのある方はマスク着用をお願いします。マスクはかからないようにするという予防効果は不確かですが、他に移さないという予防効果は確実にあります。
人混みはできるだけ避けましょう。家ではこまめに窓をあけるなど、たえず換気をして下さい。

 体力が落ちているとかかったり、重症になることがあります。生活習慣を見直し、睡眠、食事、生活リズムなどを整えるように気をつけて下さい。

 そしてもしインフルエンザらしいと思ったら・・かかりつけの病医院に連絡をし、受診についての指示をもらって下さい。マスクを忘れずに。


●感染爆発がおきないように・・

 新型インフルエンザが流行期に入り、厚生労働省は国民の2割がかかると予想しています。これは季節性インフルエンザの2倍です。

 怖いのがその流行時期。早ければ9月下旬から10月上旬にピークがあり、1日あたり76万人もの患者発生があるという推測です。今後の動向ではより少なくなり、穏やかな流行になるかもしれませんし、逆にもっと多くの国民が、短期間に感染してしまう可能性もあります。

 規模は分かりませんが「感染爆発」がおきるのは確実。弱毒性とはいえ、高熱、体のだるさ、関節痛や筋肉痛などの症状は季節性インフルエンザと同様か、それ以上でしょう。かかった方の大半は医療機関に向かうはずです。

 重症例の受け入れ体制が問題になっていますが、その前に一般診療がパンクしてしまうことが十分に考えられます。

 季節性インフルエンザが流行すると、最大で平時の2倍から3倍の患者さんが小児科外来に来られます。新型インフルエンザの流行が、さらにその2倍になるとしたら・・想像を絶する状態になる可能性があります。

 当院では「隔離棟」を建設中ですが、このまま早く大流行になれば、間に合わないかもしれません。私も含めてスタッフ全員の健康状態も考慮しながら、できる限り多くの患者さんを診療できる体制を作るよう検討しています。

 どこまでできるか分かりませんが、最大限の努力を傾注する覚悟です。


●【特殊検査】血液型(2)

 数ある血液型の中でABO血液型がもっともポピュラーです。それは、それだけ重要だからでもあります。血液型の合わない輸血をしてしまった時に、最も大きな問題をおこすのがこのABO血液型です。

 赤血球の表面に抗原(A、B型の2種類)があり、血清中にそれらに対する抗体(抗A、抗Bの2種類)があります。もし対応するものが出会うと赤血球を壊すので、自然の状態では同時は存在しません。

 例えば「A型」の人は赤血球にA型抗原があり、血清中には抗B抗体があります。「B型」はB抗原と抗A抗体。「AB型」はA抗原とB抗原があり、抗体はなし。「O型」は抗原がなく、抗A抗体と抗B抗体があります。

 ABO血液型の検査は2種類行います。抗原の検査が「表試験」、抗体の検査が「裏試験」。その2つが一致しない場合には、検査をやり直します。
 なお抗体は1歳以降にできてくるので、通常では0歳児にABO血液型検査は行っていません。


●お知らせ

○受診時のお願い
 ・新型インフルエンザが流行中です。お互いに移し合わないよう注意をお願いします。
 ・熱、咳、くしゃみなどのある方は必ずマスクを着用して下さい。
 ・うがい、手洗いなどをこまめにし、日ごろから予防に努めてください。

○当院では季節性インフルエンザ予防接種を10月?11月に行います。例年より早く始め、早く終わる予定です。ご注意ください。

○TV報道番組『ニュース・ゼロ』(日テレ)より病児保育について取材を受けました。今秋には放送予定とのこと。どうぞご覧下さい。


●感染症情報

 新型インフルエンザ発生がしだいに増加。国内でもすでに流行期に入ったとのこと。予想を超えるスピードで流行が拡大しています。当院ではまだ数名ですし、重症例はありませんが、今後の推移が心配です。日ごろからの健康管理に留意して下さい。うがい、手洗いなどを励行し、もし熱、咳、くしゃみなどのある方はマスクをして、他の方にうつさないようお願いします(咳エチケット)。

 その他でマイコプラズマ感染症がひきつづき発生しています。気管支炎や肺炎をおこし、とても咳が強くなります。喘息発作を誘発することも。適切な抗生物質を使用する必要がありますが、近年は内服剤が効きにくくなり、治療が難しくなってきました。
感染性胃腸炎、溶連菌感染症、水ぼうそう(水痘)などは、夏場のためか、少なめでした。今後季節が秋から冬に向かうと増加してくるでしょう。

 プール熱(咽頭結膜熱)、手足口病、ヘルパンギーナといったいわゆる「夏かぜ」の発生は、今年は少なかったです。

 おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の発生を確認しました。今のところは1名のみですが、抗体検査で陽性の確実例です。ほかの地域では流行もあり、今後の動向をよく見ていく必要があるでしょう。

 麻疹、風疹の発生は当院ではありませんでした。(ほかの医療機関では麻疹発生があると報告していますので、注意して下さい)

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